『自己肯定感』 Vol.2 - 2010.03.17 Wed
『自己肯定感』の続きです。
前回は、「家庭で自信を持たせる関わりができない。保育施設・幼稚園などでもそういったこどもを否定することがある。」
ということを述べました。
こどもに「自己肯定感」を持たせてあげられない親には様々なタイプがあります。
以前は、人との関わりが苦手な人・親自身が自己肯定感をもてない人が多かったのですが、最近では別のタイプが急増しているように思います。
とりあえず今回は「人との関わりが苦手な人・親自身が自己肯定感をもてない人」という親のタイプについて見ていきます。
まず、「人との関わりが苦手な人」・「自分自身が自己肯定感をもてない人」というのは、こどもとの適切な関わり方を教えてあげたり、こどものいいところを教えてあげて、たくさん褒めてあげたりすることで、けっこう変わっていけます。
つまり、親へのアプローチしだいでこどもも良くなっていけるし、同時にこどもへ良いアプローチをしていくことである程度の期間関わることができれば、それまでネガティブな行動の多かった子も、こども集団のなかでもそれなりに友達を作ったりしてやっていくことができるようになれます。
上で言っている「適切な関わり方」とは、こどもの良い反応を引き出してあげられる関わり方のことです。
「人との関わりが苦手な人」・「自分自身が自己肯定感をもてない人」の、子育てにおける問題は集約してしまうと、多くの場合「こどもとどう関わったらよいかわからない」にあるようです。
こういう人はこどものネガティブな面に目がいきがちで、どうしても叱る、注意する、怒るなどの否定的な言葉がけが多くなってしまいます。
否定や抑圧が重なるので、さらにネガティブな行動が増えてしまうという悪循環になってしまい、どんどんエスカレートしていってしまうので、そのうちこどもとの関わりが感情的になったり、冷淡になったり、あきらめ無関心になってしまったりします。
こういうパターンにはまってしまうと、こどもはまさに「自己肯定感」のもてない子になり様々な問題がでてきます。
そこで、先ほどの「こどもの良い反応を引き出してあげられる適切な関わり方」を教えてあげる必要があるわけです。
こういう親の場合、「こどもが言うことを聞かなくてほんとに困っているんです。どうすればいいんですか?」なんて聞いてくる人はまずいません。
親自身が人と関わることが苦手で自分から打ち解けたりすることがないからです。
そういうわけなので、毎日こどもの様子を伝えたり、褒めたりを続けて、ある程度信頼関係を築いたところで、家庭での様子や大変さ、仕事のことなど聞き共感していったうえで、ゆっくりと時間をかけて伝えていきます。
時間をかけるのは、最初から「こうしたほうがいい!」とか言ってしまうと、自分の子育てひいては「自分を」否定されたととってしまい、いい信頼関係が築けず返ってこどものためにならなくなってしまうこともあるからです。
「適切な関わり方」とは具体的には・・・
ケースバイケースで色々なのですが、多くの場合有効なので僕がよくお願いするのが、
「毎日ちょっとの時間でいいからくすぐってあげて」
です。
本当に人との関わりの苦手な人でも、これならできるからです。
そして確実に効果があります。
なぜでしょう。
おそらく、目と目が合って皮膚への心地よい刺激があり、一対一で向かい合う楽しい時間を共有していると実感できるからではないかと思います。
「くすぐり」ってこどもは実のところくすぐったくて笑ってるのではないと思うんです。
くすぐったいのはきっかけにすぎず、そこで向き合ってもらっているという安心感、うれしさそういったものが楽しい気持ちにしているのではないかという気がします。
うそだと思ったら、ためしに自分は無表情のままこどもをくすぐってみて下さい。
おそらく多くのこどもがいくらくすぐったって笑わないと思いますよ。
このことは『絵本の読み方』で書いた、「絵本はコミュニケーションツール」っていうところに通じるものがありますね。
絵本も親と一対一で向かい合い、時間を共有できることが楽しさになっていると述べました。
