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2024-03

怒ると叱る - 2013.08.07 Wed

前回のところで怒ったり叱ったりということがでてきましたので、それについて感じていることを少し書こうと思います。

よく世間では「怒るのではなくて叱ることをしなさい」だとか、「叱り方が大事」というような話を耳にします。


僕はこのことも確かにそうではあると思うのですが、しかし一方で「怒る」っていうことも、それはそれで大事なことだと思っています。







怒ると叱るの違いというのは、おおむねこのように理解されていると思われます。


「怒る」というのは感情的な子供への関わり方で、「叱る」というのは理性的な関わり方。

「怒る」が怒る人の気持ちや主観に照らし合わせて怒るのに対して、「叱る」のはことの理非であるとか、一般的な価値判断に照らし合わせて叱る。

というあたりで一般的に思われているのではないでしょうか。


確かに、怒るのがクセになってしまっている人や、ヒステリックになってしまう人が子供に対すると、はなはだ感情的な「怒る」になってしまいます。

こういったものはたしかに好ましくないと思います。


しかし、特に小さい子供を相手にしていますと、子供は「理屈」で価値判断しているわけではないことに気づきます。
これらの話は『正論では子供を導けない -過保護と過干渉- その5』あたりにも書かれています。



子供の行動を律しているのは、世間一般の常識やことの善悪ではまったくなくて、「親の思い」にあるのです。

親と心のつながる子供に育っていて、親がぶれずに子供に「こうしてほしい」とか「こういうことはしてほしくない」としっかりと思っているならば、子供はそこに照らし合わせて自分の行動の判断をしています。

だんだんと年齢があがってくれば、それは「親」だけでなく少しずつ「身近な大人」や「世間一般の大人」などへと広がっていけます。

子供の心の中には「親の思いの投影」が形成されているのです。

世間的な善悪だとか理屈だとかは、これらがきちんとあってこそのものと言えるでしょう。

親の思いが基盤となって、社会性が育ってきた後に善悪だとか常識だとかという形で身に着けていくことができます。




小さい子供に叱ったとき、子供はその理性的な諭しを理解して受け止めているというよりも、そこでの大人の思いや感情を汲み取って、これはその人はよくないと感じていることなんだなという心情の部分を理解しているといえるでしょう。

だから叱ることが通じないわけではないのですが、「それを私は嫌なんだ!」ときっぱり示す、つまり「怒る」ということもあながち悪いことではないと思うのです。


特に最近の子育てをしている親の世代というのは、この「自分の気持ちを主張する」という行為が大変苦手・下手であるような気がします。

親がきっぱりとした基準を示せないために、混乱していたり、していいこととよくないことの境界があいまいなままだったり、ぜんぜん持たずに成長している子がとても多いことを感じます。


僕は「叱らなくていい子育て」というのを述べていますが、そこの本文にも書かれているように、それらは「叱ること」「怒ること」を否定しているわけではありません。

必要があるならば、叱ったり怒ったりすることも親としては大切な役目です。


叱ることや怒ることは必ずしも、相手を否定することになるものでも、尊重しないわけでもありません。

もちろん、その叱り方怒り方によってはそういう使い方もできてしまいますが、それは「仕方」にあるというよりも、大人の心の方に問題があるといえるかと思います。



というわけで、「怒る」ということも大事なのだということを僕は再評価したいと思っています。

「怒る」は、これは「私は~~なのだ」という一人称のメッセージなのですね。

子供と大人の間に、信頼関係があって、心のつながるパイプができていれば、そういった大人の思いというのは子供の心の中にきちんと住みつきます。

それは信頼関係とパイプが大きければ大きいほど、揺らぎないものとして、子供の心の中に宿るのです。


イライラを吐き出すような、感情的な怒るになってはよくないけれども、「親として自分がどう思っているか強い意志を示す」という意味では「怒る」というのも大事なことだと僕は思います。

とくに「弱い大人」タイプの人はなおさらそうではないでしょうか。


子育てで大事なのは「○○すべき」「○○してはならない」というようなしつけや規範というものを教え込むことよりも、まずは受容的な親子関係から育まれる親子の信頼関係であって、それがあればおのずと「大人の思い」の中から子供のものの判断というのは形成されてくるものだと思います。


「弱い大人」タイプの人は、自分の思いを子供にはっきりと示せない一方で、ごまかしや脅しを使ったりして子供との信頼関係を損なってしまう積み重ねもしてしまうので、子供に親の思いが伝わらない上にさらに伝えにくい子供にしてしまっています。

これでは年齢があがるにつれて子供をコントロールしきれない状況になってしまいます。

子供の行為を苦々しく思ったまま放置したり、大変が高じて無視になってしまったりするよりも、「怒る」という自分の気持ちをきっぱり示す行為というのは、はるかに大人として誠実な対応だといえるでしょう。
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● COMMENT ●

