親のタイプから考える子育ての形 vol.9 「支配型」からの脱出2 - 2017.07.21 Fri
この支配型の子育ては大変根深いために、上辺のテクニックのようなもので簡単に乗り越えられるようなものでもありません。
自身がなぜそうなってしまうのか?という「気づき」がどうしても欠かせないのです。
ですので、そこから掘り起こして書いております。
支配型の子育てを受けて育つと、複数の問題を抱えさせられてしまうことがあります。
●自身の自己肯定・自尊感情の問題
●対人関係の問題
●子供に対する姿勢の問題
●情緒・感情の在り方、コントロールの問題
これらが複合的にあると、問題解決のアプローチは言うに及ばず、普段の子育て・生活のシーンでもいろいろな難しさに直面することになります。
前の記事では、典型的な支配型の生育歴をあげることで「気づき」の参考にしていただきました。
なかにはそれを読んで、自己否定の気持ちに向かってしまった方もいるかもしれません。
でも、僕はそういった方を責めようと思って書いたわけではないのです。
「自分はそういった関わりになってしまう理由を持たされている」
というところに気づいてもらうことで、自身を責めない、自己肯定の方に気持ちを振り向けていただければと思っています。
おそらく、自身が我が子に支配型の子育てをしてしまうことで、「私は悪い親なのだ」「私には愛情がない」「母親(父親)として自分は失格だ」「子供のことを大切に思っているのに、かわいがることができず苦しむ」といった思いをしてきた方もたくさんいらっしゃることと思います。
それは自分自身へのとても強い自己否定になっているはずです。
簡単にはそれを変えられないでしょう。
でも、とりあえず頭の隅にだけでいいので、
「私はそういうものを持たされてしまっているので出てしまうだけなのだ、私がダメだからではないんだ」
と、全部心からそう思えなくてもかまいません、その意識をちょっとだけ置いといて下さい。
支配型の子育てを乗り越えるためには、このことが必要なのです。
それははつまり「自己肯定」です。
子供の姿で感情を大きく動かされてしまう人(イライラ、怒り、どうしていいかわからない)は
「私はダメだ。ダメだからもっと頑張らねば!」
とこういう気持ちになってしまいがちです。
この気持ちはその人の心の余裕を奪うので、よりイライラや怒りがつのったりして、子育ての安定化にはなかなか近づきにくいです。
例えば公園にいったとき、他の親子がほほえましく子供と過ごしているのを見ると、気持ちが波立ちはしないでしょうか。
●あの親子はなんて楽しそうなのだろう。それにひきかえなんて私はダメなのだろう
●あのウチの子はなんてかわいいのだろう。なのに我が子はなんでこんなに大変なのだろう
●あの親はなんの苦労もしてなさそうなのに、あんなに子供と楽しそうでずるい・・・・・・。でも、そう思ってしまう自分は意地悪な人間だ・・・・・・。
こういった波立ちも結局自己の否定、自己嫌悪にいきつきます。
その感情のわだかまりが、さらに子供の姿を許容できないというイライラなどの悪循環となったりします。
これを防ぐためには、先ほどの
「私はそういうものを持たされてしまっているので出てしまうだけなのだ、私がダメだからではないんだ」
という自己の許容、自己肯定、自分への許し。そういったものが必要となります。
ですから、ちょっとずつでいいので、この自分への許し、自己肯定の芽を育てていってほしいのです。
幸運なめぐり合わせのあった人は、これを他者の手を借りてしていくことができます。
例えば、結婚した相手が、自分で自分を肯定する代わりに、その人が自分のことを受容・肯定してくれたといったケースです。
もともと自己否定を強く持っている人が、自身のことを肯定していくのは時間もかかるし、簡単なことではありません。
しかし、おおらかで包容力のある人が、自分にそれをしてくれると大きくそれは進みます。
こういった自身を「サポート」してくれる人の存在というのはとても大きいです。
実際、こういった問題を抱えている人は、自身のその問題に向き合うことすらつらいのです。
向き合ったとしても乗り越えられるとは限りませんが、向き合わない限りはずっと引きずっていくことになるでしょう。
しかし、心情的につらくて自身の問題に向き合えません。
