「子供」の尊重 (「疎外」 -支配と束縛の子育て法- vol. 3.5) - 2015.05.23 Sat
僕は、子育てを精神論や感情論にしたくないので、あんまり叙情的なものは書かないようにしているのだけど、疎外されて苦しむ子供たちがいることへの思いがあふれてしまって、ああいったお話しも書いてしまいました。
たまにはいいよね。
ですので、この記事は『「疎外」 -支配と束縛の子育て法- vol.3』の続きとして読んでみてください。
以下本文。
なぜこのように疎外が多用され、しかもそれが、さも「うまい子育て」であるかのように考えられるようになってしまったのでしょうか?
そのことを意識してやっている人は皆無だと思いますが、子供に対してこういった扱いをしてしまう根底には、子供のことを見くびった大人の意識があるのです。
疎外にしてもそうですし、子供を脅しで言うことを聞かせること。
普段からの子供を威圧したり、叱る、といった関わりで「大人を怖い存在」にしておくことで、子供を大人の思うとおりに動かすこと。
また、そのような強い関わりだけでなく、子供をモノで釣ること、ごまかしや偽りの褒めで誘導するといったことも同様です。
これらの大人から子供への関わりの根っこには、「子供をどうにかしてやろう」という大人の側の意識があります。
そして、それのさらに元には「子供はどうせわからないから」と、大人が一方的に子供の力を軽視していることがあります。
例えば、「二の腕を引っ張って子供を動かしてしまうこと」は、「この子は自分でそこへ移動することができない」という先入観があります。
「言葉でそれを伝えて理解して動くことができる」と、その大人がその子のことを信頼しているのであれば、そしてそれを実行するまで待つことができるのならば、そのように無理やり動かしてしまう必要はありません。
その信頼することが、すなわち本当の意味で「その子を尊重する」ということなのです。
しかし、子供の能力を軽視してとらえているので、子供自身の力を伸ばすのではなく、大人が求めることを「させてしまう」ことに、子育ての中で重きを置いてしまっています。
それが、これまでの日本の子育てのスタンダードなものとなっていました。
保育士のような、子供に関しての専門家までが、その「当たり前」にどっぷりとつかっています。
いつの間にか、子育ての主体が大人になっていて、子供は「させられる」だけの存在になってしまっているのです。
本当は子育ての主役は「子供」なのだけど、現実には、大人の思うとおりにさせられる「対象」になってしまっています。
こういった大人の方の意識が、いつのまにか子育て全体を、「子供に言うことを聞かせるうまいテクニック」の集まりにしてしまっています。
特に、ひとつふたつ前の子育て世代(つまりいまの祖父母世代)は、すでに子育てがいろいろ難しくなり始めた状況(都市化・核家族化など)で、孤立無援の子育てをしいられてきたので、そんなテクニックばかりが横行してしまいました。
「子供なんてどうせわからないんだから、言うこと聞かせときゃいいんだ」
保育士はもちろん、世間の人もみんな「私は子供を尊重しています」と口では言います。
でも、厳しいことを言うようだけれども、多くの人の子供に対する見方の根っこには↑これがあります。もちろん、無意識にでしょうけれども。
というよりも、社会があまりにそういう見方で長いこといたので、それ以外の捉え方があることに気づけなくなってしまっているのでしょう。
しかし、子供との信頼関係を築いて、子供自身に成長の力を持たせることができることを経験すると、そのように疎外だとか脅しだとか、モノで釣ったり、ごまかしで子供と関わることが、いかにつまらなく、またもったいないことであるかがわかると思います。
これは本当に経験してみないことにはわからないことでしょう。
このブログを読んで、我が子の子育てが楽しくなったとおっしゃってくれる方は、おそらくそのことをやってみて実践できたからだと思います。
子供との間に信頼関係を築いて、自然と寄り添ってくれる存在になってくれることは、本当に素晴らしいことだと思います。
子供を「大人の言うことを聞く」だけの存在にしてしまうことは、それに比べたらとてもつまらないことです。
少なくとも保育士は、子育てのプロとして、本来ならばそういうことを伝えて広めていく立場にいるはずです。
でも、現実にはその逆のことを徹底してやっている人たちが、まだたくさんいて、今後も子育ての課題は大きいなと感じてしまいます。
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● COMMENT ●
相談させてください
突然すみません。
悪循環からぬけだせず、気持ちがかなり追い詰められています。
もしよかったら何かアドバイスをいただけないでしょうか?
