早期教育を目指す親のあり方について考える vol.1 - 2017.04.02 Sun
過去記事にもすでに述べている箇所はいくつかありますが、それとは違った切り口で書いてみます。
「早期教育のすべてが問題ある」とは思いません。
そもそも子供は個々に違います。、また親のあり方・家庭のあり方もみな違います。さらに、一口に早期教育といってもいろいろありますので、一概に「いい悪い」でいいきれるものではありません。
◆「できてしまう」=「やらせて問題ない」???
ただ、誤解されることが多いのでひとつ述べておきますと、「早期教育」と「幼児教育」はイコールではありません。
幼児教育についても考え方がいろいろありますから、必ずしも確実な定義を述べることはできませんが、「早期教育」と「幼児教育」の対比でその違いを考えるとしたとき、そこを明確に分けるのは、「発達段階」のとらえ方だと思います。
伝統的に「幼児教育」とされてきたものは、子供の発達段階(この年齢、月齢、また個々の状況でなにができるのか)を踏まえたところから組み立てられています。また、情緒・精神的な発達面での許容量も意識しています。
それに対して、「早期教育」ではそれらをあまり考えずに、「早くできることならばやらせてしまおう」もしくは「早いほどうまく習得させられるからやらせよう」といった考えでそれを施しています。
「早期教育」が問題になるの論点のひとつは、
達成度を上げる、習得させることが可能な実践があるのはわかるが、それが子供の成長を考えたとき必ずしも問題ないのか?プラスになるのか?という点です。
ここについては、正直なところそれらのエビデンスよりも、はるかにビジネスとしてのあり方が先走っているのが現実です。
この問題については、僕よりも研究している大学の先生などの方が詳しいので、僕は他の人が語らないもっとミクロな視点からこの問題に触れていきます。
僕は子供の教育熱心な家庭もたくさん見てきました。
その中には早期教育にはまってしまう家庭もあります。
早期教育を施したり、教育熱心さを子供にぶつけても子供の姿に問題のない家もあれば、子供の姿、ひいては子育てそのものをどんどん大変なものにしてしまう家庭もありました。
子育てに「絶対」ということはないので断定することはしませんが、これから述べるいくつかの傾向がある親は早期教育にはまることで、子育てを難しくするリスクが高まってくるかもしれません。
1,感情をプラスの方に動かしにくい人
先日、『「感情」は学んで身につけている』の記事を書きました。
子供は楽しいとかうれしいといったプラスの方に感情が動くことを繰り返し経験することで、感情や情緒を発達させる。それができていなかったり、少なかったりすると子供に難しい姿が出やすいというお話でした。
そういった子育てをしてしまっている人、親自身がすでにそういう生育歴をおくってきたりして感情をプラスの方に動かしにくい人が、早期教育にはまってしまうケースだと子育ては難しい方向にいく可能性が高まります。
その傾向がある人には僕は早期教育はあまり勧められません。
早期教育をその状況の子供にすると心の余裕をどんどん奪っていって、結局はその親にとっても子育ては重荷になりかねません。
そして、そこから生まれる問題はずっとあとまで尾を引いたり、後になって出てきたりすることがあります。
まずは、勉強などのことよりも、子供との情緒的な関係作りや、子供の心の成長を優先した方がずっと親子互いの人生にとってプラスになると思います。
僕はそのように子育てしてしまう人を責めて言っているのではありません。
あとになって後悔したり、どうにもならなくなって子育てを投げ出してしまったり、またその子供が大人になってからもそういった親からの関わりに悩み続けたりといった、親にとっても子にとっても悲しい事態を少しでも防げるようにと思って書いています。
子供と心地よく心を動かす関わりができなかったり、苦手という人は、早期教育などを考える前にぜひそれをやってからにしてみて下さい。
子供と楽しい時間を共有することです。
「子供を楽しませる」のではありません。
モノや食べ物、金銭などで子供を喜ばせるのではなく、また、「どこどこに連れて行く」ことで子供を喜ばせるのでもなく、ただ親と子の関わりによって子供と楽しい時間を共有してみて下さい。
親子がともに楽しい、うれしい、などのプラスの感情で心を動かすことです。
なにかすごいことができる必要はありません。
にらめっこでもいいし、くすぐりっこでもいい、歌を歌ってあげることでも、「じゃんけんしよう」と誘って遊んでもいいです。
また例えば、
大人「○○ちゃんの好きな食べ物な~に?」
子供「ばななー!」」
大人「そうなんだ、私もバナナ大好きだよ」
たったこれだけの会話にも、意味があります。
それはそこに「受容と肯定」があるからです。
早期教育の成果のように目には見えませんが、これが子供の健全な育ちのためにはどうしても必要なことです。
もし、親であるあなた自身が、自分の親からそういった関わりをされたことがなくてうまくできないというのでしたら、周りの人のやっていることの真似でもいいし、だまされたと思って演技としてでもかまいません。
子供にそういった関わりを積み重ねて、屈託のない子供らしい笑顔や姿がでるようにしてみましょう。
早期教育をするにしてもしないにしても、それを先にしてからの方がずっと子育てを楽しむことができるようになるはずです。
つづく。
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(もし、そうではないのだとしても)早期教育の弊害については非常に関心のあるところですので、記事にしていただけて嬉しいです。
つづきも楽しみにしております。