子供を伸ばす関わり方 Vol.2 - 2012.10.15 Mon
例をとって説明しよう。
またもや滑り台だが、子供が滑り台に登り、滑り口のところで高さを味わっていたりして、すぐに滑らないことも多い。
そんなとき、後ろから次の子が来ると、ついている大人は
「早くすべって」 などと声をかける。
言葉をもうちょっと惜しまない人だと、「お友達来てるから、滑って」などと言う。
これらの言葉だと「指示」なのだが、
こういったとき、僕はすぐに指示はせず、その理由となることを伝えるということをしている。
「後ろに待っている人いるよ」
まずそれだけを伝えて、子供に浸透するのを待ってみる。
するとそこに子供が「考える」プロセスが生まれる。
小さい子だから理由を言ってもわからないだろう、と考える人は多いが、普段からこういった言葉のやり取りなどを積み重ねていると、子供はそれなりに理解して行動するようになるものである。
子供は自分で考えてならば納得して行動できるので、こういう経験を積み重ねていけば、指示をしても聞かない子供に繰り返し指示し続けるよりも、よほど早く行動できるようにもなる。
先ほどの「お友達来てるから、滑って」これでも確かに理由も入っているのだが、意味がひとつの言葉に2つ含まれているので、1、2歳児ではやや理解しにくい。
また、語としてはどうしても指示の部分の方が意味合いが強くなるので、子供はその部分を強く受け止め、考える力を育てる方にはなりにくい。
ただ、それまでに「考える」プロセスのある会話を積み重ねて来ていれば、それでもおそらく通じるようになるだろう。
ときに応じて、僕もそういう言い方をすることもある。
歩道を歩いていて、急に自転車が来たときなど、「自転車くるから、端っこよって」など理由付きの指示をする。
普段から考える力がついていれば、そういった言葉をかけられたときの理解も速いはずである。
緊急性がないなら、「後ろから自転車きてますよ」でもいいだろう。
このような、子供に「考える余地」を残して関わっていくのは、当然ながら滑り台や歩いている時だけではない。
生活のすべての場面でたくさんでてくる。
食事中、子供が口の周りを汚していたり、ご飯がついていたりしたとき、何も言わず拭き取ったりしてしまう大人は多い。
しかし、ここで「お口の周り汚れているよ」と知らせれば、だんだんと自分で拭けるようにもなる。
大人が手伝うにしても、それでできなかったときからでも遅くはない。
さらに、そこで考えるプロセスは、食事をしていて口が汚れるという認識や、それにどう対応すればいいのかという、そこでは直接教えていないことも、子供は自分から学び取ることがだんだんとできていく。
ただ大人が手を出して手伝ってしまうのは簡単だが、そのとき考えるプロセスを大人が残して関わっていくのと、そうでないときの積み重ねの差はやはり大きくなる。
子供を「指示で動かすものだ」と考えていると、その指示の量たるや膨大なものである。
指示で動ける「よい子」「しつけられた子」になる前に、ちっとも大人の言葉に耳を貸さない子になっている例もたくさんあるだろう。
(しかし往々にして、子供はそうなるので、そこで大人の「厳しく」や「甘やかさない」や「叩く」ということが起こっている現実がある。これについてはまたの機会に)
ちょっとした手間を省かないだけで、子供を自分で考えて動ける子にすることができる。
そういう子供の方が子育てが楽であるし、楽しくもあり、また大人も気持ちに余裕が持てるので可愛がることもしやすいだろう。
- 関連記事
-
- 成長の瞬間 Vol.2 ―「できない」も経験のうち― (2013/05/16)
- 成長の瞬間 Vol.1 (2013/05/13)
- ロッテンマイヤーさんシンドローム (2012/12/08)
- レストランでどうすればよかったか (2012/10/23)
- 子供を伸ばす関わり方 Vol.3 (2012/10/16)
- 子供を伸ばす関わり方 Vol.2 (2012/10/15)
- 子供を伸ばす関わり方 (2012/10/14)
- 現代の子育て ⇒ 過干渉 (2012/09/19)
- 「いいなり」の構造 (2012/06/28)
- 小さな経験の積み重ねが大切 (2012/03/26)
- 子供は常に自立に向かっている (2012/03/05)
● COMMENT ●
No title
まゆさん
一度それが経験できてしまえば、今後なにかあってもきっと焦らずに子供そのものを見据えて関わっていけることができると思います。
本当によかったです。
トラックバック
http://hoikushipapa.jp/tb.php/345-a3d1422e
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
子どもに考えさせる時間を与える声かけ、参考になります。
さっそく実践できるよう意識してみます。
1ヶ月ほど前に3歳の娘の排泄の自立について相談させていただきました。
その後、出来る限り焦りを捨て、トイレのことはしつこく言わず、スキンシップを多くすること、過干渉をやめ経験を多くさせること、指示・命令ばかりにならないこと、ありのままを認めること、などを意識して1ヶ月過ごしてきました。
すると、これまでは「できない、できない」ばかりだったお着替えや靴の脱ぎ履きなど、私が何も言わなくても自分でやるようになりました。(もちろんうまくいかないときもあります)
また、脱いだ服を洗濯カゴに入れに行ってくれたり、食べこぼしたものの掃除を手伝ってくれたり、教えていないこともどんどんとやってくれるようになりました。
この調子で続けていけるといいなあと思っています。
ほんとうに感謝の気持ちでいっぱいです。
トイレのほうは相変わらずオムツで過ごすことも多く、自分からトイレを教えてくれたのは2、3回かな・・・というところですが・・・。
気長にもう少し「いい関わり」をもてるように努力をしつつ見守っていこうと思います。
ほんとうにありがとうございました。
また、いい報告ができるようがんばります。
これからも楽しみに読ませていただきます!