かつて虐待の問題を広く世に知らしめた一冊の本があります。
1997年発刊の『日本一醜い親への手紙』という本です。
それまで虐待という言葉は知られていても、その実態はまだ認知されていなかった時代です。
それを虐待をされた当事者の言葉からの生々しいメッセージとして伝えたことで、広く虐待の問題の実相が知られ、そこから虐待を社会問題として考える契機となりました。
それから20年経ち、この虐待の問題はなにか解決の兆しが見えるようになってきたでしょうか?
行政やNPOなどの支援が増えたとは言え、まだまだ本質的なところでその解決のいとぐちが見つかったわけではありません。
実際の虐待の向こうにある本当の問題は解決されることも、そもそもそれに気づかれることすらないまま、これからも虐待におちいってしまう人、虐待の被害にあってしまう子供は増え続けています。
残念なことに、かつて刊行された『日本一醜い親への手紙』の役割は終わっていません。
この問題を風化させないために、再びその続編が企画されました。
しかし、現代において必ずしもこの虐待への世間の関心は高いとは言えず、書籍の事前予約購入という形でのクラウドファンディングとして発刊せざるを得ない状況となりました。
虐待の問題は、一般の人が直接その当事者に介入して解決できる問題ではありません。
だからといって、傍観していれば解決する問題でもありません。
一般の人の「無関心」こそが、社会のどこかでの虐待を助長してしまいます。
直接助けることはできないにしても、多くの人がこの問題に関心を持つことこそが重要です。
そういった意味でこの本の出版の意義は大変大きいと思います。
保育園などにおいて、パラパラとエピソードのひとつでも子育て中の人に見てもらうだけでも子育てを考えてもらう契機にもなります。
「自分は虐待とは無縁だ」という人にとっても、ここに描かれる話の中での、子供を育てること、子供が育っていくことのエッセンスを垣間見ることは大きな意味があるでしょう。
事前予約購入をするだけでクラウドファンディングになります。
ぜひご協力下さい。
『親から虐待された100人が書いた本を買おう!』(申し込みはこちら)
『日本一醜い親への手紙』から一部紹介(紹介記事)
選者のおひとり東小雪さんについて
「私は3歳から父親の性虐待を受けて育った」 性犯罪被害者が訴える刑法改正の必要性(東洋経済オンライン)