これは仕方のないことです。
でも、自分を許容し肯定してくれる人の存在によって、ほんのちょっとだけかもしれないけれど前進して、向き合うことができるようになるといった人は多いです。
これで解決ではありませんが、少なくともスタートラインには立つことができました。
僕も多くの方のカウンセリングをしたり、お話を聴いてきましたが、パートナーに出会えたことでなんとかカウンセリングをしようと思えたり、自身の問題を人に話すきっかけをもらえたという人がとても多いのを感じています。
もちろん、そういった人に出会えなかったから解決しないということはありません。
自身の問題を抱えている人にとっては、ときにカウンセリングはとても有効なことがあるので、大げさに考えずに気軽に試してみるといいかもしれません。
自分の気持ちを出すことにより、前向きになりやすくなることは多いです。
ただ、カウンセラーにもいろいろいて、中にはかえって嫌な気持ちになって帰ってきたというお話もしばしば聴きます。
いいカウンセラーもいれば、ダメなカウンセラーもいますし、自分に合う人合わない人というのもあるので、試してみてダメなら他を当たる、あまり過度な期待はしないくらいでいくといいかもしれません。
本当に評判のいい人は、とても高額だったり、予約が何ヶ月も先まで埋まっているということもあります。
こういった人にめぐり会えるのは大変幸運ではあるのですが、「持たされてしまった対人関係の問題」ゆえにそういう人が身近にいたとしても、その人から許容・肯定してもらえる状態になりにくいということがあります。
多いところでは、「怒り」を周り中に振りまくことで、自身をなんとか維持しているという傾向を持っているタイプです。
先般話題になった豊田代議士はこの典型的で極端なタイプであると思われます。
おそらく母親からの支配的子育て関係とそれによる共依存から、人格障がいを持たされるところまでいっているのではないでしょうか。
このような問題を抱えている人の場合は、周囲の人からの許容・肯定がもらえることがまずできなくなってしまいます。ですので、進んで専門家にかかることをお勧めします。
次回は具体的な乗り越える方法について述べていきます。
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↑こう思ってしまう気持ち、わかるような気がします。私の場合はママ友付き合いが苦手なので、友達同士で児童館に来ている子供やママさんを見ると「あの子たちはあんなに小さいうちからお友達がいていいな。それに引き換えうちは…」と落ち込むことがよくあります。
それでも「子供をかわいがる」ことだけはなんとか頑張ろうと、毎日抱きしめ、キスし、大好きだよ~と伝えています(こちらのブログのおかげです!)。おかげで娘は(まだ1歳ですが)抱っこ大好き、よく笑い、よく甘える可愛い子に育ってくれている…と私は思っています。
ただ、ふと気になったことがありました。こうした「かわいがり」は、何歳まで続けていいのでしょうか??
先日、NHKの「ウワサの保護者会」で「子離れ」について特集をしていたのですが…。あるご家庭で、小学六年生の男の子が「ママの隣で寝たい」と毎週のように甘えて(?)いる様子が放送されていて、その様子について尾木ママ含め有識者の方が「この夏からでも1人で寝させるようにしたら?」等とアドバイスされていたのです。「ママと一緒に寝たい」という甘えは、未就学児であればもちろん叶えてあげて構わないものなのでしょうが…小学六年生になれば、それはもう「いけないこと」「自立を阻害するもの」になってしまうのでしょうか?
個人的に、私自身が両親に放っておかれ、「しっかりしているわね」の言葉と共に、ある種無関心な扱いをされてきたので(ちなみに三兄妹の長女です)、「親に甘えたかった」という気持ち=寂しさや怒り、が現在まで根深く残っているのです。だからこそ、自分の子供も、その小学六年生のお子さんのようについ甘えを許してしまいそうなのですが…。一般的に「子離れ」というのは、何歳ごろを目安にすればよいのでしょう?
長々と申し訳ありません。お気が向いたときにブログのネタにでもしてくだされば嬉しいです。
※ちなみに明日土曜の午後12時から「ウワサの保護者会」の再放送をやるそうです。ご興味があればご覧になってみてください。