『准保育士制度』絶対に反対です Vol.2 資格の問題 - 2014.04.30 Wed
○資格の問題
この『准保育士制度』の話は保育園の担当省庁である厚労省からではなく、『経済財政諮問会議・産業競争力会議合同会議』というところから出ている話です。
そのなかでこのように述べられています。
② 育児経験が豊かな主婦層の就労機会の拡大
○都市部を中心とした深刻な待機児童問題は、保育士不足が大きな要因である。
そのため、育児経験の豊かな主婦の力を保育の現場で活用する。
・保育士試験の回数の増加や、試験内容を育児経験が正当に評価されるよう実
践的なものとすること、試験合格科目の有効期間の延長等、保育士不足解消
に必要な見直し を行う。
・准保育士資格(民間認証)を設け、育児経験ある主婦層の就業機会を増やし
保育所の質の向上を図る。
(同会議 第一回 資料4 「成長戦略としての女性の活躍推進について」より)
「育児経験のある主婦を中心に准保育士資格を与えていく」ということですが、家庭での育児経験があれば大勢の子供を対象とした保育ができるかと言ったら、それらはそう簡単ではありません。
家庭で料理を毎日作っているからといって、その人が衛生に関する知識を研修したら、次の日からレストランのコックになれるかと聞かれて、それはできるだろうと答える人は決して多くないと思います。
まだその人が優れた料理を作れることが分かっているのならば、なんとかなるかもしれません。
しかし、ただ料理をしてきたということだけで、その内容は関係ないのでしたらとんでもない話です。
実際世の中にはいるんです。
「私は二人の子を立派に育てました」と異様な自信と共に胸を張って言い切るのお母さんなのだけど、実のところその子供は学校でも有名な問題児であるなんてことが。
ただ、世間一般ではどうも子育てをしてきた主婦ならば、准保育士として働いても問題ないのではないかという声も多いようです。
これまでこのブログを読んできてくれた方ならお分かりいただけると思いますが、そんな簡単な話ではありません。
そのような断定は明らかに認識が甘いと僕は思います。
家庭の子育てと、他人の子供をしかも大勢預かってする保育とは完全に別ものです。
実は准保育士制度の話がでたのは今回が最初ではありません、2007年の10月第一次安倍内閣だったときの「規制改革会議」の中で一度すでに出ています。
このときのその「会議」からの説明の中にある話ががとてもびっくりな内容だったのを覚えています。
それは「団塊の世代は育児経験を持っている。年を取ると子供はかわいいもの」というものでした。
あまりにお粗末な認識です。
保育というのは、少数の素直で可愛らしいだけの子供を日向ぼっこしながらのんびり見ていられる仕事ではありません。
経済界や政治家や省庁のお偉いさんたちは、子供を保育園に預けたりお迎えに行ったりするようなこともない人がほとんででしょうから、このような認識も仕方がないかもしれませんが、ですが、一般の人においても保育というものの認識が五十歩百歩なのも少なくないようです。
ちなみに、「子供は可愛いだろうから」だけで入ってくる人は、可愛くない子・手のかかる子は簡単に切り捨てる保育士になってしまいます。
もしそうなってしまったら、そういった保育士は少数だとしてもそのほかの大勢の保育士がコツコツと積み上げてきたものを一気に崩し去るようなほどの質の低下を招きます。
そして、保育施設というのは小さな所帯ですから、なんとそういう人が主流を占めてしまったりするということすらあります。残念なことに。
先ほどの資料の准保育士について述べているところで
>・准保育士資格(民間認証)を設け、育児経験ある主婦層の就業機会を増やし保育所の質の向上を図る。
とあります。
最近の保育制度を変える話になると「質の向上のために」というのが取ってつけたように入ってくるのが見慣れた光景になりましたが、いくらなんでもこれはあんまりだと僕は思います。
家庭で育児をした人が保育士以上に子供を養育できているのであれば、今現在保育園が直面している山ほどの子供の問題というものはそもそもないのですよ。
家庭だけでは子育てがしきれないというのが現代の課題であり、そのために育児支援などが叫ばれ、それに対して行政も相当の予算を割いて対応しようとしているという時代の流れが厳然としてあるわけです。
育児経験のある人が保育士になったら質があがるのだったら、本当にこんな苦労はしませんよ。
ましてや「アレルギーなんて食べれば治る」なんてことを平気で言ってしまう人がごろごろいるような団塊世代などもってのほかです。
それともこの一文を入れた人は、保育経験も育児経験もまったくない人ばかりで運営しているような最近の大量につくられた保育施設を想定しているので、このような言い方になっているのでしょうか。
(この資料を作成し発案している会議のこの委員というのが、人材派遣会社からの出向者なのだそうです)
案外そんなところが実際かもしれません。(これについてはまたの機会に事例を交えて紹介したいと思います)
