普通の抱っこと赤ちゃん抱っこ - 2018.01.23 Tue
まず、子供がそういった状態になってしまったのは、少しも悪いことではありません。
また、そのときに拒否的な対応をしてしまったとしても問題ありません。
なぜなら、それはいくらでも補いのつくことだからです。家庭での子育てはそういうことがあったとしても、それでどうにかなってしまうわけではありません。子供はつねに親の味方だからです。
このあたりについて後述します。
保育士としての立場の人であっても、過去に拒否的な対応をしてしまったということで自分を責める必要はありません。
そんな状況が起こることや、そのときの対応などを保育学校や職場の先輩などが教えてくれるといったことはまずないでしょう。
そのときの適切な対応がとれなくても普通なのです。
それが自然にできてしまうのは、もともとの性格がものすごくおおらかな人か、保育のセンスが抜群に優れている一部の人だけです。
よい先輩に恵まれたり、経験と学びによって時間を経て多少なりともそれができるようになる人もいます。
僕自身もそうです。最初からそれができていたわけでもなく、若い頃は真逆の下手な対応もたくさんしてきてしまいました。
いまだってもし仮に僕が現役の現場で働いていて、その職場の労働環境が劣悪で精神的に疲弊していたり、上司や同僚が意地悪だったり、子供の姿に対してのプレッシャーをかけてきたり、私生活でなにか悩みを抱えていたりするときにその状況にあたれば、前記事で述べたような対応がとれず、イライラして拒否的な対応をとってしまうかもしれません。
ですから、過去の対応を責めることなく次に活かしていきましょう。
さて、では家庭でのこういった子供の姿に関して。
子育てではいろんなことがあるものですから、このような姿は往々にしてあるものです。
自分を責める方に気にする必要はまったくありません。
ただ、世間には「子育ては愛情が大切」といった考えが一般的に流布されていますので、子供が精神的にマイナスの状態におかれているといった話を聞くと、多くの人が自分を責める方向に感情を動かされてしまいます。
ですので、あえて気にしないようにしておきましょう。
なにか足りないことがあったら補えばいいのです。
また、もしかするとすでにそれは他の誰か(身近な大人の関わり、友達同士の関わり、子供自身の個性、楽しい経験など)によって補われてしまっていることにすぎないかもしれません。
僕はよく座談会などでは、失敗を申し訳なく感じて穴埋めするような関わりをしなくていいから、その分どこかにプラスの関わりをすればそれでいいんですよとお伝えしています。
もし、子供が自分のことをペロッとなめてきたときに、つい拒否的な対応をとってしまったとしても、それはそれでいいからどこかで補えばいいわけですね。
くすぐり遊びだって、追いかけっこだってそれはできます。
「ああ、そうなんだ~」と話をあるがままに受け止めてあげることでもいいです。
子供が作った工作や、描いた絵を「それすてきね」と認めることでも達成されます。
それこそ、中学生、高校生になってすら、なんらかの方法でそれを補うことは可能です。
とりあえず、現時点でそういった、非常に密接な情緒的・身体的関わりを求めている乳幼児への対応でできるちょっとしたコツを書いておきます。
それがタイトルにした「普通の抱っこと赤ちゃん抱っこ」です。
抱っこができる子でしたら、抱っこするときにただするのからもう一歩進めて、大人の身体と子供の胸からお腹までを密着するような抱き方で、ぴったりと抱き留めてあげて大人もほんわかした気持ちでしばらくそのまま続けてあげます。これを僕は勝手に「赤ちゃん抱っこ」と呼んでいます。
この身体をなめてくるような傾向を持った子が、なにかごねるようなさしたることでもない理由でごねるようなとき、その子の根っこにあるのは、この情緒的つながりを求めてのことが多いです。
そんなごねてきたようなときに、「うんうん、わかったから大丈夫だよ。こっちにいらっしゃい~」と膝に抱え上げるなどして、上記の「赤ちゃん抱っこ」をしてあげます。
しばらくして、「はい、落ち着いた?じゃあ、○○の続きしようか」と何事もなかったかのように元の遊びや、生活の行為に戻していきます。
こういったことを繰り返していくうちに、情緒の安定が図られ、それまで足りていなかった部分をあとからでも取り戻していくことができます。
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● COMMENT ●
『足りなければ補えばいい』『プラスの関わりをすればいい』心に止めておきたいです。イライラしたら最終的に自分が嫌になるんですよね。小さなことで怒ったり、息子に当たってしまう自分。
ふれあいあそびをたくさんしていきたいと思います。膝の上で絵本も最近よくしますがやっぱりいいんですね。身体が大きくなりつつあるし、絵本が読みにくいですが笑続けて行きます。
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保育士さんってそんな場面を何度も経験していろんなテクニックを体得していくんですね。
話は変わりますが、息子が私や主人をふざけて叩いたり頭突きしたりして悩んでいたことがありました。自分の育てかた悪かったのかとか、テレビの見せすぎかなとかいろいろ原因を考えたり、叱ってみたり、無視してみたり、説教したり。
そのことをを実家で愚痴ってみたら父が、「あ~それはあれだよ、猫とか犬の子がじゃれて狩りの練習するのと一緒!本能だな。」と雑というかおおらかな意見をのべて、悩んでいた私は衝撃でした。
でもものすごく気が楽になりました。おとーちゃんの言う「おおらかさ」ってこういうことなのかなぁと思いました。(違っていたらすいません。)
それから息子が叩くと「こら~おかーさんをたたく子は誰だ~!食べてやるぅ~!」と捕まえてこちょこちょしたりじゃれあって遊んでいると、最近は叩いたりするのが減ってきました。
それと同時に、何も考えずにじゃれあって笑いあうという原始的な触れ合いを息子はすごく求めていたんだと気づかされました。つい成果を求めて、絵本とか、おもちゃで遊ばせようとしていたなと。
もともと抱っこ大好きな息子でしたが、重くなってきたし周りの目を気にして無理に歩かせたりしていたなぁと反省です。今日は赤ちゃん抱っこで遊んでみようと思います。