相談 「叱る子育て」を変えていくには Vol.4 - 2012.11.12 Mon
前回の例でみたような虐待をされている子がなぜ、攻撃をするのかは前述したような「試す・確認する」行動というものがありました。
そしてもうひとつあるのが、子供の根底からの欲求である「全面肯定」なのです。
つまり、「そんな困る行動をする自分ですら認めて欲しい・肯定して欲しい」と思っているのです。
この一連のものは別に虐待の話についてではないので、虐待されている子の様子というのはあくまで極端なものとしてのわかりやすい例です。
こういった子では、そのような形ではっきりとありますが、それはすべての子供にある気持ちといっていいでしょう。
子供は大人から、いうまでもなく特に自分の親から、自分を認めて欲しい、受け入れて欲しいという強い気持ちがあります。
そしてそれをなんとかして確かめたり、実感したがっています。
大人であれば、誰かに認めてもらいたかったら、その人が望むような行動、喜ぶような行動を取ろうとするものですが、小さい子供はそのようになかなかなれません。
(本当はなれます、そのことが僕の「叱らなくてよい子育て」のエッセンスなのですが、ここでは常習的に叱られる状態になってしまっている子供についてなので、そっちの面はあえてスルーします。詳しくは「叱らなくてよい子育て」カテゴリにすでに書かれています)
その代わりに出てくるのが、大人を困らせる行動、つまりネガティブ行動です。
これらネガティブ行動のひとつの側面は、「試す・確認する」行動でした。
もうひとつの側面は、「そのような大人にとって受け入れがたい行動をとる自分でも、認めて欲しい・受け止めて欲しい」というものです。
ネガティブ行動のサイクルになってしまった子は、良い行動で大人に認めてもらおうとするよりも、悪い行動をしてそれを大人に受け入れてもらうことで、自分が認めてもらっていることを求めてしまいがちになります。
子供は意識してそれをやっているわけではありません。
無意識の内に、なんとか大人は良い視線を自分に向けてはくれまいか、自分を認めて欲しい、肯定して欲しいと心の奥底から思いながら、ネガティブ行動としてでてしまいます。
肯定されるということは、人が育っていく上で、また生きていく上でどうしても必要なものです。
とくに子供のうちにそれをたくさん自分の中に溜め込むことで、前向きな成長の糧(かて)としていきます。
つまり「自己肯定感」です。
では、叱られる行動が多くなってしまっている子に、どのように「全面肯定」をしていけばよいでしょうか?
以前、叱ることそのものをすぐなくそうと考えなくてもよいとかきました。
>多くの人がこのネガティブ行動に対して、
>「早く」「うるさい」「○○するな」「△△しなさい」というような命令・指示的な対応、
>叱ったり、怒ったりの拒否的な対応、
>うんざりしたり、無視したり、「そんなことする子は知りません」「ママは行きますから勝手にしなさい」というような疎外感を持たせる対応をしがちです。
しかし、前回のところでこう述べていますが、
このうち、命令・指示的な対応、叱ったり怒ったりの拒否的な対応はよいのですが、
最後の「疎外感を持たせる対応」これだけは避けましょう。
この対応は自己肯定感をどんどん下げていきます。
これをしていますと、子供の性格はひねていきますので叱る・怒る・注意するはよいとしても、疎外だけはすべきではありません。
このことは、叱る場面でなくとも同様です。
しばしば、子供を思い通りに動かすためにそういう関わりをみかけます。
気をつけましょう。
全面肯定するにもいろいろなやり方というものはあると思います。
状況によっても違うし、人によって合うやり方、合わないやり方というものもあるでしょう。
まず心持ちとして意識することが必要で、具体的な対応はそのときどきなのですが、
参考までに少し書きますと
例えば、なにかで叱ったあとでも、フォローとして、
「あなたにきちんと育って欲しいから、私はああいうふうに言ったんだよ」
そんな風に使ってもいいでしょう。こういうのは比較的大きな子に対して使うかな。
または叱り方にも、全面肯定が伝わる叱り方というものがあります。
「あなたのことは好きだけど、○○するのは好きじゃありません」
のように、行為は否定するけど存在は否定しない方向で伝える。
内容によっては、
「あなたのことは好きだけど、○○するのは嫌いです」
ときっぱり言うこともあります。
また、小さい子によく使うのですが、叱るのではなく包括的に認めてしまうという対応もします。
(ネガティブ行動をしている子に対して)「そんなことをしなくても、私はあなたのことをちゃんと見ているから、そんなことしなくてもいいんだよ」
と、気持ちをきちんと理解していた上で、包み込むように存在そのものを認めて(肯定)あげるという対応です。
