無理やり、おっぱいだけやめさせてでもおしゃぶり与えっぱなしで「うちの子はもう卒乳しました」と言おうと思えばいえるけど、それは基本的信頼感を得られずにずっと満たされないままいってしまうおそれがあるわけです。
ある事例です。
1歳児クラスの女の子(4月の時点で1歳のクラスなので1~2歳の子がいることになります)、そのときは2歳になっていました。
お母さんはあまり子供の相手をするのが好きではない人でしたが、排泄の自立とか卒乳とかを早くするのにこだわる人でした。
まだ、心の成長具合からみて「おっぱいやめさせるのは早いから、もうすぐ様子をみましょう」と伝えていたのだけれども、いつまでもそうさせていることに焦りがあったのか、断乳してしまいました。
その子はそれからすぐに、指しゃぶりと自慰行為(性器いじり)がでてくるようになってしまいました。
性器いじりというのは2歳くらいの年齢でも、心が満たされていないときにわりと見られる行動です。
人間の心というのはなにかが足りなければ別のところで補って、必ずバランスを取ろうとしていきます。
こういうことを心理学的には「代償行為」といいます。
心が未成熟な低年齢の子供だと、満たされないものがあればすぐになんらかのリアクションとしてでてきます。
そういった行動がでているだけであれば、成長とともに収まることもあるかもしれませんが、心もまだ成長過程にあるのですからその心の成長に影響を及ぼすこともあるでしょう。
ですから、この事例に関して言えば断乳せずもうすこしようすを見つつ、その間に母子関係を緊密にするようにして、おっぱいをやめたとしても精神の平衡を保てるところまで心の成長を促す、または待つ必要があったわけです。
こういった指しゃぶりや爪噛み、自慰行為などは心がバランスを取るために無意識にやっていることなので、それを否定したり、やめさせようと声かけなどしても直るものではありません。
むしろ否定されることでさらにストレスになり悪化したり、いわれるから子供は一生懸命気をつけてがまんした結果、チックなど自分ではどうすることもできない「心身症」を引き起こしたりする場合もあります。
普段はしないけれども、睡眠中に指しゃぶりや性器いじりが無意識にでていることもあります。
子供に基本的信頼感をもたせるのには、母親の精神が普段からゆったりと安定していることがとても大切です。
母親がなにか悩み事を抱えていたり、普段からイライラしてたりすると、子供にもそういう気持ちが伝わるので不安になってしまい、なかなか基本的信頼感を得られません。
怒ってばっかりの人だったり、小言が多い、神経質に子供の行動が気になる人などでもやはり、こどもは安心できずなかなか基本的信頼感が身につかないようです。
そういったこともあるので、「子育ての時間制限」のところで「子育てを不安とあせりでいっぱいにしないほうがいい」と述べたわけでもあります。
こういう信頼感を確かめる関わりというのは赤ちゃんのときだけでなく、幼児になってもなんども確認してこようよとします。
そういったときはそれに応えてあげるのがその後の健やかな成長につながるのではないかと思うのです。
例えば、4歳の男の子のお母さんがこんなことを話してくれたことがあります。
「うちの子みんなにはナイショってことにしてるんだけど、実はいまでもときどき哺乳瓶で飲みたがるから、それで牛乳のんでるんです」
こういったことはよくあります。
そういうことを笑って受け入れられるお母さんでよかったな~と思うのですよ。
子供ってそうやって、赤ちゃん時代のやりのこしを確認しながら成長していくものだから、赤ちゃんだったときの様子を話したり、そのとき親として自分がどういう気持ちだったか聞かせてあげるのも大事なことだと思います。
それから、おすすめは出産ごっこ!
何歳の子でもいいんです。
エプロンかなんかでお腹に入ったことにして、「ウーン、ウーン産まれた~~;;」「かわいいよ~ヨシヨシ」ってしてあげるの。
まねっこでいいからね、「おむつしなきゃ」とか「はい、ミルク」とか。
そんなことして、しっかりと確認できた子はその後、立派なお兄さんお姉さんになれますよ。
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