この『准保育士制度』の話は保育園の担当省庁である厚労省からではなく、『経済財政諮問会議・産業競争力会議合同会議』というところから出ている話です。
そのなかでこのように述べられています。
② 育児経験が豊かな主婦層の就労機会の拡大
○都市部を中心とした深刻な待機児童問題は、保育士不足が大きな要因である。
そのため、育児経験の豊かな主婦の力を保育の現場で活用する。
・保育士試験の回数の増加や、試験内容を育児経験が正当に評価されるよう実
践的なものとすること、試験合格科目の有効期間の延長等、保育士不足解消
に必要な見直し を行う。
・准保育士資格(民間認証)を設け、育児経験ある主婦層の就業機会を増やし
保育所の質の向上を図る。
(同会議 第一回 資料4 「成長戦略としての女性の活躍推進について」より)
「育児経験のある主婦を中心に准保育士資格を与えていく」ということですが、家庭での育児経験があれば大勢の子供を対象とした保育ができるかと言ったら、それらはそう簡単ではありません。
家庭で料理を毎日作っているからといって、その人が衛生に関する知識を研修したら、次の日からレストランのコックになれるかと聞かれて、それはできるだろうと答える人は決して多くないと思います。
まだその人が優れた料理を作れることが分かっているのならば、なんとかなるかもしれません。
しかし、ただ料理をしてきたということだけで、その内容は関係ないのでしたらとんでもない話です。
実際世の中にはいるんです。
「私は二人の子を立派に育てました」と異様な自信と共に胸を張って言い切るのお母さんなのだけど、実のところその子供は学校でも有名な問題児であるなんてことが。
ただ、世間一般ではどうも子育てをしてきた主婦ならば、准保育士として働いても問題ないのではないかという声も多いようです。
これまでこのブログを読んできてくれた方ならお分かりいただけると思いますが、そんな簡単な話ではありません。
そのような断定は明らかに認識が甘いと僕は思います。
家庭の子育てと、他人の子供をしかも大勢預かってする保育とは完全に別ものです。
実は准保育士制度の話がでたのは今回が最初ではありません、2007年の10月第一次安倍内閣だったときの「規制改革会議」の中で一度すでに出ています。
このときのその「会議」からの説明の中にある話ががとてもびっくりな内容だったのを覚えています。
それは「団塊の世代は育児経験を持っている。年を取ると子供はかわいいもの」というものでした。
あまりにお粗末な認識です。
保育というのは、少数の素直で可愛らしいだけの子供を日向ぼっこしながらのんびり見ていられる仕事ではありません。
経済界や政治家や省庁のお偉いさんたちは、子供を保育園に預けたりお迎えに行ったりするようなこともない人がほとんででしょうから、このような認識も仕方がないかもしれませんが、ですが、一般の人においても保育というものの認識が五十歩百歩なのも少なくないようです。
ちなみに、「子供は可愛いだろうから」だけで入ってくる人は、可愛くない子・手のかかる子は簡単に切り捨てる保育士になってしまいます。
もしそうなってしまったら、そういった保育士は少数だとしてもそのほかの大勢の保育士がコツコツと積み上げてきたものを一気に崩し去るようなほどの質の低下を招きます。
そして、保育施設というのは小さな所帯ですから、なんとそういう人が主流を占めてしまったりするということすらあります。残念なことに。
先ほどの資料の准保育士について述べているところで
>・准保育士資格(民間認証)を設け、育児経験ある主婦層の就業機会を増やし保育所の質の向上を図る。
とあります。
最近の保育制度を変える話になると「質の向上のために」というのが取ってつけたように入ってくるのが見慣れた光景になりましたが、いくらなんでもこれはあんまりだと僕は思います。
家庭で育児をした人が保育士以上に子供を養育できているのであれば、今現在保育園が直面している山ほどの子供の問題というものはそもそもないのですよ。
家庭だけでは子育てがしきれないというのが現代の課題であり、そのために育児支援などが叫ばれ、それに対して行政も相当の予算を割いて対応しようとしているという時代の流れが厳然としてあるわけです。
育児経験のある人が保育士になったら質があがるのだったら、本当にこんな苦労はしませんよ。
ましてや「アレルギーなんて食べれば治る」なんてことを平気で言ってしまう人がごろごろいるような団塊世代などもってのほかです。
それともこの一文を入れた人は、保育経験も育児経験もまったくない人ばかりで運営しているような最近の大量につくられた保育施設を想定しているので、このような言い方になっているのでしょうか。
(この資料を作成し発案している会議のこの委員というのが、人材派遣会社からの出向者なのだそうです)
案外そんなところが実際かもしれません。(これについてはまたの機会に事例を交えて紹介したいと思います)
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