1,2歳の子でネガティブさの程度がそれほどでもない子ですと、このようにまるごと受け止めてあげることの積み重ねで、ネガティブ行動そのものをかなり減らすことができる場合もあります。
対応はたくさんありますが、言葉だけ真似すればいいというものでもないので、あまり書きません。
自分のできる形・伝わる形というものを自分なりに模索してみることも必要だろうと思います。
もし、言葉がでなければ、叱ったあとしっかりと抱きしめるというのでも、十分伝わることでしょう。
このような例を出したあとなので、言わずもがなかもしれませんが、「全面肯定」とは「なんでも認める」「なんでもやってよい」というのと同義ではありません。
いけないことはいけない、悪いことは悪いというのも大人の役割であり、大事なことです。
そして、叱ること・怒ること・注意することなどは必ずしも「否定」ではないのです。
もちろん、それらも使い方によっては否定になってしまうこともありますが、きちんと使うのならば叱ることなどは「肯定」の一種にもなります。
本当の否定は「無視」なのです。
「無視」は存在そのものを重んじていないということなので、大きな否定になります。
さっきの「疎外」はこちらに近いわけです。
いけないこと、困ること、危険な行為にはしっかりと対応するけれども、存在そのものは否定しないで認めていくということが「全面肯定」のためには必要なのです。
そうすることで、ネガティブ行動を出して自分を認めて欲しかった子供の気持ちに、大人として適切に対処することにつながるわけです。
その全面肯定を心がけることで、ネガティブ行動の連鎖を断ち切っていきます。
それが少しずつでもできてきたら、「叱らなくていい子育て」のエッセンスである、大人に寄り添った子供の姿を引き出していってあげると、子育てがとても楽にそして楽しいものになっていくでしょう。
年齢が小さいほど、そういった状況を脱していくのは比較的容易です。
なぜなら、長い年月このネガティブ行動の連鎖の状況を続けていくと、そういった大人の求め方・関わり方が板についてしまって、その子の性格の一種となってしまうことがあるからです。
そうなってしまうと、対応に時間がかかってしまいます、ですが直らないというものでもありませんので、それをしてきた年月分これからかけて直していくくらいの気持ちで、肯定的に見ていってあげるとよいでしょう。
もうひとつ、ネガティブ行動が多くなってしまっている子は、ネガティブでない行動がわからない・知らない・できなくなっている ということがあります。
どういうことか事例をまじえて次回書いていきます。
そしてもうひとつあるのが、子供の根底からの欲求である「全面肯定」なのです。
つまり、「そんな困る行動をする自分ですら認めて欲しい・肯定して欲しい」と思っているのです。
この一連のものは別に虐待の話についてではないので、虐待されている子の様子というのはあくまで極端なものとしてのわかりやすい例です。
こういった子では、そのような形ではっきりとありますが、それはすべての子供にある気持ちといっていいでしょう。
子供は大人から、いうまでもなく特に自分の親から、自分を認めて欲しい、受け入れて欲しいという強い気持ちがあります。
そしてそれをなんとかして確かめたり、実感したがっています。
大人であれば、誰かに認めてもらいたかったら、その人が望むような行動、喜ぶような行動を取ろうとするものですが、小さい子供はそのようになかなかなれません。
(本当はなれます、そのことが僕の「叱らなくてよい子育て」のエッセンスなのですが、ここでは常習的に叱られる状態になってしまっている子供についてなので、そっちの面はあえてスルーします。詳しくは「叱らなくてよい子育て」カテゴリにすでに書かれています)
その代わりに出てくるのが、大人を困らせる行動、つまりネガティブ行動です。
これらネガティブ行動のひとつの側面は、「試す・確認する」行動でした。
もうひとつの側面は、「そのような大人にとって受け入れがたい行動をとる自分でも、認めて欲しい・受け止めて欲しい」というものです。
ネガティブ行動のサイクルになってしまった子は、良い行動で大人に認めてもらおうとするよりも、悪い行動をしてそれを大人に受け入れてもらうことで、自分が認めてもらっていることを求めてしまいがちになります。
子供は意識してそれをやっているわけではありません。
無意識の内に、なんとか大人は良い視線を自分に向けてはくれまいか、自分を認めて欲しい、肯定して欲しいと心の奥底から思いながら、ネガティブ行動としてでてしまいます。
肯定されるということは、人が育っていく上で、また生きていく上でどうしても必要なものです。
とくに子供のうちにそれをたくさん自分の中に溜め込むことで、前向きな成長の糧(かて)としていきます。
つまり「自己肯定感」です。
では、叱られる行動が多くなってしまっている子に、どのように「全面肯定」をしていけばよいでしょうか?
