FC2ブログ

2024-04

早期教育の利点 - 2010.06.20 Sun

まず初めにお断りしておきますが、僕は早期教育の必要性はほとんど感じません。
むしろ、過度な早期教育は得るもの以上に失うものが多いと思っています。

(ここでいう早期教育には英才教育・ギフテッド教育の類を含みません。僕はそれらの例に関わっていませんので、除外します。
英才教育・ギフテッド教育とは、すでに特別秀でた能力を持っている子にその能力を伸ばせるよう行う教育のことです。)


早期教育が必要であると思う人が、その必要性の根拠になるものを求めようと思えば、書籍にもネット上にもたくさんの補強材料がみつかることでしょう。

反対に、早期教育に弊害があると思う人が同じようにその根拠を探せばやはり、早期養育の弊害や、無駄を訴えるたくさんの情報がみつかります。


人は信じたいものだけを、取り入れて信じるものです。
だから、早期教育をさせたいと親御さんが思うのならば、僕は止めようとは思いません。

なにごともバランスが肝腎で、適度にするならば必ずしも無駄とは言えないからです。


僕はわりと多くの早期教育をしている家庭の子をみています。
とても裕福な家庭で毎月の習い事に数十万円かけられるうちから、保育園に通う普通の家庭でしているうちまで様々なケースを知っています。


そういう経験から、僕なりに感じた早期教育の利点と欠点があります。


ネットなどで探せば、学術的な考察ってのはたくさんあると思いますので、もっとローカルな視点で感じたことを書いていこうと思います。


そして、今回は「早期教育の利点」についてです。








早期教育にもいろいろなものがありますが、基本的にはその字のごとく、学習内容の先取り・前倒しであるということです。

この「先取り」こそがまさに早期教育の目的なのですが、僕の経験からも様々なデータからもこの「先取り」はそれほど有効に機能していないと思われます。

なぜなら、例えば6歳で覚える内容を3歳児にも覚えさせることは可能なのですが、取り入れた知識を有効に活用させる思考回路まで詰め込みで覚えさせることはできないので、応用が利かず、知識としては保存されていても活用されず、活用できる頃には普通に覚える年齢に達してしまい、結局追いつかれてしまうことが多いからです。
また、活用されていない知識なので消え去ってしまうこともあります。

だから、この知識の先取りということはあまり利点ではないと考えています。


では、なにが利点かというと僕が思うに3つ上げられます。

1つには、社会的に必要な場合です。
社会的地位が高かったり裕福な家庭では、早期能力開発スクールやお受験の塾に通って(その塾すらステータスの一部ということもあるようです)名門小学校や名門幼稚園に入ることが目的として必要な場合があります。

そういう家庭ではそういった学歴や、ステータス的なものも幸せになるために必要であったりするので、とやかくいえません。必要なんだからしょうがないのだと思います。


2つ目には「先取り」した蓄積がうまくいって、アドバンテージとして機能し、「自分は出来る、頭がいい」と自信を持てる場合があるということです。(必ずそう思えるとは限らないですが。)
「自分は勉強ができる」とか「自分は頭が悪い」といった先入観はその後の学力の上昇や下降に大きく影響してきます。
そういった点から「先取り」の価値はあるかもしれません。



3つめには、早期教育の場での人との関わりがプラスになる場合です。

その先生や親がはげまし、見守り、ほめ、認めてくれる、そういった早期教育に付随しているポジティブな関わりがこどもに自信や、自己肯定感をもたせてくれることがあるでしょう。

それこそ親に情愛的な関わりの薄い家でも、そういった早期教育や習い事先の大人などが好意的に関わってくれることが、その薄さを補ってくれることがあります。

教育の内容とはちっとも関係ないのですが、これにより救われる子は少なくないでしょう。

利点としてはずいぶん消極的な感じもしますが、冷淡な親から離れて、親切な関わりをする教室でホッとしているという例もずいぶん見ています。


以上が僕が利点と思うところです。


今後数回にわたって、「なぜいま早期教育が注目されるのか?」 「早期教育の欠点・弊害」
「早期外国語教育について」を書いていく予定でおります。


そもそも、なぜ僕が早期教育について書かなければと思ったかというと、現実に悲劇をたくさんみているからです。

こどもが親に潰されてしまうという悲劇です。

もちろん、早期教育をしてもそれなりにうまくいっている例もありますよ。
でも、いまの社会の流れからみると、今後は悲劇のほうが増えると思われるから、一度まとめておかなければとずいぶん以前から考えていました。

