人権の無理解が不適切指導を生む - 2018.10.19 Fri
昨日の記事を書いてからこの報道を知ったのだけど、このケースはまさに昨日書いた
>その相手の発憤をうながそうとして否定的なことを言う
に該当します。
大会の結果が3位であったからと、生徒の目の前で賞状を破く。
これが指導だと思っているのだから、なんともお粗末です。
しかし、こういった感情にまかせた行為を「熱血指導」などと、世間も教育界ももてはやしてきた、もしくはそこまではいかずとも許容してきた現実があります。
建前は、「生徒にそういった否定的パフォーマンスをして発憤をうながすという指導」であったことになるでしょう。
しかし、本来プロがしているのですから、そんないいわけは通用しないのです。
これは、単なるかんしゃくです。
その結果が気に入らないからと感情を爆発させてかんしゃくを起こしています。
子供が欲しいおもちゃを買ってもらえなかったからとかんしゃくを起こすのと大差ありません。
それを、教員という生徒に対して権力を持った人間がしているのです。
それは威圧であり、自尊心を傷つける否定となります。
もちろん、そこに教育的な効果はありません。
「俺が望む結果を出さなければ、いやがらせをするぞ」というハラスメントです。
それを受けて生徒は、どういった精神的な成長をするでしょうか?
もちろん、それは個々によります。
・自信や自己表現を萎縮していく
・自尊心の否定をされないために結果を出す
・自尊心を傷つけられた腹いせを、後輩などの他者に意地悪な行為として出す
・目的のためには他者の自尊心を傷つけてよいと経験的に学ぶ
最悪なのは、ハラスメント体質を連鎖させることです。
その生徒が、社会に出たときや人の上に立つ立場になったとき、自分の意に染まない結果に対して感情のままに他者の自尊心を傷つける行為をするメンタリティを形成してしまう。
こんなのは教育でも指導でもなく、人権侵害であり教育破壊です。
教員が正しく人権を理解していれば、起こりようもないこと。
しかし、似たようなケースは枚挙に暇がありません。
本当に恥ずべきことです。
子供相手だけでなく介護や看護など、人に接する仕事をしている人は、人権を理解することも職務上の義務と言えるでしょう。
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大人の私がビクッとするほどだったので、子どもにとってはどれだけ怖かったかと思います。
しゃくりあげて泣いている子は、きっともう、なんで怒られたかなんて記憶になく、恐怖しか覚えていないだろうなと思います。
このやり方じゃ、子どもの心を育てられるわけがないのに・・・と、すごく残念でした。