こうやって、「親と時間を共有できること」。このことが、こどもが自分を肯定できる基礎になっているのだと思います。
この「くすぐり」をある程度続けてもらうと、それまで無表情で、口数が少なく、物を投げたり叩いたりなどネガティブな行動が多く、大人の言うことを聞こうとしなかった子も、
だんだんと、笑顔を見せるようになったり、その日のあったことを親に話したりするようになっていきます。
こうなってくると、こどもへの関わりをあきらめかけていた親もこどもは関わり方しだいで変わるんだって実感してくれます。
最初「くすぐるなんて意味あるのかしら?」と半信半疑だった人も、まるで魔法でも教わったかのような驚きを感じるみたいです。
関わり方を変える気になってくれれば、あとは
「褒めてあげる」
「一緒になにかを楽しむ」
「なんでもいいから話をきいてあげる」
「感じたことに共感する」
「甘え方を教えてあげること」
「否定の前に受け止めること」
などなど、をしてもらいます。
このなかでも特に大事なのは「甘え方を教えてあげること」です。
親子間でよい関わりがなく、自己肯定できない子はまずたいてい「甘え方」を知りません。
『「甘やかす」と「甘えさせる」のちがい』でも書きましたが、親に甘えをストレートに出せるというのは人間を信頼できるということです。
そして、甘えを受け止めてもらうことは、自分の存在を肯定してもらうことです。
親にも甘えを出せない子は、どんな人間をも信頼することができないので、人との関わりが怖いものになってしまいます。
そして、自分のことも肯定できていないのだったら、人が怖く自信ももてないのだから、集団にはいっていけるわけがありません。
ある程度の年齢で言えば社会に出て行けないということです。
「不登校」「ひきこもり」「ニート」の根はこういうところにもあるのではないかと感じます。
また次回に続きます。今日はここまでおやすみなさい~。
↓励みになります。よろしかったらお願いします。
前回は、「家庭で自信を持たせる関わりができない。保育施設・幼稚園などでもそういったこどもを否定することがある。」
ということを述べました。
こどもに「自己肯定感」を持たせてあげられない親には様々なタイプがあります。
以前は、人との関わりが苦手な人・親自身が自己肯定感をもてない人が多かったのですが、最近では別のタイプが急増しているように思います。
とりあえず今回は「人との関わりが苦手な人・親自身が自己肯定感をもてない人」という親のタイプについて見ていきます。
まず、「人との関わりが苦手な人」・「自分自身が自己肯定感をもてない人」というのは、こどもとの適切な関わり方を教えてあげたり、こどものいいところを教えてあげて、たくさん褒めてあげたりすることで、けっこう変わっていけます。
つまり、親へのアプローチしだいでこどもも良くなっていけるし、同時にこどもへ良いアプローチをしていくことである程度の期間関わることができれば、それまでネガティブな行動の多かった子も、こども集団のなかでもそれなりに友達を作ったりしてやっていくことができるようになれます。
上で言っている「適切な関わり方」とは、こどもの良い反応を引き出してあげられる関わり方のことです。
「人との関わりが苦手な人」・「自分自身が自己肯定感をもてない人」の、子育てにおける問題は集約してしまうと、多くの場合「こどもとどう関わったらよいかわからない」にあるようです。
こういう人はこどものネガティブな面に目がいきがちで、どうしても叱る、注意する、怒るなどの否定的な言葉がけが多くなってしまいます。
否定や抑圧が重なるので、さらにネガティブな行動が増えてしまうという悪循環になってしまい、どんどんエスカレートしていってしまうので、そのうちこどもとの関わりが感情的になったり、冷淡になったり、あきらめ無関心になってしまったりします。
こういうパターンにはまってしまうと、こどもはまさに「自己肯定感」のもてない子になり様々な問題がでてきます。
そこで、先ほどの「こどもの良い反応を引き出してあげられる適切な関わり方」を教えてあげる必要があるわけです。