3歳の男の子を育てています。
0歳の時はとにかく可愛いくて常に構っていたけど、私からの一方通行な関わりが多く 子供が望んで親がそれに応えるというカタチは少なかったように思います。よく笑う喜怒哀楽の激しい子でした。
1歳半あたりから、好奇心からじっとしておらず 私が遊びに誘うのも(ちょっとじっとしてほしいという下心あり)嫌がり無視するようになりました。
ただ、この時の私は周りから見ると構いすぎだったようです。
私自身、気持ちが不安定で構いすぎ 言うことをきかない子供に怒ったり 不機嫌になったり 口うるさく干渉したりしていました。
育児相談で構いすぎと言われ、子供から求めてくるのを待とうとしたら一向に求めてこず、指しゃぶりが始まってしまい また相談したところ、やめさせましょうと 、、とにかく悪循環で私も良くない対応ばかり。
今思えば当たり前です。今まで求める前に親が察して与えてきたんですもの。
自分で求めて、それが叶うという経験が、とても乏しい子供に育ててしまいました。
今では、私からの関わりはほぼ拒否(無視か話をそらす)目もあまり合わせない。
でも、愛情?暖かい関わり?は欲しいんでしょう。上辺だけの要求。急いでる時にわざとゆっくり動く。やたらとベタベタ寄りかかってくる。
〜したい時は「〜して」て言うんだよ。と言うと頑なに言いません。自分の意思を伝えるのも苦手です。
そもそも私に伝えたいという意欲が萎えてしまったのかも。
くすぐり遊びは、笑いますが嫌がります。本気で泣きそうです。
私発信の関わりは拒まれ、違う!コレがしたい!とは言うけど、実際しても楽しくなさそうなのでコレも上辺の要求だったか。もうどうしたらいいんだと行き詰まっています。他の人のペースが怖いのかな。
他には失敗を怖がり、失敗するとわざとやったんだと強がったりごまかしたり。
なのに勝ち負けにこだわり、ねぇ僕勝った?ママ負けた?など いつも聞いてきます。
遊びは楽しいからするという感じはあまりありません。できるできないを気にします。
いろいろ書きましたが、優しい子なんです。泣いてる子がいるとソワソワしだして 知らない子でも助けようとします。
今思えば、あの1歳半の時 好きに遊ばせてあげればよかった。ただ待って、何か求めてきた時に応えてあげればよかったじゃないかと後悔しています。
これまでの負い目があり、最近はいいなり化してしまっているかもしれません。
お菓子とかビデオとかはダメと言ったら最後まで許しませんが、片付け、お風呂等は声かけを無視されたまま時間が過ぎることが多く、かと思えば関係ない話をしてきたり、これにはどう答えたらいいのか悩みます。
(ちなみに主人は脅し系で叱り、子供は言うことをよく聞きます)
長文、読みにくい文章で申し訳ありません。
何かお気づきのことがありましたらお願いします。
おとーちゃんさんへの質問なのに、気になったのでコメントさせてもらいます。
お子さんは泣いている子どもがいたら、ソワソワして心配しているのですね。繊細な優しい一面がおありですね。その気持ちが見えた時、嬉しい、心地よいといったお気持ちでしょうか。私ならふっと肩の力が抜ける気がします。子育ての疲れがいっきに吹き飛ぶような感覚です。日々そんな瞬間があるととても楽しいのだろうけど、子育て4年目の私にはまだまだ難しいです。今はお辛いでしょうね。お子さんの為に色々考えてるのに、上手くいかないとストレスにもなりますよね。で、私はまた次に子育てに行き詰まったらのハナシなんですが...ありきたりですが根本的な理由を見つめなおします。1人で抱えこむより周りを巻き込んでみたり、自分の自信を取り戻す方法を工夫してみます。あと余計なことをしない。かな。本当に自分が今やる必要があるのかないのかと考えて行動します。今やる必要がないことを減らすと結構、肩の力が抜けました。まとまりのないハナシで恥ずかしいですが理由を見つめ『工夫して日々を楽しくする』。すると、子どもの情緒が安定した。こんな効果を実感したので書いてみました。子育ての具体的なケースについてのノウハウはおとーちゃんさんのブログに盛り沢山ですよね。直観で考えることが優位なタイプなので理論的に言うのは不得意でして、感情論です(=゚ω゚)ノ。ちゃいさんに失礼があったら、すみません。
ちゃいさんへ
家の中よりも、自然の多い公園に出かけてみませんか?
