恥ずかしい言葉もこともなげに - 2017.05.12 Fri
こういったことって構えてしまうと恥ずかしくなっていいにくいものなんですよね。
子育てでも、自分の感情を言葉にして伝えることは本当はとても大切なことです。
しかし、日本人のシャイなところ奥ゆかしいところが余計にこれを困難にしてしまいます。
僕自身もシャイだし内向的だし、そのようなことを言葉にするのは本来得意ではありません。
でも、多くの子供に関わってきてその重要性を深く実感してきました。
「恥ずかしいから言わなくてもいい」「言えるときになったら言う」
では済まないからです。
例えば、否定をたくさん積み重ねられてきて自分に自信が持てなくなっている子、そこから他者へ意地悪をしたり、大人の言葉に従えなくなってしまっている子がいたとします。(実際たくさんいます)
多くの人はこういった子に対して、注意をすることでその姿を直そうとします。
しかし、問題が浅い一部のものでなければそれは解決しません。
その問題を押さえ込むだけで、後へ後へと問題を大きくしながら持ち越すだけです。
これでは専門性のあるプロの仕事ではありません。
じゃあ、これを解決する第一歩はなにか?
「おっ、あなたの作ったその積み木いいね~」
「あなたはかわいいねぇ~」
といった感情レベルでの肯定の言葉なのです。
注意を100回しても1000回しても問題行動がなくならない子が、「あなたはかわいいね」から始まるアプローチによってはっきりと変わってきます。
僕は保育の目的は、その子が将来幸せになることのお手伝いをすることだと思っています。
本当に必要な子を前にして、「明日言えたら言おう」では済まないケースがあるのですね。
まあ、そんなところで子供を相手に自分の感情をストレートに言葉に出すという経験を積ませてもらったので、いまでは大人相手でも堂々と口に出すことができるようになりました。
「あなたのそういうところ素晴らしいと思います」
「本当にこれまでよく頑張ってきましたね」
「あなたは素敵な人ですね」
「子供を産んだということはそれだけですごいことなんですよ。なんと言っても命を作り出したのだから」
「あなたのお仕事はかけがいのない素晴らしいことです」
などなど。
冷静に考えたら歯が浮くような台詞だったとしても、そういうことは考えなければなんてことはありません。
嘘をついているわけでもなく本心からそう思えており、同じ感情を表すにしてもそれが怒りやさげすみなどの負の感情でないのならば、そう悪いことにはならないでしょう。
ある意味、人との関わりは常に「一期一会」なのですよね。
だから、思っているだけ、いつか言えたら言うというスタンスでは気持ちは伝わらないのです。
「少しでもそう思っているのならそれを表す。表さないのならばその気持ちはないのと同じ」極端に言えばそういうことです。
このような「思いを表すこと」を一番邪魔しているのは、他の誰でもなく自分の「自意識」というやつです。
「こんなことを言ったら相手にどう思われてしまうかなあ?」
「あんなこと言っちゃったけど相手にヘンに思われていないかな?」
前と後にこういう考えを頭にめぐらしてしまうと、人はどんどん自分を表現することができなくなってしまいます。
僕は表現者や芸術家にあるようなエキセントリックな自分を型にはめずに生きられるようなタイプではなくごく普通の人なのだけど、でもそんな「見る前に飛べ」的な精神で、良い感情は積極的に出すようにしています。
それによって、もし「なにこの人ヘンな人ね」とか思われるような人に当たったとしても、そもそも100人に当たったら100人の人と仲良くできるわけでもないのが実際なので、そういうときはご縁がなかったのだと思えばいいのではないかなと感じます。
少なくとも、ご自分の子供(思春期の子供相手は少々ハードル高いですが)は、いくらそういった言葉をかけたところで本心から否定されることはありませんので遠慮無く言いましょう。
その勢いでパートナーにも言ってしまいましょう。
こういった言葉は口に出せば出すほど言いやすくなり、出さなければ出さないほど言いにくくなります。
子供には「かわいいね」から、パートナーには「いつもありがとう」あたりからが言いやすいのではないかな。
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● COMMENT ●
ほんとうにそうですね!
母の日に
昨日は朝から、私のためのプレゼントのジグソーパズルを夫と息子2人で作ってくれ、お昼にやっと完成して、はにかんだ笑顔で「おかあさん、いつもありがとう」とプレゼントしてくれました。
プレゼントの内容もがんばって作ってくれていることも知っていたし、「ありがとう」の言葉も予想していたことだったのに、言われた瞬間、うれしくて思わず涙が出てきました。
夜には、私と息子2人で手持ち花火をやりました。
息子たちはすごく楽しんでくれましたが、上の子が帰り道に「ひとつだけさびしくて悲しいことがあったの。お父さんが一緒にできなかったこと」と話してくれました。
夜布団に入ってからそのことを思い出し、「お父さんに言ってきたら?思ってることは、言わないと、わからないよ」と話すと、すぐに言いに行っていました。
戻ってきた息子は満足そうな顔をしていましたし、夫は「さびしかった」と言われたとき、そのさびしそうな様子に共感して、思わず涙が出そうになったそうです。
言葉って、思った以上に心に響く力を持っていますね。
いい使い方をしていきたいです。
再度布団に入ってから、上の子が「今日はいい母の日だったね~」としみじみ言っていて、それもすごくうれしかったです。
御礼に次ぐ御礼
またこんな素晴らしくぐっとくる記事を
ありがとうございます。
私が求めていたものがここに
ありました!(語彙不足で稚拙な表現しかできず悔しいーーー)
いつかeMailカウンセリングにも
お世話になりたいと思っています。
末永いご活躍と、ご家族含めみなさまのご多幸を願っています!
藤井様
藤井さんのコメントにも
私が求めていたものがありました。大々感謝です。
「眠る前のありがとう」
いただきました!
ごく当たり前のことに感謝するという点が
じーんと来ました。
夜眠る前、電気を消すと4才女児が友達関係の悩みを(拙い言葉で)話してくれます。
今晩から
「今日も◎◎してくれてありがとう!」
「あたりまえやん(笑)」
で眠りに入れたらいいなあ。早速トライ!
ありがとうございます!
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その分、「それいいね!」と思ったことは積極的に口に出して伝えて、罪滅ぼし(?)しています。こどもがもっと小さい時に、こちらのブログで「ごめんねと謝るのではなくありがとうって言おうね」というニュアンスのことを書いてくださっているのをみてから、そのようにしています。毎晩は出来ないですけど、「今日のありがとう」と題して、5歳の娘にベッドの中でお話しています。たとえば「晩ごはん食べてくれてありがとう」とか「今朝急いで準備してくれてありがとう」とか「今日も元気にたくさん遊んでくれてありがとう」とかです。ただ生活していればありそうな出来事に、「ありがとう」と付けているだけですが(^^;;
パートナーにも言う…うーん、ハードル高いですが頑張ります\\\٩(๑`^´๑)۶////