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2018-09

なぜ自主性・主体性の保育が実現できないの? - 2017.10.29 Sun

前の記事からのつながりで。
なぜ日本の保育施設で、「自主性・主体性」がなかなか理解、実践されないのか?ということについて。


その理由のもっとも大きな部分であるのは、そもそも保育以前に日本の子育て方法のなかに子供の「自主性・主体性」を踏まえた視点というものが存在していなかったことにあるといえるでしょう。
「自主性・主体性が少ない」のではなく、「自主性・主体性がほとんどない」と言えます。







「自主性・主体性」がない状態の子育てというのは、
例えばなにからなにまで子供を親の言う通りにするべく子供を常に威圧して、顔色をうかがわせたり、親の意に少しでもそむけば体罰を振るうといった状態ならば想像しやすいかもしれません。

しかし、そればかりが「自主性・主体性」を欠いた子育てというわけではないのです。

その中には、親が「よかれ」と思ってしているようなごく当たり前の子供への関わりすらあります。

実際のケースで考えてみましょう。


電車の中で3歳の子供を連れた親子がおりました。
子供が電車に備え付けの消火器をいじっています。

親はそれを止めようと

①「ダメ」
②「やめて」
③「やめなさい!」

④「お化けが出てきちゃうよ」
⑤「あ、そういえば○○がね~」と子供の気持ちをそらそうとする
⑥「お菓子あげる」


これらの関わりそれぞれを、親は優しい言い方、怖い言い方をとりまぜて何度も繰り返していました。
こういったことがごく一般的な日本の子育てとしてあります。

これをよく見ると、①②③は、子供を「上から支配」しようとする関わり方です。「ダメだし(制止の関わり)」、「怒る」を使っています。

それで通じないので、後半④⑤⑥は子供を「下からコントロール(管理)」しようとする関わりに代わりました。



これが一般的に子供への関わりとして行っていることを端的にあらわしています。「管理・支配の関わり」を強くやるか、優しくやるかのバリエーションしかありません。

子供の「自主性・主体性」を踏まえて、そこを伸ばすことで子供に行動を身につけさせていく視点が現実化されていないのです。

その一般的な子育てで行われていることが、本来専門家として保育所保育指針を踏まえて仕事をしなければならない保育士が、そのまま預かった子供にも行ってしまっています。むしろ、これらを徹底して、または、上手いテクニックを駆使して行うわけです。

そこでは、子供は「自主性・主体性」を育むことができません。単に年齢分だけ管理と支配に慣らされていくだけです。しかし、本来人間は管理や支配といったしめつけを嫌うものです。
その状況に順応できない子供が必ずでてきます。
すると、そこはさらなる押さえつけの力や疎外などを使うことで、子供にいうことを聞かせる繰り返しが「保育」になってしまうのです。




では、先ほどの例では、どういった対応が「自主性・主体性」を踏まえた関わりと言えるか考えてみます。

実はなにも難しいことではありません。

その伝えなければならない相手を、子供ではなく大人と仮定して考えてみて下さい。
どこか文化の違う外国の方で消化器を知らない人を案内している状況でも想定してみるといいでしょうか。

そのとき、いきなり頭ごなしに、「ダメ」や「やめろ!」など怒ったりしませんよね。また、「それをいじったらお化けがでるぞ」などとも言わないことでしょう。

「それは火事のときに使うもので、レバーを引くと消化液が大量に吹き出してそれで火を消すんですよ」
などと伝えるのではないでしょうか?

相手の反応や状況に応じてそこにさらにつけ加えるとしたら、
「もしあやまって液がでてしまったら止まらなくなって大変困ったことになるのでさわらないようにして下さい」とか

「緊急時以外触ってはならないことになっています」
といったことを話すことでしょう。



これらは、相手の「自主性・主体性」をその当の大人が踏まえているからこういった関わりが出てくるわけです。
日本の一般的にみられる子育てでは、この視点があまりに欠落しています。

初めから子供を「管理対象」「低いもの」と見なす子供観が強く、ごく当たり前の人対人の関わりができない病を抱えています。



先ほどのケースでも、子供に同じように伝えればよかったのです。

例えば、「それは火事のときに使うもので、消化液がでてしまったら大変困りますので触りません」のように。

子供は幼いとは言えど、なにが大事なことか、なにはしていいことかの判断ができます。(個性・発達によりその判断ができない子、判断できても行動に反映しにくい子といった例外はある。それは個別で考えるべきこと)


ただ、先ほどのケースでそれをそのまましたからといって、必ずしもその子にそれが伝わらない可能性もあります。
そこには理由があります。
この部分が理解されていないために、「自主性・主体性」がこれほど言われているにもかかわらず、多くの保育者が結局、管理・支配の保育に戻ってきてしまいます。

つづく。


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● COMMENT ●

こちらの説明を聞いてはいるけど通らない感じに困っています。
その場は収まるけど似たような事でまたやってしまうというか。
信頼関係が低くスルーされているのか、特性的なものなのか、子供はそういうものなのか…
指示出しの作用なのかも知れませんね。自分で考えて判断する機会を奪ってきたのかも…
優しく言うとスルー、強く言うと「怒られた」ショックで思考停止…といった感じです。
自分の中でしばらく考えて納得した後、こういうこと?といった感じで話してくれるのですが、
ズレていたり。そのズレが私の物なのか、子供の物なのか、話し合って一応の共通の理解があればそれで良いのか…
致命的な物は、あかんもんはあかん!ですが、ルールやマナー、社会的にどこまでが許容範囲かとか、その辺で子育て迷子です。


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