ダンゴムシや、アリ、泥や砂遊び。ブランコやシーソー。
階段を上り下り、坂道をかけおりる。
こどもの好奇心や興味も自然に出てくるかもしれません。
まだ未就園でしたら、未就園児の親子サークルなどでいろんなお母さんやお友達と遊んでみませんか。
勝ち負けにこだわるのは悪いことではないと思います。
うちの子も、トランプなどでまけると号泣するため、私が甘やかして、親がわざとまけてあげてしまってます・・・。そのうち、外では勝ち負けで大変なのだから、家庭ではいいかな・・・と。
失敗は、私がよくうっかり失敗するところを見せてます。というか、ほんとうによく忘れ物をしたり、勘違いしたりするので見せざるを得ません。あはは~でお互い済ませていいですよね笑
見当ちがいだったらごめんなさい。元気でますように…!
ちゃいさんへ
息子さんの育児、頑張っておられますね。
大変なことと投げ出さず、正面から向き合っておられますね。
多分、ちゃいさんはとても真面目な方ではないでしょうか。
私は5歳の息子と3歳の娘、7ヶ月の娘がいます。
3歳の娘に手を焼いています。
本当は可愛くて天真爛漫で賢い子です。
受容、共感、心の言葉を使う、他にも色々ここで学んだ事を実践しているつもりです。
でもネガティブ行動ばかり。
多分、賢い娘は、私の「この子にこうさせよう」「こうしてやろう」といった下心を見抜くのです。
ここからどうすれば良いか、私にはおとーちゃんさんのように的確なアドバイスはできません。
私が何となく思うのは、あれこれ気にせずに、考え過ぎず、子供に何も求めず、
ただ、お互いに心地良い時間を、毎日少しずつ過ごすことが大切なのかなということです。
今朝は、寝起きの娘と5分だけ、布団の中でゴロゴロしました。
早く起きて朝食の用意しなきゃとか、色々な事は一旦忘れました。
くすぐりは例えなので、何でも良いと思います。
心地良い時間の共有から、少しずつ楽しい時間、笑顔を共有できるようになって、だんだん「先回りした関わり」の効果が出てくるのではないでしょうか。
息子さんの優しさ、満たされているからこそのものです。
家の娘も、妹の手をわざと踏んだりしますが、寝ぼけながらも泣いている妹に優しくトントンしている姿があり、この本来の姿を何とか伸ばしていきたいと頑張っています。
ご自分を責める事なく、反省しても後悔はないように、おおらかに、お互い頑張りましょうね。
ありがとうございます
アドバイス、本当にありがとうございます。泣きそうになってしまいました。
おとーちゃんさん、申し訳ありませんがこの場を借りて お礼と近況を伝えさせてください。
最近、息子のいろいろな行動を見ていて 思うのは「わざと怒られるようなことをすること」「自分のしたことに反応してほしがる」ことがとても多いということです。
どうせ僕なんかとうヤケクソな気持ちとそれでも構ってほしい気持ちがあるのかな。
自分という存在を見てほしい気持ちが強いからか 悪い行動を無視するという対応は逆効果で。かえって悪い行動が広がってしまい、相手にしないことが増えて、更に見てほしい欲求から悪い行動が増える悪循環。やめた時に褒めても、そこから また悪い行動を始めてしまう。おかげで遊んでる最中にも遊びをわざと壊したりふざけ過ぎたり。
昨日は ぐずるためのぐずりのオンパレードで、次々と出される上辺の要求(無理難題)を断り続けて なんだか罪悪感でいっぱいになりました。
遊びの誘いは無視、構おうとすると ふざけて支離滅裂なことを言い 聞く耳を持たなくなるので、なかなか難しいですが、
なんとか少しずつ息子の行動にプラスな関わりを始めて、たまにはおふざけにも付き合って。様子を見ています。
