親のタイプから考える子育ての形 vol.11 「支配型」からの脱出4 - 2017.07.23 Sun
本当に、この「支配型の子育て」の問題で苦しんでしまっている人がたくさんいるのを身にしみて感じます。
この「支配型の子育て」の問題は、日本の子育てのとても大きな課題です。
首までどっぷりつかっているので、その問題があることに気づけなくなっているほどの大きな問題です。
程度の差があるだけで、非常に多くの人がこの影響を受けています。
「いいなり」や「甘やかし」などの過保護・過干渉の問題も、支配型の亜種である「優しい支配」であり、問題の本質はつながっています。
ですから、「支配型の子育て」についての知識を持つことが、多くのところで子育てをムリのないものにしていく役に立つでしょう。
◆何倍も頑張っている
コメント下さったみなさんや、この問題で子育てに苦しんでいるみなさんに、「あなたが悪いのではありませんよ。あなたは人の何倍も頑張っていますよ」とお伝えしたいです。
それはお世辞でも誇張でもありません。
過度な過保護や過干渉、こういった支配型の子育てといったものでなく、円満な子育てをされて育った人(円満とまでいわなくてもまあまあ問題のない範囲に収まっている人も)が、何気なく子供にしてあげられることが、そういった生育歴を持っている人にとってはものすごく努力や労力、精神的負担をともなうものとなってしまいます。
例えば、他の人が優しく子供に世話できるところを、ものすごいイライラを抱えたまま冷たい顔で世話をする。「あ~しんどいわ」「つまらないわ」と感じながらも無理無理子供の遊びに付き合っている、など。
しかし、それでも円満な人ができるほどの結果にはなかなか及びません。
はたから見れば、その人はいつも子供に怒っている人だったり、冷たく対応している人、子供を無視している人、子供を放ってスマホばかり見ている人に見えてしまいます。
人の何倍も努力しているにも関わらず・・・・・・。
誰もその努力を認めてくれないし、そこにとてつもない努力があることすら気づいてくれません。認めてもらえるどころか、責められている気すらしてしまいます。
子育てが報われない仕事になっています。
そのようであれば、「私は子育てよりも、会社の仕事をしている方が充実しているし向いている」、そのように思う人が出てくるのも当然です。
誰も理解してくれないということは、激しい孤立感にさいなまれるということです。
その人の立場を理解できない人は、たとえばこんなことを言います。
「ママ友を作って、そこでいろいろ話したり、悩みやグチを聴いてもらうといいですよ」と。
しかし、それを頑張ってしたところで、その人の孤独は癒やされないどころか、さらに増していくことすらあります。
ママ友「そうよね、わかるわー。うちもそういことあったもの。でも、きっと自然とラクになっていくわよ」
私「はあ、そうですか・・・・・・。
(あっ、たぶんこの人のいうレベルと我が家のレベルは、宇宙規模で次元が違う。やっぱり、私のことはわかってはもらえないんだ・・・・・・)」
保育士や育児の本、子育ての専門家、子育て支援員、子育て相談員といった人たちの言葉も場合によっては助けにならないどころか、自分への攻撃になって返ってきます。
保育士「お子さん最近、他の子に噛みついたりすることが多くなっているようです。おうちでもっと愛情をかけてあげてください」
私「はい、わかりました・・・・・・。
(えっ、私これ以上どうすればいいかわからないほど、こんなに子育て頑張っているのにまだ足りないんだ。やっぱり私って愛情のない人間なんだ・・・・・・。あぁ、子供に向き合うのつらいな・・・・・・)」
子育て支援員「ああ、そうなんですか。それは大変ですね。でも、そういうことってみなさんあることですからあまり悩みすぎないようにするといいですよ。大丈夫、大丈夫。」
私「・・・・・・。
(みなさんとは違うからここに相談に来ているんでしょうが。大丈夫じゃねーよ)」
or
「(あ、やっぱり私は、他の人が乗り越えていけることを乗り越えられないダメな人間なんだな・・・・・・)」
自身の生育歴ゆえに我が子の子育てに苦しむ人は、周りからは簡単に理解してもらえません。
