一見それは、子供にルールを守らせたり、一般に「しつけ」と呼ばれることを子供に習得させようとする関わりとしてでています。
しかし、このとき「見えない怒り」が背景にある場合、それはその表の理由だけでないものがあるかもしれません。
それは表面上、その人その人の「規範意識」として存在しています。
例えば、「食事を残してはいけない」という規範意識を持っている場合。
その人は「食事のしつけ」や「健康のため」といった理由から、その子供に関わっているという表面上の理由を持っています。
しかし、人によっては、子供が残したり、食べこぼしをしたり、好き嫌いをすることに直面すると、イライラや猛烈な怒りを感じます。
もしかすると、その人がそのようになってしまう背景には、過去にその人がされた否定や自尊心を傷つけられたことが原因としてあるのかもしれません。
そこでためられた怒りのプールが、目の前の子供が残したりするきっかけを与えられてあふれ出てきます。
この怒りから導き出される関わりは、もしかすると自分が過去に受けた嫌だった行為と似たものになっているかもしれません。
もし、そうだとすると、それは怒りの、世代から世代へのバトンタッチになってしまいます。
これは実のところ、「子育て」そのものの問題ではなく、その人自身が持っている心のあり方に密接に関わる問題です。
それが「子育て」という場面に直面して吹き出し、多くの場合それが子育てに負の影響を与えます。
一見それは、「子育ての問題」に見えてしまうので、多くの人は「子育て」もしくは「子供の問題」と考えます。
でも、そもそも根っこにあるのは、子供自身の問題ではなく親の持っている問題なので、子供の行動を追及をしたところでそこに答えはありません。
大人が持っている怒りのプールに対処することが必要なわけです。
しかし、現実には、子育てを一生懸命しようとすればするほど、この子育てにおいて自分の怒りのプールをあふれ出させる状況を作ってしまいます。
まじめなひと、几帳面な人、神経質な人、自己肯定感の低い人、他者から子育てのプレッシャーを受けている人。そういった人ほどなりやすいです。
こういった問題はそれぞれが違うので、これで解決可能というわけではありませんが、ヒントになることをかければと思います。
できなければならないわけでもありません。
また、ムリなことはスルーした方がいいです。
やってみてできない結果にあたって、そこから深く自己否定をしたりしてしまうくらいならば、最初からやらなくたってかまいません。
◆ハードルを下げる(自分にも、子供にも)
規範意識を高く持っている人は、自分にもそういった「自分を律する」意識を強く持っています。
ですから、子供にどうこうと考える前に、自分を厳しく律することのハードルをさげるといいでしょう。
この意識が強い人は、そもそもそれが他者に比べて、自分がそれの強いことに気づいていないことも多いです。
心がそういう状況にあると、周りで子育てしている人をみても、なかなか「あら、あの人はずいぶんおおらかな子育てしていていいわね~。私もやってみよう」などとは思えず、むしろ、「なんであんな子供に甘いのだ。けしからん。だらしない親だ」といったように感じているといったことがあります。
こういう状況だと、他者との壁を高くしてしまったり、子育ても、自分の周囲の人間関係も難しくなりがちです。
◆ラクをする
自分を律する心のハードルを下げるためには、手抜きやラクを実際にやってみましょう。
「あ~今日はしんどいな~」
「仕事で嫌なことがあったな~」
などなど、そんなとき。
そんな理由などなくても全然かまいませんが。
いつもきちんとやっていることを手抜きしてラクをしてみましょう。
ご飯をレトルトですませてしまうとか、お弁当やお総菜を買ってすませるとか。
洗い物は明日でいいとか。洗濯物はたたまないとか。なんでもいいです。
大人がラクをしていくと、ピリピリとしていた意識がやわらぐので、規範意識に触れるような行動を子供が取ったとしても、怒りのプールがザブンと波打つことが減ります。
また、これは副次的効果ですが、子供も気持ちがラクになっていくので、いい姿が出しやすくなる場合があります。(ただし、反動で逆に難しい姿がでることもある。これは溜めていたものが大人のおだやかな気持ちに接して受け止めてもらおうとする行為なので、悪いものではない。その人からは一見悪く映るかもしれないけれど、ある種の前進)
◆自分を甘やかす
普段我慢してしまうことを、自分に解禁してみましょう。
甘いものを買って帰るとか、欲しかったものを買ってみるとか。
これも、規範意識をゆるめて怒りを出さない方に向けてくれます。
◆人を頼る
なにか人に頼ってみましょう。
断られたとしても、必ずしも「自分が拒否された」と取る必要はありません。
そのときはその行為をうけられなかったのでしょう。
頼れそうな人に頼ってみるのです。
別に深刻なものでなくてかまいません。
些細なことからやってみます。
例えば、スーパーなどで、店員さんに探しているものの場所をきいてみましょう。
当たり前ですが、教えてくれます。
「ありがとうございます。たすかりました」と言ってみましょう。
普段からそんなことができている人には、なんでもないかもしれません。
もし、あんまりそういったことをしたことがない人は、ちょっと試しにやってみて下さい。
きっとそこには何かがあるはずです。
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