詳しくは次回以降述べていきます。


↓励みになります。よろしかったらお願いします。

育児ブログ・ランキング
関連記事

● COMMENT ●

No title

私も子どもが生まれるまでは七田式の広告とかが目に付いて、そういうのに興味を持ってました。
でもやっぱり早ければ早いほどよいというわけではないのですね。

「人は信じたいものだけを、取り入れて信じるものです」
そうなんですよね。
保育士おとーちゃんの記事を色々読んでるとそれに気づいて、少しは考えながら行動できるようになってきたものの、やはり信じたいものの方を取り入れてしまいがちです。

先日、公文の教室から電話があり、モニターになって欲しいと言われ暇だし・・・と思い行ってきたのですが、ひらがなだけでなく漢字、俳句なんかまであってちょっとびっくりして帰ってきたのです。
公文も小学生くらいの子がするのはとってもよい勉強法だな~と思うのですが、1歳2歳の子に漢字って!?

2歳の子が漢字を覚えるって絵を覚える感覚で覚えるのでしょうね。
漢字はやっぱり形で覚えるのではなく、なりたちなんかも理解できるようになってから覚えるのが一番だろうな~とつくづく実感しました。

早期外国語教育の記事も今英語をゆるくとはいえやってるので気になります。今後の記事も楽しみに待っています。

さっちんさん

> 私も子どもが生まれるまでは七田式の広告とかが目に付いて、そういうのに興味を持ってました。
> でもやっぱり早ければ早いほどよいというわけではないのですね。

↑のようなフラッシュカード式の早期教育は、実はけっこうハイリスクだと思います。
うまくいく子はそれでうまくいくのかもしれないけど、あまり小さいうちからすると情緒不安定になったり、攻撃性が顕著になったり、知識量という意味での学力面はつくけれども、読解、理解、会話などの能力が返って劣ってしまうというデータもでています。

早期教育にもいろいろあるから、一概に全てだめとはいえないけれども、僕としてはフラッシュカード式はお奨めできないです。

世間の評判とか、運営してる側の話だととっても良さそうに感じちゃうものなんだよね。
まあ、それが商売なのだから当然なのだろうけどね。


> 先日、公文の教室から電話があり、モニターになって欲しいと言われ暇だし・・・と思い行ってきたのですが、ひらがなだけでなく漢字、俳句なんかまであってちょっとびっくりして帰ってきたのです。
> 公文も小学生くらいの子がするのはとってもよい勉強法だな~と思うのですが、1歳2歳の子に漢字って!?

公文式って基本的にはいいものだと思うのですよね。
僕自身も小学生のとき行ってて、実際に算数に関してはとても役に立ったと思うし。

でも、最近はどうも公文式の手法で早期教育を売りにしだしてしまったみたいで、なんか違うものになっている気がします。

僕の知っている範囲では(けっこう前かな)幼児向けには、迷路みたいなのをしたり、絵と絵の関連のあるものに線を引いたりと、それなりに遊び感覚でたのしめるものだったから、それほど悪い印象はなかったけど、ちょっと漢字まで行くとやりすぎのような気もしますね~。

楽しめているうちならまだしも、それが義務化してしまったときに、現に使い道のない知識を教え込まれるのってちょっとつらいですよね。

早期教育ってその「楽しみ」と「むりやり」の線引きが難しいですね~。

久々に

伺いましたm(_ _)m 
一時期お忙しそうでしたが、少し落ち着かれたんですね^^

うち今日で8ヶ月になります~早いものです。
同じ言葉をかけるのでも、はっきり反応があるとやはり嬉しくなります^^1人遊びの時も、「見てて欲しい」オーラが出ているように思うので、なんとなく見てたりするんですが、目が合うと本当に嬉しそうにするのがたまりませんw めろめろです(≧▽≦) その時に「えっへっへ~」って言ってたんですが、過去記事の「じーーっ」の方が見てるよって感じでいろんな使い方ができるなあと思いました。早速まねさせて頂きますm(_ _)m

そんなこんなで遊んでばっかりいるため早期教育には縁がありません。。が、外国語は自分が苦手だったこともあって、少し興味ありました。なので、今後の記事たのしみにしています。

No title

公文、迷路のプリントももらったのですが、あれはとってもいいな~と思って本やさんで公文の迷路ばかりの本を買ってきたんです。
娘もすっごく喜んでやってるのであれとパズルだけは時々やってもいいかな~とおもっています。
公文のいいところをまねさせてもらうことにしました。