こたつ猫さんの言うように、もっと外にでて少しでも楽しく過ごせる時間を増やしてみたいと思います。
幼稚園に通っているので、その間に自分が少し休んで。
私の心と ことごとく逆をいきますね。言葉ではごまかされません。ここら辺は、のぽちゃんさんの言うように下心を見抜いているみたいです。
前に私の限界がきて、もうどうにでもなれ!と何も考えずに過ごした日があり、親子ともに少し楽でした。もうとにかくその場が過ぎればいいと、動かないなら背中を押して動かしてしまう、抱っこして帰ってしまう、着替えないなら私が着替えさせる、逃げ回る息子を追いかけながらクリームを塗り歯磨きも無理やり、、、ですが、やっているうちに。しまった、この子は何も要求してないのに(無視したり逃げてるだけ)してあげるのはダメだろうと。
それで、こう言う時は○○って言うんだよー。と言っても無視、それか歩きながらそっぽを向きながら言う。「それじゃ嫌だな。ママを見て言ってほしい。」と言っても、逃げ出す。言えない。遠くからママーと叫ぶ(でも私の方は見ない)
諦めると自分でやります。それかずっと1人でゴロゴロしています。決して頼みません。
どうしてそこまで、、、と悲しくなり、またループにはまり、同じことの繰り返し。全然抜け出せません。
でも ここまで書いて、あれ?私の対応ってブレブレだなと気づきました。
典型的な弱い大人ですね。
あまり愛されずに育ったので子供には愛情をと思ってきましたが、愛情が何かすらわかってないのかもしれません。
毅然とと思っても、いつもは全て許して何でもやってあげる主人と、主人になつき私を無視する息子を見ていると 自分ひとりが悪者のようで、私のやり方が間違っていたのかなと日々自信を失っていく毎日でした。
すみません。まだ頭が混乱していて 皆さんのお話をちゃんと理解できていないかもしれません。
それでも、暖かいメッセージをいただけたこと本当に感謝しています。
ありがとうございます。
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お忙しい中更新ありがとうございます
長男が小学校に入学したての頃のエピソード、今回のお話に重なると思いコメントさせていただきます。
その頃はまだおとーちゃんさんのプログに出会っておらず、今思えば、子供を軽視した育児していました。
長男から発せられた有る一言で目が覚める!その日までは。
その一言は「僕が年中の頃ね、お母さんは、ガミガミ僕に言って来て、それで僕は凄く嫌になって家に居たくないって思ったんだよ。お母さんは、僕の事嫌いで僕は必要のない子なんだと思った。」
気持ちを伝える術を持った長男が過去を語る衝撃的な一言でした。
当時、特別におかしな育児をしていたつもりは有りませんでしたが「生を受けた時から心は一人前、私達と同じ様に感じるんだ」と言った視点を持っていないが故の私の言動が長男の心を傷付けていたんだと気付かされました。
幸いその時期におとーちゃんさんさんのプログに出会えた事もあり、存在の肯定をひたすらし、母親で有る私も、至らなかった場合は同じ目線から謝り、日々大切に心を育てています。お互い本気でぶつかり、本気で涙を流し、もぅ疲れちゃうなぁ〜なんて事もありますが、まぁまぁ良好な関係を築けているのではないかと思っています。
現在小3の長男は、いっぱしのダメ出しを親にしてきたり、その年齢相応の行動で生意気な姿になって少しづつ親離れ?おります。でも、まだまだ目は離せません。
おとーちゃんさん、いつも核心に迫るお話をありがとうございます。
これからも更なるご活躍期待しております。