多くの親が、子供がゲームにはまってしまうことを問題視していて、そこから悩んだりしています。
中には、ゲーム機を壊してしまうとか、そういう過激な対応に行き着いてしまう人もおります。
おそらくそういった人からは、その問題の原因は、ゲームというモノそのものか、子供の態度・行動にあると見えていることでしょう。
しかし、実際の少なからぬケースにおいて、子供をゲームにはまらせてしまう、ときに依存させてしまう原因のひとつに、「親の問題」があります。
そして残念なことに、当の親はそれに気づいていないので、つねに子供やゲーム機が悪者になってしまいます。
では、その親の側の問題とはなんでしょうか?
それは、親の「過保護・過干渉」です。
子供たちは、親の特に「過干渉」の影響からの「逃避」として、ゲームの世界にはまり込みます。
全部が全部そうとはいいません。
しかし、ゲームへのはまり具合、悪影響、依存などが深刻なものほど、親の関わり方における過干渉の度合いが強い傾向があります。
現代の子供は、親からの過干渉の度合いがとても強くなっています。
・きょうだいの減少(子供ひとりに対する親の関わりが必然的に過度になる)
・家庭外の場の減少(逃げ場になるところがない)
・教育、習い事などの加熱
・緊密化する母子関係(密室育児)
など、その親個人の性格などといったものの前に、すでに構造的なレベルで過干渉になりやすい諸条件が整っています。
そこに、親の世代自身もすでに過保護・過干渉で育てられてきたという、生育歴からの経緯の問題もあります。
過干渉も程度の問題ではあります。
現在は、子育てのデフォルトの状態がすでに過干渉と言えますから、多少の過干渉であればまあ許容範囲なのですが、ブレーキをかけることもなく、無自覚に「子供のため」という気持ちから過干渉が過剰になるケースは少なくありません。
子供は、その自分への干渉が、「親の真心ゆえの自分のため」と理解していてすら、それが過剰な負担・負荷・ストレスとなることは少なくありません。
それがさらに感情的だったり、否定的な形での過干渉、支配的な干渉ともなれば、なおさらのことです。
そうやって、慢性的に過干渉の負荷をかけられている子のかたわらにゲーム機があれば、そのゲームに集中し現実から逃避するようになるのは、まず確実といっていいでしょう。
その状況で、そのようにならないことの方があり得ないほどです。
さて、ではその親からの過干渉により、ゲームに逃避せざるを得なくなっている子に、例えば「ゲームは一日○時間とお約束したよね!なんであなたは守らないの!」といったさらなる否定での方向の過干渉による負荷をかけたとしたらどうでしょう。
より、ゲームに逃避したくなる理由を親が進んで与えているといっても過言ではありません。
この「逃避」としての理由が顕著な子であれば、子供をゲームに追い込んでいるのは当のその親本人なのです。
つまり、子供は親自身の問題を代わりに自分が怒られたり、否定されることで引き受けなければなりません。
ゲームを注意されて、キレたり、暴力的になるといったことをしばしば聴きます。
それを、「ゲームが子供の脳に与える影響である」などともっともらしい説明をするものもありますが、おそらく多くのケースにとってはそれよりも圧倒的に普段からの過干渉のストレスに耐え続けていることが大きな原因になっているはずです。
そのイライラや暴力で出てしまう子供が、忌憚なく意見が言えて、そのボキャブラリーがあったとしたら、おそらくその心からの叫びはこういうメッセージになっていることでしょう。
「あなたの否定的な干渉によって、自分はゲームに逃避することでなんとか自我を保たなければならないところに追い込まれているのです。一刻も早くそのご自分の行為を自覚して、それを改善して下さい。そしてそのご自分の問題を私のせいにするのをやめて下さい」
「過剰な過干渉」
言葉として変ですが、そうとしか表現しようのない事態が、現代の子育てでは普通に引き起こされています。
現代の子がゲーム機にはまる理由はさまざまですが、この過干渉の問題を認識しなければ、正しくそれを理解することも、適切な対応をすることも難しいことでしょう。
この「親の過干渉」とゲームの関係に言及しているものがほとんどないようなので、僕がここで指摘しておきたいと思います。