公文も他の幼児教育との競争に負けまいと早期教育っぽくなってきたのでしょうかね・・・。

ずんさん

> 伺いましたm(_ _)m 
> 一時期お忙しそうでしたが、少し落ち着かれたんですね^^

はい、だいぶ落ち着きましたありがとうございます。

> うち今日で8ヶ月になります~早いものです。
> 同じ言葉をかけるのでも、はっきり反応があるとやはり嬉しくなります^^1人遊びの時も、「見てて欲しい」オーラが出ているように思うので、なんとなく見てたりするんですが、目が合うと本当に嬉しそうにするのがたまりませんw めろめろです(≧▽≦) 

ほんとに赤ちゃんかわいいですよね。
ずっと赤ちゃんでいて欲しいと思うくらい、僕も好きです(笑)

さっちんさん

> 公文、迷路のプリントももらったのですが、あれはとってもいいな~と思って本やさんで公文の迷路ばかりの本を買ってきたんです。
> 娘もすっごく喜んでやってるのであれとパズルだけは時々やってもいいかな~とおもっています。
> 公文のいいところをまねさせてもらうことにしました。

そうね~遊びとしてできる範囲がいいんだとおもうよ~。


> 公文も他の幼児教育との競争に負けまいと早期教育っぽくなってきたのでしょうかね・・・。

なんかどうも、本来の公文の生徒数が頭打ちになったころから、知育玩具とか、早期教育に力をいれだしてしまったようですね。

本来の公文式だけなら変な批判を受けたりすることもなかったろうに、どうしても大きな企業になってしまうと、「昔と変らないガンコ職人の味」みたいな商売じゃいけなくなってしまうんでしょうかね~。


トラックバック

http://hoikushipapa.jp/tb.php/102-bfbb9a7f
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

なぜいま早期教育が注目されるのか? «  | BLOG TOP |  » 「じっーーーーー」応用編

ごあいさつ

ただいまコメント欄での子育て相談は休止中です。 お悩みのコメント下さっても回答を差し上げることができません。 申し訳ありませんが、過去記事、すでにある返信コメントなどを参考になさってください。 多くの相談への返信がすでにあります。関連するカテゴリーから探す、検索を使って探すなど利用してみてください。 多忙になってしまい、コメントへの返信ができなくなってしまいましたが、お寄せいただいたコメントにはすべて目を通し更新の励みになっております。ありがとうございます。

最新刊

よければレヴューも書いてね!

前作!

最新記事

最新コメント

プロフィール

保育士おとーちゃん

Author:保育士おとーちゃん
当ブログはあくまで個人ブログであり、記事の内容および相談・コメントの返信等は効果を保障するものではありません。
ご利用に当たっては自己責任でお願いします。

楽しく無理のない子育てを広めたいと2009年ブログ開設。多くの方の応援があって著作の出版や講演活動をするようになりました。 現在は、子育て講演や保育士セミナーの他、『たまひよ』や『AERA with Baby 』等の子育て雑誌の監修やコラム執筆。『ジョブデポ保育士』の監修や育児相談などをいたしております。

講演等のご依頼

講演・ワークショップ等のご依頼はFacebookのメッセージ または『保育士おとーちゃんホームページ』 http://hoikushioto-chan.jimdo.com/ よりどうぞ。

カテゴリ

はじめにお読みください (2)
【まとめ】記事 (2)
子育てノウハウ? (81)
子育て日記 (13)
保育園・幼稚園・学校について (120)
日本の子育て文化 (209)
おもちゃ (27)
叱らなくていい子育て (10)
排泄の自立 (11)
『魔の2歳児』 (5)
子育てまめ知識特集 (4)
あそび (41)
おすすめグッズ (10)
おすすめ絵本 (23)
食事について (15)
過保護と過干渉 (47)
満たされた子供 (7)
早期教育 (20)
我が家の子育て日記 (96)
心の育て方 (107)
相談 (86)
子供の人権と保育の質 (90)
その他 (70)
未分類 (24)
講座・ワークショップ (142)
父親の子育て参加について (3)
雑誌・メディア (48)
子育てに苦しむ人へ (27)
保育研修 (3)
note有料記事 (4)
保育について (16)
性教育について (6)
子育てオンラインサロン (1)

保育ひろば

保育ひろば

楽天

FC2カウンター

全記事表示リンク

全ての記事を表示する

おしらせ♪

当ブログはリンクフリーです。トラックバック・リンクはご自由にどうぞ。 しかし、本文・コメント・その他を含めて著作権は私にありますので、引用・転載する場合は連絡をお願いします。また引用元の記載も併せてお願いします。 なお写真の転載はお断りいたします。

ランキングに参加しています

検索フォーム

月別アーカイブ

リンク

このブログをリンクに追加する

QRコード

QRコード

アクセス解析