男性保育士のあり方について vol.2 - 2018.01.16 Tue
一般に、「大人になっても子供の心を持つ男性」「ガキ大将的存在」といったものをもてはやすムーブメントがあります。
なるほど、それもひとつの個性であり、悪いことではありません。
なかにはキャラクターとしてそれを意識しているひともいるかもしれません。それもまた、そういうこともあっていいでしょう。
しかし、保育の専門家として保育士をするのでしたら、その借り物のイメージにまんまと乗せられすぎてもそれはそれで問題がでてきます。
そういったものは、例えば普段の言葉遣いなどに端的に出てきます。
こんなケースがありました。
ある園に男性の新卒新人保育士が入ってきました。
その男性保育士は、子供に声をかける際、名前や名字を呼び捨てにしたり、「ガキども」と呼んだりします。
その男性に悪意はないようです。
同僚の女性保育士が、その行為が不適切であることを指摘し説明しましたが、ふてくされた態度をとりきちんと受け止めようとしません。
数度それが繰り返され、表面上はそれをしなくなりましたが、職場での態度を硬化させ、また同僚の保育士が見ていないところや、非常勤やパート職員の前では呼び捨てなどを続けています。
◆子供の呼び方、言葉遣い
子供を呼び捨てで呼んだり、「ガキども」といったぞんざいないい方をすることで、男性性をアピールする文化・価値観が、たしかに一般にはあります。
しかし、そのスタンスからステップアップしないままでは、プロとして保育士をするには、不見識・不勉強というものです。
その男性保育士は、その人自身の、自意識・美意識の中では、そのように男っぽく振る舞うことがかっこいいという気持ちがあるのではないでしょうか。
その人は、そういったポジションに収まることで、自分の自己表現・自己実現をしたかったのでしょう。
残念なことに、この人が見ているのは子供でも保育でもなく、「自分」です。
それでは、職場の中でも、社会の中でも男性保育士の存在が認められるべくもありません。
もちろん、このような人は一部です。
多少そういった傾向がある人がいるとしても、それをみながみな問題となる程まで出しているわけではありません。
しかし、男性保育士という職業はその希少性ゆえに、自己アピールのためにその仕事を選ぶ人もおります。それ自体は否定しませんが、結果的に、口だけは立派だけど「自分のための保育」をしてしまう人が見られます。
これはどの職業でも言えることですが、真摯な助言には、我を張らず耳を傾ける必要があります。
たとえ間違いがあっても、それで改善がなされればいいのです。
もし、問題を他者に指摘されて傷ついてしまうほど高いプライドを持っているならば、それに倍するだけ自分で率先して学び、問題とされないだけの見識を持つ必要があります。
しかし、往々にして「自意識としてのプライド」の高い人は、自身の考えに迎合する意見しか学ぼうとしないものです。
持つべきは、「職務に対してのプライド」なのです。
職務に対して誠実な責任感や意欲としてのプライドを持てているのならば、自身への否定的な意見であっても消化していくことができるはずです。
男性保育士に対するさまざまな意見を聞いていると、単に「我が強いだけの困ったちゃん」であるケースが少なくありません。
「プライド」という概念を誤解すると、我を押し通すだけの問題児になってしまいます。若い人は得てしてそういう傾向のあるものかもしれませんが、保育は対人が基本の仕事ですので、他者との信頼関係の形成ができない人には向きません。
この点、意識する必要があると思います。
視点を子供に持っていって、「自分のための保育ではなく、子供のための保育」を考えていくようにするといいのではないでしょうか。
その上で、そこに自己実現ができるようになったとき、自他ともに認められる仕事ができるでしょう。
実は、この自身の自意識と対人関係の問題は、男性ばかりとはかぎりません。
非常に多くの保育施設での問題となっています。
この点から、職員間の人間関係の問題や、保護者とのトラブル・対立などの問題が起こることがあります。
ここを見据えての園内研修なども、問題を未然に防ぐために有効です。。
もし、研修などをお考えの方がいらっしゃいましたら、僕のホームページの方にお問い合わせ下さい。
関連で、次回は呼び捨てで子供を呼ぶことのなにが問題なのか考えてみましょう。
実は、子供に関わる際のとても大きな問題がそこには隠れています。
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男性女性に限らず
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子どもの通う幼稚園では、先生方は園児に対しても
「おはよう」とは言いません。
「おはようございます」とおっしゃいます。
保育士に限らず、先生などには、
出来ればお手本になるような姿を見せていただきたいなと思います。
(もちろん、親は当然ですが)
親しみを込めてかもしれませんが、園児と友達同士のような会話や呼び捨てなど、
毎日毎日、何時間も共に過ごす間柄なので、
子どもにとっての影響を考えて欲しいものだと思います。