以前、叱ることそのものをすぐなくそうと考えなくてもよいとかきました。
>多くの人がこのネガティブ行動に対して、
>「早く」「うるさい」「○○するな」「△△しなさい」というような命令・指示的な対応、
>叱ったり、怒ったりの拒否的な対応、
>うんざりしたり、無視したり、「そんなことする子は知りません」「ママは行きますから勝手にしなさい」というような疎外感を持たせる対応をしがちです。
しかし、前回のところでこう述べていますが、
このうち、命令・指示的な対応、叱ったり怒ったりの拒否的な対応はよいのですが、
最後の「疎外感を持たせる対応」これだけは避けましょう。
この対応は自己肯定感をどんどん下げていきます。
これをしていますと、子供の性格はひねていきますので叱る・怒る・注意するはよいとしても、疎外だけはすべきではありません。
このことは、叱る場面でなくとも同様です。
しばしば、子供を思い通りに動かすためにそういう関わりをみかけます。
気をつけましょう。
全面肯定するにもいろいろなやり方というものはあると思います。
状況によっても違うし、人によって合うやり方、合わないやり方というものもあるでしょう。
まず心持ちとして意識することが必要で、具体的な対応はそのときどきなのですが、
参考までに少し書きますと
例えば、なにかで叱ったあとでも、フォローとして、
「あなたにきちんと育って欲しいから、私はああいうふうに言ったんだよ」
そんな風に使ってもいいでしょう。こういうのは比較的大きな子に対して使うかな。
または叱り方にも、全面肯定が伝わる叱り方というものがあります。
「あなたのことは好きだけど、○○するのは好きじゃありません」
のように、行為は否定するけど存在は否定しない方向で伝える。
内容によっては、
「あなたのことは好きだけど、○○するのは嫌いです」
ときっぱり言うこともあります。
また、小さい子によく使うのですが、叱るのではなく包括的に認めてしまうという対応もします。
(ネガティブ行動をしている子に対して)「そんなことをしなくても、私はあなたのことをちゃんと見ているから、そんなことしなくてもいいんだよ」
と、気持ちをきちんと理解していた上で、包み込むように存在そのものを認めて(肯定)あげるという対応です。
1,2歳の子でネガティブさの程度がそれほどでもない子ですと、このようにまるごと受け止めてあげることの積み重ねで、ネガティブ行動そのものをかなり減らすことができる場合もあります。
対応はたくさんありますが、言葉だけ真似すればいいというものでもないので、あまり書きません。
自分のできる形・伝わる形というものを自分なりに模索してみることも必要だろうと思います。
もし、言葉がでなければ、叱ったあとしっかりと抱きしめるというのでも、十分伝わることでしょう。
このような例を出したあとなので、言わずもがなかもしれませんが、「全面肯定」とは「なんでも認める」「なんでもやってよい」というのと同義ではありません。
いけないことはいけない、悪いことは悪いというのも大人の役割であり、大事なことです。
そして、叱ること・怒ること・注意することなどは必ずしも「否定」ではないのです。
もちろん、それらも使い方によっては否定になってしまうこともありますが、きちんと使うのならば叱ることなどは「肯定」の一種にもなります。
本当の否定は「無視」なのです。
「無視」は存在そのものを重んじていないということなので、大きな否定になります。
さっきの「疎外」はこちらに近いわけです。
いけないこと、困ること、危険な行為にはしっかりと対応するけれども、存在そのものは否定しないで認めていくということが「全面肯定」のためには必要なのです。
そうすることで、ネガティブ行動を出して自分を認めて欲しかった子供の気持ちに、大人として適切に対処することにつながるわけです。
その全面肯定を心がけることで、ネガティブ行動の連鎖を断ち切っていきます。
それが少しずつでもできてきたら、「叱らなくていい子育て」のエッセンスである、大人に寄り添った子供の姿を引き出していってあげると、子育てがとても楽にそして楽しいものになっていくでしょう。
年齢が小さいほど、そういった状況を脱していくのは比較的容易です。
なぜなら、長い年月このネガティブ行動の連鎖の状況を続けていくと、そういった大人の求め方・関わり方が板についてしまって、その子の性格の一種となってしまうことがあるからです。
そうなってしまうと、対応に時間がかかってしまいます、ですが直らないというものでもありませんので、それをしてきた年月分これからかけて直していくくらいの気持ちで、肯定的に見ていってあげるとよいでしょう。
もうひとつ、ネガティブ行動が多くなってしまっている子は、ネガティブでない行動がわからない・知らない・できなくなっている ということがあります。
どういうことか事例をまじえて次回書いていきます。
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