”かわいい子”というのは、「親なんだから我が子を”かわいい”と思いなさい」というような精神論的な子育て観のことではなくて、実際に子供の姿を”かわいい”状態にすることで、無理なく子育てを楽しんでいけることを目指すというものです。
僕がこれまでに述べてきたような「叱らなくていい子育て」というものを、実際の関わりのなかで具体化していくその実践を”かわいい子”にするということに集約していこうと考えています。
まず、”かわいい子”というものが、どんなことかのイメージをつかんでみましょう。
”かわいい子”と対になるのは”できる子”です。
実際の子育てというのは、意外にも漠然としていてなにをどうしたらいいのかわからないものです。
多くの人は、子供の目に見える成長的なさまざまな”できること”を目指して、それを”できるように”といったこと目標にして子供に関わっていってしまいます。
それがすんなりとできてしまう子ならばいいですが、子供というのはそうとばかりもいきません。
すると、親の目につくのは我が子の”できない”という部分がとても多くなってしまいます。
親が子供の姿を見て”できない”と思ってしまえば”させなくては”という気持ちになります。
”させなくては”と思ってしまうと、気持ちもせいてしまうし、ついつい見方も厳しくなりがちです。そこでは、子供の姿をおおらかに見てあげたり、ちょっと待ってみて子供に自発的にやらせてみるような余裕というのも失われたりします。
でも、僕はいろいろな子の育ちを見てきて思うのだけれども、子供が小さければ小さいほど、本当にどうしても”できなければならない”ということはほとんどありません。
多くの人が乳児期の子育てで”できなければ”と考えていることの大概は、極端な話、実は放っておいてすらいずれできるようになることに過ぎません。
そのような乳児期の子育ての中心においてしまう”できること”というのは、実は二義的なことなのです。
ですので、乳児期の子育て(今回のワークショップは対象年齢がおよそ2歳以下)では、子供の育ちの中で出てくる”できること”というのは、一旦置いておきましょう、という話をしました。
”できること”というのはたくさんあると思いますが、例えばおむつがはずれることだとか、卒乳できることだとか、友達とうまく遊べること などなど。
こういったことは、大人がひとつひとつアプローチして持たせようとしなくても、子供の内的な発達が追いついてくれば自然と(ただし環境と子供自身の経験は適度に必要)できるようになることです。
乳児期の子育てでそれ以前に大切なのは、子供が適切な「受容」によって満たされていたり、素直に親に自分の気持ちや甘えたい感情を示すことができたり、健康状態や精神的な安定があってそこから情緒などが日々安定して過ごせるといったことです。
これらがある程度達成されていくと、子供は生活や親との関係の中で「無理のない状態」で過ごすことができます。
子供のこの状態というのは、子供そのものも”かわいい子”であり、親からも素直に”かわいい”と思える姿になります。
子育ての最初に目指すのは、この無理のない”かわいい子”という状態だと僕ははっきりと考えています。
ですから、ついつい”できる”を与えることを主軸に考えてしまいがちな、いまの子育てをしている人たちには、とりあえず”できる”は置いといて”かわいい”を目指しましょうと伝えたいと思っています。
そのためには、かわいがることや甘えを受け止めることをセーブする必要はないのです。
これまでの日本の子育てでは、ついついそういったことを「子供を甘やかしているのではないか」とセーブしがちでした。なので、その一番最初のところでつまづいてしまいその後の子育てもドミノ倒し的に難しくなるケースも多かったと思います。
以上のようなことはこれまでもブログの中でもいろいろな角度から伝えてきたことです。
言葉として、また考え方としては、このような話を理解することはそう難しいことではないだろうと思うのです。
しかし、実際の子育てのなかでは、それがわかっていても思い通りにならないという場面はたくさんでてきます。
そういうとき具体的にどう関わっていったらいいのだろうといたった、生の難しいさというものがあるはずです。
今回の一連のワークショップでは、そういった実際の子供との関わり方まで踏み込んで具体的に、子育てを安定化、楽しくしていけるアプローチというものに重点をおいて伝えていっています。
このあたりのことというのは、文章だけではどうにも伝わらない部分というのがあるので、直接お話できたり、実際のお子さんの様子を見ながら説明できるというのはいいものです。
一応、そういった実践の部分について触りのところだけでも、この場で文章化してみようと思います。
しかし、いまちょっといろいろと立て込んでしまっているのでゆっくりペースでしか更新できません。気長にお待ち下さいね。
相談コメントの返信もお待たせしてしまっております、できる限り時間を見つけてちょこちょことやっていきます。