授乳に関していえば、たしかにある程度年齢がいった子に母乳の栄養は必要なくなります。
また母乳のほうも薄まってしまい、栄養価はほとんどないものになるそうです。
だからそういう意味では授乳はある程度の年齢・発達になれば必要ないのだけど、でも「断乳・卒乳」をしようとする人は十中八九、「もうそろそろ栄養価ないし母乳やめなきゃいけないわね」と思って「断乳・卒乳」を考えているわけではないでしょう。
「育児書には卒乳する時期って書いてあるから、卒乳させなきゃいけない」とか「周りの子は卒乳してしまっているからいつまでもしてたらおかしいかしら?」「大きくなったのにおっぱいすってたら恥ずかしい」などという理由で考えている人がおおいのではないでしょうか。
よく知られていると思いますが、「授乳」というか「おっぱいを吸う」という行為には精神的な満足感という面が多分にあります。
栄養価としての母乳がいらなくなった子供でも、まだこの精神的な安定が必要でおっぱいを求めるわけですね。
大人がなんでもないことでもまだ低年齢の子供にとっては、精神的に大きな負担になることがたくさんあります。
それこそ慣れない建物にはいることや、数人であっても人と同じ空間にいること、そんな日常普通にあることでも、警戒心や恐怖感を感じたりしながら過ごしているわけです。
ネガティブなことだけでなく、楽しく遊ぶことだけでも制御しきれない興奮が心の中でいつまでもうずまいて残ったりします。
(赤ちゃんの夜泣きなんかは↑これの一種ですよね。2~3歳の子でもやはりこういうことが起きえます。)
「おっぱいを吸う」という行為を通して、これらの子供の心のキャパシティを超えてしまった感情などをリセットすることができるわけですね。
だから、そういう感情を処理できる「心の成長」がまだ出来ていないうちに、極端な「断乳」などで奪ってしまうことで、情緒の安定を欠いた子供にしてしまうおそれがあるのです。
もう、心の成長ができていてちょっとしたきっかけで断乳ができ、その後も安定して過ごせることももちろんあります。
でも、こどもの様子を見極めてでなく、周りの子と較べたり、誰かに言われたとかで断乳に踏み切るとなんらかの形として現れることがあります。
たとえば、指しゃぶりです。
おっぱいだけであれば、そのときだけで済んだものが指しゃぶりが癖になると、ひっきりなしに続いてしまったり、年齢もはるかにあとまで長引いたりします。
何より、周囲の目を気にして断乳させた人だと、子供が指しゃぶりしていることはさらに気になってしまいしかたがないでしょう。
そうするとこんどは指しゃぶりをやめさせるために、ああだこうだといったりして子供はさらに大きなストレスを感じてしうまうことになりかねません。
それでさらに子供は情緒の安定を欠いたりして、イライラキーキーした子になることもあります。
おっぱいにしても、指しゃぶりにしても子供はなぜするかといえば、必要だからほしがり、するわけですね。
だから、その現象事態を責めたりやめさせたりするとより大きな問題に持ち越してしまうことがあります。
だから前回の「子育ての時間制限」で述べたように、本当にどうしても困る状況でなかったら、較べたりしてあせらず見守ってあげたほうがいいことがあるわけです。
授乳でもほんとに困る状況はでてきます。
例えば、歯があたったりすることで乳首が炎症を起こしてただれてしまったり。
ほかにも様々な場合がありますが、こういったときは断乳させることもやむをえないと思います。
自然な感じで卒乳できるのが一番ですが、おっぱいをやめさせようとおもったらおっぱいを吸うこと自体を否定するのではなく、なんといっても心の成長を促すことがよいと思います。
「排泄の自立」でも書いていますが、心の成長を促すには全般的な経験をしっかりとさせていくことです。
いつもは自転車でサーッっと通り過ぎてしまう道を一緒に散歩しながら歩いたり、ついつい見ているとまどろっこしくてやってあげてしまうことを見守りつつ自分でやらせたり、こんなことが一見なんの関係もないように見えて、卒乳につながっていたするわけです。
過保護だと心の成長がなかなかできないので、あまり先回りしてなんでもやってあげたりすることには気をつけたほうがいいですね。
離乳食をしっかりと作って、いろいろ食べる経験をすることも卒乳につながるのですよ。
食べ物の味がわかってくると、母乳っておいしくなくなるらしいです。(笑)
必要もないのに無理に断乳させることはないと思いますが、欲しがる限りいつまでもあげるという子育てのやり方で4~5歳になってもおっぱいをあげる人がいます。
僕はここまでする必要はないのではないかなと思うのです、なぜならもうおっぱいで心の安定を図らなくても、自分の感情をコントロールしたりする力が備わる年齢になっているはずだからです。
にもかかわらず、おっぱいを与えるのは一種の過保護になって、返って心の成長を遅らせてしまうような気がします。
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