本当は、それを理解した上でサポートできる存在が社会的に必要とされる時代になっているのだけど、このことを理解しており、さらに実践してあげられる人の数があまりにも少なすぎます。
本当はみなさんの身近にそういった人なり、プロフェッショナルなりがいて、実際の言葉で言ってあげられればいいのだけど、なかなか出会うことができないですから、とりあえず僕が代わりにここで伝えておきます。
「あなたは、人の何倍も子育て頑張っています。
それでも結果として目に見える子供の姿は思うほど望ましいものになってはいないかもしれないけれど、それでもあなたが子供のことをどれだけ思い、どれほど努力しているのかを僕は知っています。
結果はたとえおもわしくなかったとしても、あなたが苦しみながら頑張ってきたという事実は間違いないものです。
きっとお子さんはそのことを理解してくれますよ」
僕の思いとしては、本当は日本全国の保育士の人たちにその役目を担って欲しいと思っています。
このブログは保育士の方も読んでいると思いますので、この場でそれも伝えておきましょう。
ほとんどの親は、保育園の先生に自分のダメなところを出せば否定されてしまうという気持ちを持っています。
現にこれまでの保育園の家庭援助の在り方はそのとおりでした。「ダメ出し」をすることで直ることを期待するという「先生体質」をもっていました。
しかし、それではもともと孤立気味の現代の子育てにおいて、より孤立感を深めさせてしまいます。
否定ではない寄り添った形での援助が必要とされています。
それは誤解を恐れずはっきりと言えば、保育士の職業的な目から見れば「ダメな親」を受け入れることです。。
本当はその人たちは「ダメな親」ではありません。その人たち自身が「持たされてしまった」犠牲者であり、だれよりも援助を必要としている人たちです。
もし!
保育士がそういった人たちの力になることができたら、保育士という仕事の社会的評価はものすごく高まります。
保育士個人のレベルで言えば、大変大きな共感や感謝を日々の仕事の中でもらうことができます。
それができるようになると、保育士はこの上なくやりがいのある素晴らしい仕事です。
先日お亡くなりになった日野原重明さんの言葉「自分の命を人のために使う」ということが、まさにすぐ実践しやすいところにある仕事なのです。
- 関連記事
-
- 親のタイプから考える子育ての形 vol.13 「支配型」からの脱出6 (2017/08/06)
- 過干渉や支配から変えるほんのひと匙 (2017/08/05)
- 「いまこうしなければ、将来そうならなくなるのでは?」という不安について vol.2 (2017/08/04)
- 「いまこうしなければ、将来そうならなくなるのでは?」という不安について vol.1 (2017/07/28)
- 親のタイプから考える子育ての形 vol.12 「支配型」からの脱出5 (2017/07/24)
- 親のタイプから考える子育ての形 vol.11 「支配型」からの脱出4 (2017/07/23)
- 親のタイプから考える子育ての形 vol.10 「支配型」からの脱出3 (2017/07/21)
- 親のタイプから考える子育ての形 vol.9 「支配型」からの脱出2 (2017/07/21)
- 親のタイプから考える子育ての形 vol.8 「支配型」からの脱出 (2017/07/20)
- 「いいなり」は「しつけ」が生み出した (2017/07/19)
- 親のタイプから考える子育ての形 vol.7 「いいなり型」からの脱出3 (2017/07/16)
● COMMENT ●
でも、私の場合、同じ親に育てられた弟は正反対の性格で、おおらかで、人付き合いも上手く、子どももとても素直に育っているのを見ると、自分が子どもに対して支配的になってしまったり、感情をコントロールできないのは、育てられ方のせいじゃなくて、ただ自分が未熟で、性悪な人間だからなんだろうなと思います。そして毎日、こんな人間が3人も子どもを育てていいんだろうか、と不安になります。