はじめまして。

いろいろな考え方がありますよね。
私も、子育てをしていて悩むことがよくあります。
悩んだときは、妻と相談しています。
自分たちの子供のことですからね。

良い一日を♪

No title

4歳になる娘と2歳の息子の母親です。

娘はまさしくネガティブ行動で気を引こうとするため昨日も保育園で先生方に家での様子を質問されました。最近は私の言う事をスルーして7~8回言わないといけない状況です。
息子は一昨日カンシャクが大爆発して途方に暮れたばかりです。


娘が生まれてから4年間をふり返りながら全て私がまいた種だと改めて反省しました。

大変が高じて見ぬふりをしなければやり過ごせない程悩みながらあれやこれやと工夫して向き合ってきたのですが、1歳半で弟が生まれ満たされないまま娘も頑張って来たんだなと思うと胸が締めつけられます。
してやらればならなかったであろうたくさんの事を今から取り戻したいと思います。

今日は保育士の先生に全てを書いた手紙を渡しました。力を貸して下さいとお願いしました。

これから過去の記事を読ませて頂きながら勉強して行きますが、相談もさせて下さい。お忙しいのに申し訳ございません。

はじめまして。 3歳になる娘がいます。 娘に遊ぶ力がない事に悩んでいます。 家ではもちろん、一人で遊ぶ事もなく、私が相手しても遊びが続きません。 遊んでても、毎日毎日同じ遊び、同じ台詞ばかりで、どうなのかと思っています。 違う遊びを促しても、数分でおしまい!と言います。 次何して遊ぶ?と聞いても遊ばない!と言ってソファーでゴロゴロし始めたり、テレビをつけると、一日中でも見てしまいます。 絵を描かせて、描いたものを聞いても、毎回アンパンマンと答えます。 外で、遊ぶスペースなどがある場所に連れて行っても、同じく、遊びを見つけられず、ウロウロします。 人の遊んでる玩具ばかり欲しがり、手に入っても一瞬さわるとすぐ、ポイしてまたウロウロ、また友達の玩具を欲しがり、ポイ…を繰り返します。 私がこれで遊ぼうといっても、ウロウロが止まりません。 落ち着かないようです。 下に1歳になる息子がいます。 愛情不足でしょうか… 娘の性格は素直で、聞き分けのいい子で、あまり困らすような事がない子でした。 妊娠中、息子が産まれてから、はあまり相手してあげれていなかったと、思います。 どう遊びを促したらいいのか、わかりません。 遊びたくないようです…

祖父母との同居について

いつもブログ拝見させてもらってます。
現在、3歳の娘と1歳の息子がおり、旦那の両親と同居しています。
これまで、さんざん勝手におやつはやらないでほしいだとか、子供のことで両親にお願いしてきました。
改善されたものもあれば、そうでないこともあり、子どもが祖父母と同居するのにあたり起こりやすい傾向だったり気をつけた方がいいことなどあれば教えてください。
日頃はよく面倒を見てくれるし、感謝してますが、基本、過保護で、私が怒るとすぐばあちゃんと言って逃げます。悔しいです。私は母なのに悪者になってばかりで辛いです。
子どもを思って言っているのに、怒らないばあちゃんに泣きつくのを見るて腹が立ちます。
何かいいアドバイスください。
一方的な相談ですいません。

こんにちは

いつもブログ読ませていただいてます。

2歳になったばかりの息子がいます。

以前は息子に対し過干渉の傾向にあったのですが、今は色々考え息子の行動にあれこれ口出しせず、でも本当に正さなければいけないことに関しては、叱るようにしています。

テーブルの上に登ったり、機嫌が悪いときに食器を落としたりするのですが、そういうことをすると私は強めの口調で叱る(怒る、かもしれません)のですが、主人はどんな時も優しい口調で諭します。

このように、どんな時も諭すように叱っていたら、子どもはやっていいこと、悪いことの境界線が曖昧になってしまうのでしょうか? 本当に正したいことに関しては、ビシッと「怒る」ようにしてもらった方がいいでしょうか?

