子供はみな一つの
「入れ物」をもっています。
その大きさというのは、これはもう人それぞれなのです。
おそらく生まれつきと言っていいと思うのですが、人によりその「入れ物」は小さかったり、とてつもなく大きかったりします。
そしてどんな子も、この「入れ物」に満タンになるまでプラスのものを入れてからでなければ、マイナスのものは受け付けられないのです。
「プラスのもの」とはいったいなにか?
それは大好きな身近な大人(まずダントツの1位はたいてい母親でしょう)に優しくしてもらったり、大切にしてもらったり、暖かい声がけや関わり、楽しいコミュニケーションやスキンシップだったり、暖かい食べ物を食べさせてもらったり、おっぱいをもらったり、「かわいい」「すごいね」「上手だね」などの自分を肯定してもらう言葉をいってもらったり、抱きしめてもらったり、心の余裕をもって絵本を読んでもらったり、歌を歌ってもらったり一緒に遊んで楽しい時間をすごしたり・・・などなどなど、そういった人としてうれしい喜ばしい経験のことです。
おそらく一般には「愛情」と呼ばれるものでしょう。
しかし、僕は以前にも述べた理由であえてこのプラスのものを「愛情」とはいいません。
「子供には愛情をもって接しなければならない」なんていってみれば、人は具体的なことをするより、「心持ちの問題」ととらえてしまいます。
それでは、実際には結局なにも変らないからです。
また、そんな言葉などわざわざ言わなくても、誰でもごまんと聞かされているでしょう。
では、「マイナスのもの」とはなんでしょう?
この-過保護と過干渉-のシリーズの話で出てきたことで言えばそれは、子供の思いを正論で否定してしまうことだったり、なにかにつけ「ダメ」だしされてしまうことだったり、もう親の言葉なんか聞きたくなくなって親の存在をスルーするようになるくらい言われる小言や注意だったり、おふざけやごまかしで目をそむけさせなければならないほどの「しつけ」だったりします。
また、人のものを返すことや、人に物をあげたり、人に優しくしたり、人のことを心配したりするのも、「マイナスのものを受け付ける」ということなんですね。
(↑ちょっとわかりにくいですね、次回ちゃんと説明します)
こういうことはなにも子供だけではないですね。
大人だって、なにかものすごい心配事があったり、怒ってむしゃくしゃしていたり、心に病を抱えてつらいときだったりしたら、そんなときに人の心配をしたり、人に優しくすることってなかなかできないですよね。
やはり、自分が満ち足りた状態でいてこそ、つらいことにも立ち向かえるし、人に優しさを出していけるものでしょう。
「衣食足りて礼節を知る」という昔の言葉もこういうことをさしているのでしょうね。
子供のこの「入れ物」に「プラスのもの」がきちんと満タンに入っていると「この子は満たされているな」と思います。
保育園でも実際に「この子は満たされてるから大丈夫だね」なんて言い方をします。
年齢別保育をしていると、一つのクラスに1年近くの年齢差があることになります。だからなかにはとっても幼くて一見手がかかる子もいたりするのだけど、そういう子でも「満たされている」ならばあまり心配しません。
逆に、月齢も高く身体も大きく、言葉も上手、物も知っている子でも、「満たされていない」子だと友達関係でもトラブルが多くなったり、遊べなかったりと心配なこともあります。
そして、実際に一見しっかりしている子ほど、親からも望まれるハードルが高くなってしまうので、どうしても「出来ること」を要求されたり、まだまだその年齢ならしてていいこともさせてもらえなかったり、また習い事などに早期から行かされたりしてしまって、「入れ物」に十分プラスの物が入っていないということも多いのです。
その点、幼く見える子のほうが、幼いがゆえに要求されるレベルも低く、否定されることが少ないのでむしろ「満たされている」ということもあるのです。(もちろんすべてこうとは言えませんが)
僕はだいたい3歳くらいまでは、こういったプラスの物を溜めていっていい期間ではないかと思うのです。
(こういうことをいうと「また3歳神話かよ」みたく短絡的に解釈する人がいるかもしれないので、お断りしておくと、僕が言おうとしているのはそれとは全くべつのことですよ)
その期間に、プラスの物で満たすことの代わりに逆のことをしていってしまうと、人間形成の上で少なからずデメリットになってしまうと思います。
だから、「過干渉」になることは避けていきたいのです。
とくに、ダメだしや正論を持ち出すこと、小言が習慣になってしまうことは、子育てに熱心な人ほどおちいりやすいので、避けてほしいと思うのです。
子供がまだ小さい時期というのは「しつけ」ではなく「満たしてあげる」ことを目指して関わっていくといいのではないでしょうか。そのための具体的な方策はこれまでのこのブログの端々に書いてきたつもりです。
また、人は百人百様、人それぞれだと思いますので、プラスの物を入れるそのやり方はいろんな方法があるし、それを考えいろいろやってみることも大事なことなのかもしれません。
過保護と過干渉というテーマはとても大きくて、
その8まで書いたけれどまだまだ言い及んでいないこともたくさんあると思うのですが、一旦今回で区切りとして次回は、今回の関連で「満たされた子供」について書こうかなと思っています。
過保護のところはさらっとしか書いてないし、過干渉についても一部しか及んでいないので、なかなか読んでくださるみなさんが気にしていることに届いていなかったかもしれません。
なので、ご質問とか相談とかあったらコメントのほうへどうぞ、参考程度くらいのことしか書けませんけどそれでもよければ読ませていただきますよ~。
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