私の言動を見ている夫は、何かと「ママってキレると怖いよな〜。」と呟き、さらに自己嫌悪に拍車をかけます。
育児を通してダメな自分と向き合う日々は孤独で、どうやって直せばいいんだろうって悩んできましたが、少し答えが見えました。
直すんじゃないんですよね。
それが私なんだね、って、そんな自分なりに今までよく頑張ってきたね、って、自分自身に、初めて心から思えました。
今までお話を伺った時に何度か言っていただいた言葉が、今更ですがようやく落ちました。
これからはラクな方、むしろダメな方を選んでみようと思います。
まずは、昼間から一人でダメ人間の集まる飲み屋さんに行ってみます。
ありがとうございました。
泣きました
人に認めてもらえる機会がなくて、自分でも自分を認められない事が、また辛くさせるんですよね。
子育て相談に行って、「愚痴を言い合えるママ友が居ればねぇ…」って言われました☆ソウデスネー。
ネットがあって、おとーちゃんのブログに会えて、本当に良かった…と思います。
>akkoさん
これは、その人の個性の部分もあるし、その親による関わり方の偏在の影響も考えられます。
例えば、
次男は許せるけど、長男は許せない。
男の子は許せるけど、女の子は許せない。もちろん、それの逆もあります。
特に、母親は女の子に強くあたる傾向があり、これは心理学では「エレクトラコンプレックス」といわれます。一般には「マザコン」として知られる「エディプスコンプレックス」の女性版です。
一方で母親は男の子に対して過度に期待をすることから、男の子への支配、過保護、過干渉を強めることにより、男の子への支配をつよめる傾向といったものもあります。
また、自立心が強い性格を持った子への支配をあきらめ、自分が支配しやすい子に対しての支配を強化するといったケースもあります。
>育てられ方のせいじゃなくて、ただ自分が未熟で、性悪な人間だからなんだろうなと思います。
それは、自己否定をされ続けて育った人が持ってしまう、自虐ICチップが現在のakkoさんに思わせている可能性があります。
ハラスメントをさ続けると、被ハラスメント体質を作ってしまうというものです。
僕はakkoさんが「性悪な人間」ではないことをたった一言で証明することができます。
「本当にakkoさんが性悪な人間がであったら、こんなに子育てで悩んでいないし、こういった文章を読もうとすることもないし、このようにコメントすることで自身の苦悩を出す必要もありません。悩んでいるその事実が、すなわちakkoさんが性悪な人間などえはないという証拠になっているのです」
>まずは、昼間から一人でダメ人間の集まる飲み屋さんに行ってみます。
ぜひ、いってみて下さい。「ダメな自分でも許容してくれるところがある」というのは、とても大きな自己肯定。そこまでいかずとも、居心地の良さがあるものです。
僕は最近、時間もないしお金もないのであまり飲み歩いておりませんが、そういったところで過ごす時間は、心の中にある氷が溶けるような感じがします。
ありがとうございます
おとーちゃんの優しい言葉に涙が出ました。
ありがとうございます。
4年半育児をしてきて、
初めてもらった「頑張ってますね」がとても嬉しいです。
自分の子ども達がやがて親になったとき、
同じようなことで苦しんでほしくない
育児 人と関わることは楽しいと感じてほしい一心で取り組んできました。
>誰もその努力を認めてくれないし、そこにとてつもない努力があることすら気づいてくれません。
なにかあったとき「泣くなっ!」とか「おいていくからねっ!」と一喝し、
後は無視して終わりにできたらどんなに楽かと思います。
そこを堪えて、子どもの言葉に耳を傾けて一生懸命向き合いました。
でも、周りから言われることは認める言葉ではなく
「母親なんだから子育てを頑張るのは当たり前のことだ」
とか
「そんなに毎日頑張っちゃって、自分の趣味でも見つければいいのに」
(でも、預け先がないし…なにより子どもと遊ぶのが好きなんです)
というものでした。
その度、ポツンと独りぼっちになってしまうんです。
おとーちゃんのいうとおり、
きっとこの頑張りは子どもたちに届くと信じてまた明日からほどほどに(笑)頑張ります!