こういう親の場合、「こどもが言うことを聞かなくてほんとに困っているんです。どうすればいいんですか?」なんて聞いてくる人はまずいません。
親自身が人と関わることが苦手で自分から打ち解けたりすることがないからです。
そういうわけなので、毎日こどもの様子を伝えたり、褒めたりを続けて、ある程度信頼関係を築いたところで、家庭での様子や大変さ、仕事のことなど聞き共感していったうえで、ゆっくりと時間をかけて伝えていきます。
時間をかけるのは、最初から「こうしたほうがいい!」とか言ってしまうと、自分の子育てひいては「自分を」否定されたととってしまい、いい信頼関係が築けず返ってこどものためにならなくなってしまうこともあるからです。
「適切な関わり方」とは具体的には・・・
ケースバイケースで色々なのですが、多くの場合有効なので僕がよくお願いするのが、
「毎日ちょっとの時間でいいからくすぐってあげて」
です。
本当に人との関わりの苦手な人でも、これならできるからです。
そして確実に効果があります。
なぜでしょう。
おそらく、目と目が合って皮膚への心地よい刺激があり、一対一で向かい合う楽しい時間を共有していると実感できるからではないかと思います。
「くすぐり」ってこどもは実のところくすぐったくて笑ってるのではないと思うんです。
くすぐったいのはきっかけにすぎず、そこで向き合ってもらっているという安心感、うれしさそういったものが楽しい気持ちにしているのではないかという気がします。
うそだと思ったら、ためしに自分は無表情のままこどもをくすぐってみて下さい。
おそらく多くのこどもがいくらくすぐったって笑わないと思いますよ。
このことは『絵本の読み方』で書いた、「絵本はコミュニケーションツール」っていうところに通じるものがありますね。
絵本も親と一対一で向かい合い、時間を共有できることが楽しさになっていると述べました。
こうやって、「親と時間を共有できること」。このことが、こどもが自分を肯定できる基礎になっているのだと思います。
この「くすぐり」をある程度続けてもらうと、それまで無表情で、口数が少なく、物を投げたり叩いたりなどネガティブな行動が多く、大人の言うことを聞こうとしなかった子も、
だんだんと、笑顔を見せるようになったり、その日のあったことを親に話したりするようになっていきます。
こうなってくると、こどもへの関わりをあきらめかけていた親もこどもは関わり方しだいで変わるんだって実感してくれます。
最初「くすぐるなんて意味あるのかしら?」と半信半疑だった人も、まるで魔法でも教わったかのような驚きを感じるみたいです。
関わり方を変える気になってくれれば、あとは
「褒めてあげる」
「一緒になにかを楽しむ」
「なんでもいいから話をきいてあげる」
「感じたことに共感する」
「甘え方を教えてあげること」
「否定の前に受け止めること」
などなど、をしてもらいます。
このなかでも特に大事なのは「甘え方を教えてあげること」です。
親子間でよい関わりがなく、自己肯定できない子はまずたいてい「甘え方」を知りません。
『「甘やかす」と「甘えさせる」のちがい』でも書きましたが、親に甘えをストレートに出せるというのは人間を信頼できるということです。
そして、甘えを受け止めてもらうことは、自分の存在を肯定してもらうことです。
親にも甘えを出せない子は、どんな人間をも信頼することができないので、人との関わりが怖いものになってしまいます。
そして、自分のことも肯定できていないのだったら、人が怖く自信ももてないのだから、集団にはいっていけるわけがありません。
ある程度の年齢で言えば社会に出て行けないということです。
「不登校」「ひきこもり」「ニート」の根はこういうところにもあるのではないかと感じます。
また次回に続きます。今日はここまでおやすみなさい~。
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| 2010-03-17 | 日本の子育て文化 | Comment : 11 | トラックバック : 0 |
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