お忙しいところ申し訳ありませんが、よろしくお願いします。

さえさん

子供は何歳になってもかわっていくことができます。

ただし、それは親がそれに気づいて親自身が対応を変えようとおもえばです。

さえさんのところはそれができたのだから少しずつでもできることをしていけばいいと思いますよ。

ななさん

こちらの記事が参考になると思います。
http://hoikushipapa.blog112.fc2.com/blog-entry-437.html#more

しかし、変えようと思う前にそういった姿も別におかしいことではないということも確認しておきましょう。

何がわるくなくとも遊びが長続きしないことだって普通にあることです。

参考にあげたところにも書いてありますが、「よくないから変えてやろう」という関わりになるのはあまりいい対応とはいえません。

まずはありのままを認めるところから、少しずつ力をつける・伸ばす方向へゆっくりとあゆんでいけばいいのです。

なにしろまだ3歳なのだから、成長の途中も途中ですよ。

ともこママさん

祖父母が孫に甘いというのは、これはもうある意味避けられないことなのでしょうね。

子供にはあれほど厳しかったのに、孫にはなんでこんな甘くできるのだというような不思議なことがなぜか普通にあるようです。

このあたりはまあ、バランスをとりながらなんとかやっていくしかないことなのでしょうね。


でも、孫に甘い祖父母というのは、いいことです。
孫に対しても異様に厳しかったり、ある子だけを偏愛したりそんな悩みもたくさん聞きますから、可愛がってもらえるなかでの悩みというのは、どちらかというと贅沢な悩みの部類になるのかもしれません。

また、なんだかんだ言っても子供を見てくれる人がいるというのは、まずは子育てにプラスに働いてくれるものです。


>私が怒るとすぐばあちゃんと言って逃げます。悔しいです。私は母なのに悪者になってばかりで辛いです。
子どもを思って言っているのに、怒らないばあちゃんに泣きつくのを見るて腹が立ちます。
何かいいアドバイスください。

このことは、その思いを子供にきちんと伝えてみるということをまずしてみるといいと思います。
怒ったり叱ったりして言う必要はありません。
そう思うのならばその思いをそのまま伝えればいいのです。

行動そのものはかわらなかったとしても、その思いは必ず子供に届くことでしょう。
それは無駄ではないと僕は思います。

ヨッシーさん

個性の尊重ということを考えると、「人は人と違っていい」という考え方が導き出されてきます。

これは子供も大人も同様のことです。

一方が、「それはいけない」と言っているのに、もう一方は「構いません、どんどんおやりなさい」というような違いですと、これは背叛することなので子供は混乱してしまい、ものごとをすんなりと身に付けていけなくなってしまいますが。

ヨッシーさんのところでは、一方が強くいうけれども、一方は優しく言うということなので、根本のところでの行き違いはないわけです。

そういう意味では、強く言う人がいて、優しく言う人がいたとしてもそれはそれで破綻していないわけです。

なので、その根っこのところで違いがなければそれは大した問題ではないと思います。


ただ、それは優しい言い方でもそれなりに伝わっているという事実があればです。

もし、一方が優しい言い方をすることで、子供にそのことが伝わっておらず、困ることを繰り返ししたり悪びれていないなどという状況でしたら、それはその子にはその時点でその言い方では伝わっていないという可能性があります。

そういうことになっているようなときは、大人間で伝え方について話し合って考えていくことがあってもいいかと思いますよ。

怒ってしまいます。。。

はじめまして。1歳3ヶ月の娘を持つ りなと申します。
Yahooニュースの参考?でお見かけして以来、子供との接し方を変えよう! 元から持っている「可愛い」を伸ばそう!!と努力中です。

相談というか、アドバイスがあれば教えてください。
4月から保育園に預けてまして、私が洗い物をする時間=朝・夕のご飯が終わったら、TVをつける習慣がついてしまいました。
最初はおとなしくしてくれるから ラッキー!程度で見させ始めたのですが、最近はご飯終わるころTVを見せろ!という感じでグズります。
酷いとき(夕飯が多いです)はご飯があと少し というところでもギャンギャン泣き出すことも。
もちろん、ご飯は食べ終わってから、夕飯の場合は歯磨きまで終わらないと、どんなに泣いててもTVは見せていません。

保育園へ預ける前は「なるべくTVは見せない」と頑張ってたのですが、今はTVに頼るようになっているのも事実です。
私はどちらかというと「弱い人」かもしれないのですが、ギャン泣きが始まり、言い聞かせをしてもグズグズ・ギャンギャンされると 悪いと思いながらも「うるさい!」と怒鳴ってしまうこともあります。

一概にTVが原因とは言えないと思いますが、悪循環ループを絶つには、TVを止めることなのか。。。 満足感を与えられるように もっと接することなのか。。。模索してます。
何かアドバイスをいただけると幸いです。

最後になりましたが、本を出版されるとのこと おめでとうございます!!
ブログ更新も本も楽しみにしています。


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楽しく無理のない子育てを広めたいと2009年ブログ開設。多くの方の応援があって著作の出版や講演活動をするようになりました。 現在は、子育て講演や保育士セミナーの他、『たまひよ』や『AERA with Baby 』等の子育て雑誌の監修やコラム執筆。『ジョブデポ保育士』の監修や育児相談などをいたしております。

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