【まとめ】 「受容」を具体的に見ると - 2016.11.02 Wed
①「あたたかな肯定的な関わり」を子供にすることは、その多くが受容として機能します。
「かわいいわね」「大好きよ」と子供に伝えることももちろん受容になりますが、日常生活のさまざまなことをあたたかく肯定的に行うことでも、それそのものが受容となっていきます。
例えば、一緒に食事をしながら「おいしいね」と子供とほほえみ合う。
これだって受容になりえます。
しかし、その食事の場面を、「残してはいけません!」「早く食べなさい!」などと子供に管理的だったり、支配的にしていたらそれはあまり受容としては機能しないことでしょう。
おむつ替えだって、無言でするのと、笑顔であたたかな言葉をかけながらするのでは、そこで子供に与えるものがまったく違ってきます。
そこからわかるように、子供を精神的に満たしていくためには大人の心持ちや姿勢が大きな意味を持ちます。
②ところで、外国ではそれこそ挨拶代わりに子供に「I love you」といった言葉をかける文化のところもありますが、日本ではあまりそういった家庭は多くはないことでしょう。
一方で現在は共働き家庭も多くなり、親の時間的余裕や精神的余裕も少なくなっています。
そういうわけですから、意識せずとも自然にまかなわれる受容的関わりは多くないのです。
その一方で、子供へのさまざまな要求は多くなりがちです。「しつけ」であるとか、「勉強」であるとか。また保育園に預ける人も多くなり、その保育時間も長時間化する傾向があります。
そこで、意識的な「受容」が必要になっています。
③では具体的な「受容」の仕方について見ておきましょう。
僕は受容で大切なことを3点あげています。
ひとつはよく言われるように「スキンシップ」です。
例えば子供を抱きしめることは、なにも言わずともそのままその子への肯定つまり受容となっています。
抱きしめることでなくとも、頭をなでたり、髪をとかしてあげたり、手をつないだり、身体をさすってあげたり、そういった皮膚感覚の接触は子供の心に安定をもたらします。
二番目は、言葉を使うことです。
「かわいいなー」
「大好きだよ」
「あなたといると楽しいよ」
一生懸命子供に関わっていても、言葉は使っているようで意外と使っていません。
使うのは、「ああしなさい」「こうしなさい」「早く」といった指示の言葉だったり、注意や小言とか、子供を誘導して大人の思い通りにしようとする作為的な言葉などが多かったりします。
現代では、子育てを頑張る人ほどそうなってしまう傾向があります。
ただ、子供をかわいがる言葉を使ってみましょう。
恥ずかしいなんてことはないですからね。
自分の子供をかわいがるのに何の遠慮もいらないのです。
三番目は「私から快く」です。
クタクタになるまで子供の相手をしているはずなのに、子供はちっとも満たされていない、安定していないといったことがあります。
その人は、子供がなにか要求すれば一生懸命かなえて、子供がぐずればなんとかしてそれをなだめようと頑張り、子供が欲しがる食べ物やおもちゃを与え、子育てに一生懸命です。
疲れたり、イライラしてもそれをなんとか心の中に押しとどめて、子供のためと頑張ります。
しかし、なぜか少しも子供は満たされていきません。
どうしてでしょう?
子供が本当に望んでいるのは、大好きなお父さんお母さんに積極的に快く関わってもらうことなのです。
でも、子供はどうしたらそれが得られるのかわからないので、どうしても大人を振り回すかたちで要求をだしそれをかなえてもらおうとします。
しかし、それだと大人は無理を押してすることになるので、いつまでたっても親の望みと子供の望みが平行線です。
大人が自己犠牲で子供のために尽くすのは、結局のところあまり子供のためにもならないのです。
子供が要求してきたことでも、親自身が「嫌だな」「しんどいな」と思うようなことは、きっぱりと「NO」と言ってしまった方が実は子供のためなのです。
そして、大人自身が快く関われるときに、気持ちよく「私から」積極的に子供にあたたかい関わりを向けてあげるのです。
子供の要求に振り回されてしまうのではなく、大人がイニシアチブを持って関わるサイクルにすると子供の安定は得やすくなります。
④僕がよくお勧めしているのは、「くすぐり」です。
くすぐって子供と遊ぶのは、この三つのことが簡単に短時間でもできます。
子供は追いかけっこをされるのも大好きですね。
「まてまてー」と子供を大人が追いかけると、子供はそこに自分への強い注目があることを楽しい遊びのなかで実感できます。
これも受容であり、子供を満たすことにつながります。
⑤多くの人が子供を「○○できるようにしよう」「ちゃんとさせよう」といった、子供を対象として「どうにかしよう」という方向性で子育てをとらえてしまいがちです。
でも、その前にすべきことが、子供にたくさんの「肯定」を贈ることなのです。
「あなたがいてくれて私は幸せだよ」
「生まれてきてくれて本当にうれしかったよ」
「あなたは私の宝物だよ」
これから子育てをスタートするのであれば、この肯定をたくさん贈ることから子育てをはじめてみて下さい。
もし、子育てでなにかつまずいていたら、それが何歳であれ受容するところに戻ってみて下さい。
年齢が大きくなってしまった子には、なかなか「かわいいわね」「大好きだよ」といったことはしにくいかもしれません。
そういう場合は、「ありがとう」という言葉を忘れずに使ってみて下さい。
「ありがとう」という言葉は、その子の行為、ひいては存在への肯定になっています。
もちろん、小さい子にだって「ありがとう」を使ってみて下さい。
⑥また、感情を言葉で表すこともちょっと気にとめておくといいでしょう。
大人は感情を表現することをしなくなりがちです。
「うれしい」
「たのしい」
「おいしい」
「気持ちいい」
こういったよい感情を出していくことも、子供を安心させ受容することにつながります。
大人が心地よく過ごしているということは、直接的な子供の肯定ではないけれど、間接的にいまのこの状況自分のしていることが肯定的に受け入れられているのだという実感を子供に感じさせます。
⑦それによって、あたたかい雰囲気がその場に形成されるのです。
そういう経験をしている子は、家庭でくつろぐことができ、そこに自分の居場所がしっかりあるという自信を持つことができます。
それゆえに安定し屈託のない姿を出して過ごすことがしやすくなっていきます。
⑧こういったことが、大人が望む「○○できるようにしなければ」などの前に必要なことなのです。
そして、それらをクリアしてしまえば、子供の姿を「どうしなければ」と大人が躍起になってこねくり回す必要そのものが少なくなっていきます。
結果的に無理のない子育てがそこにはあることでしょう。
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● COMMENT ●
納得
娘は6歳。来年小学生になります。
久しぶりに記事を読み返してみて、ああ、ここで読んだことを気をつけるようにしていたんだな、本当によかったなと思いました。
小さい頃は癇癪やこだわりが強く、たくさん悩みましたが、現在、いつもにこにこ笑顔のかわいい女の子になりました。
まだまだ口うるさい母なのに、どうしてこんなに明るい子になってくれたんだろうと思うこともありますが、こちらで教えていただいたことを実践しているからかもしれません。
改めておとーちゃんさんにお礼を言いたいと思います。
ありがとうございます。
大人でも
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