ブログも楽しみにしています♪
呪縛から解けた思いです
今回、『自分が楽をする』ということで旦那がいないお昼に出前をとりました。初めて日曜日が本当の休日になりました。
また、自分が母・妻・嫁ではなくまずは1人の人間であり、それを大切にした上に母・妻・嫁の役割があるのかなあ、と感じました。
まずは自分を1人の人として尊重する、そう考えただけで子供の見方が変わりました。
年々おとーちゃんさんの活躍の場が広がり勝手に喜んでいました。
これからもおとーちゃんさんの思いをたくさんの人に届けて下さいm(_ _)m
最後に、わたしは四人目を妊娠中です。三人目を育てるなかやっと子供をかわいく思い育てる自身がつきました。1人目・二人目で悩んでいるお母さん、心配ないです。おとーちゃんさんの言う通り悩んでいるということは成長できます。
長々すみませんでした。
皆さんに共感します
リアルなママ友とはこんな話になることはありません。日常会話としては重すぎる。でも心の中では皆悩んでるんですよね。
私も親に満たしてもらえなかったと思ってます。でも親が私を愛してくれていたのはよーくわかってる。ただ、やり方がヘタだっただけで。私も自分の子育ては、勉強しても勉強しても下手くそだと思う。日々試行錯誤。
このブログに出会う前は、心屋仁之助さんのブログでかなり救われました。おとーちゃんさんと言っていることは同じですよ。
最近はこのブログにどっぷりはまっています。更新楽しみにしています。
コメントした皆さん、読んでる皆さん、お互い大変ですけど楽しくやっていきましょう。なんとなく、このブログを読んでる人は真面目な人が多いのかな〜と思います。私もその1人です(^-^;
ここで共感できることが、嬉しいです。
なやんでらした方がいましたが、それは違うと思います。
弟さんは、貴方(お姉さん)から少なくとも、一緒に遊んでもらったり、優しくしてもらった経験があるはずです。それが、あるかないかは、とても大きな違いだと思います。
もちろん、子供だから意地悪してしまうこともありますが、でも、もう記憶にないかもしれないけど、あなた様が、弟を好きだとか楽しいと思って接した事は純粋な子供時代ですからあると思います。また、もしかしたら、運良く担任の先生やお友達に恵まれたのかもしれません。
全く同じってことは無いと思います。
もしくは、貴方(お姉さん)みたいに親になじられるのが怖い!とおおらかに振る舞うしかなかった…と、弟さんもまた、悩んでらっしゃるかもしれません。
憶測ではありますが…
ありがとうございます
本も購読しました。
とても勉強になり、何度も読み返しています。
でも、今日のおとーちゃんからのメッセージは、いつもと全く違いました。
なんというか。。今までの記事は頭に入ってくるけど、今日は心に入ってきました。
泣けて泣けて、今も泣いています。
バカみたいと思うし恥ずかしいけれど、本当は、褒められたいし、認めて欲しいし、助けてほしいんです。
メッセージ、嬉しかった。
ありがとうございます。
確かに弟と自分とでは、母親の関わり方や許容される範囲、干渉の度合いに差があったのは確かです。
でも以前、自分の育てられ方や母親との関係に悩んでいること、過去の辛かったことを夫に話した際、皆そんなもんだ。そもそも弟くんは素直でいい子じゃないか。お母さんとの関係も普通だし、結局君の性格の問題じゃないのかと。悲劇のヒロインぶるな、とうんざりされました。
これに妙に納得してしまいました。
思えば母は、子どものころは親戚に預けられて育ち、結婚後は農家の嫁として必死に働き、祖父母や曾祖父母との関係で苦労していました。そんな中で、ストレスを多少子どもにぶつけることは仕方ないことなのに、そんな母親に対して批判的にしか考えられない自分は、やっぱり性格が悪いし、だから生きづらくて当然だよなぁと。
それ以来、自分の子どもたちが自分と同じような性格になったらどうしようととても不安で、今からでも、鏡である自分が性格を直さないとと思っていました。
でも、それは結局、子どもたちに対しても、ダメなところを直さないと、と思うことに繋がってしまうんですよね。
そうではなくて、子どもたちには、そのままを認めてあげたいし、それを伝えてあげたい。
そのためにまず、自分に対して、そのままを認めてあげようと思います。
今回の一連の記事を読んで、頑張るのをやめてみようと心から思うことができました。私にとっての大きな一歩です。氷を少し溶かしてくださった保育士おとーちゃんさんに感謝しています。ありがとうございました。
トラックバック
http://hoikushipapa.jp/tb.php/1063-7637679c
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
そのことがどんなに心の支えになるかわかりません。
今まで目をそらして生きてきました。
私は子供時代に愛されてこなかった。
そして今も、両親は自分自身だけを見つめて生きている。子供の私と向き合ってくれるのはたぶん、これからもないでしょう。
そういった所からの出発です。
他の人とおんなじに子育てができないのは、あたりまえでしたね。
私は怒っていい。母に、父に。
淋しく感じたっていい。子供の頃ほんとうに寂しかったんだから。
焦燥感を感じたっていい。母がずっと私を急き立てていて、つらい思いをしてきたんだから。
ここからどう歩いていくかが私の手に入れた自由です。
自由があることを教えたくれたのがおとーちゃんです。
おとーちゃんありがとう。
おとーちゃんのような素敵な保育士さんが日本中にいてくれたら、きっとみんなが幸せになれる。
子供はもちろん、私たちの中にいる小さな寂しい子供たちも。
これからも頑張って下さい。応援しています。