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2023-06

子育てと怒り vol.2 ~怒りの再生産~ - 2018.01.31 Wed

前回、怒りはプールされているというお話をしました。

子供を育てる、関わる中で出てくる怒りのプールは、昨日今日のことだけではありません。

実は、自分の幼少期、親からされた子育て中でそれが蓄積されています。





一般的に、子育てしている人が「これが子育てというものだろう・・・・・・」となにげなくしていることの中にそれはあるのです。


この前、子供と一緒に映画館に行ってきました。

そこで待っているとき、5~6歳くらいの子供を連れたお父さんが、その子へ「静かにしていないと帰っちゃうよ。映画が見れなくなったらお前のせいだからな」と言っていました。

その同じ日、食事をしようと入った飲食店で、また別の親子が「ちゃんと座ってないと帰るぞ、ご飯食べられないからな」と子供に言っています。


親としては子供の姿を自分の望むようにしようと頑張っているのでしょうけれども、こういった関わりがあまりに一般的なものとなっています。

しかし、これ、こうやってピックアップして考えてみると違和感がわかりやすいと思います。
実のところ、このような関わりは「意地悪」になっているのです。
親から子への意地悪です。



この関わりをたくさんされている子は、友達同士の関わりの中でそれを繰り返すようになる子もいます。

「○○ちゃん、私の言うこと聞かないと、おやつ一緒に食べてあげないよ!」

子供が子供に対して、このように言っているのを大人が見れば、そういう関わりはするもんじゃないと注意したくなることでしょう。

この背景にあるのは、「支配」です。


その子は親に普段から支配されているので、そこに負荷をかけられており、そのバランスをとるために自分よりも弱い立場の子を支配することでバランスをとろうとしてしまいます。



また、大人はついついこんないい方を子供にしたりします。

子供がなにか失敗をしたときなど、

「それ、見たことか」「自業自得だ」

これは、子供の失敗にさらに追い打ちをかける行為です。
失敗して意気消沈しているところをさらに詰るのです。
これも意地悪な行為です。


こういった例は、ほんのごく一部ですし、程度の問題でもあり、それをたんにあっけらかんとするのと、強い否定を込めてするのではまた違ってもくるでしょう。


もっとひどい行為になると、子供の自尊心を踏みにじる関わりになります。

子供を無視する行為もそうです。

なにか子供が親の設定するルールに反したからといって罰を与えたりする行為などもそれに該当します。
例えば、嘘をついたからという理由で、ベランダの外に出し泣き叫んで反省するまで放置するといった関わりです。
このような関わりは、子供のなにものをも成長させません。ただ大人からの支配を強化しているだけです。


他にも、好きで選んだものをけなしたりする行為も、その子の自尊心を傷つけます。

例:子供が作った工作をけなす「なにそれゴミみたい。捨ててきて」
 :子供が選んだ服を「かわいくない」とけなす
 :子供の友達やその親の悪口を子供の前で口に出す など



しかし、こういった関わりをされたとき、子供は親に対抗できません。

それを我慢し、不満や怒りとして心の中に蓄積させていきます。

そういった負の蓄積を大人になる過程で消化できてしまう人もいる一方で、ずっとそれをくすぶらせたまま生きていく人もおります。また、あるときまで封印している人も多いです。

その封印は、多くの場合、我が子の子育てに直面したときに解かれます。
結果、自分がかつて自身の親から与えられた怒りのプールは、我が子へと向けられます。

これが「怒りの再生産」の構造です。


前回、親の心情としてよくあるケースで表したものの背景にはこれがあったのです。

さて、では問題はこれの乗り越え方です。

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● COMMENT ●

考えさせられます

以前、主人の義母から怒り方が優しすぎると指摘されたことがきっかけで、きつく叱るようになってしまい、それが癖となり引くに引けない状況になってしまっています。私自身が子育てに関して自身が持てず、義母の強い意見に屈してしまったという点が大きく、大変後悔しております。
現在、4歳になる娘がおりますが彼女の私に対する怒りの出し方が卑屈になっているなぁと最近感じます。他の点で言えばお友達や新しい環境に対して前向きだし優しい対応のできる子で、四月からの幼稚園生活は安心して送り出せそうなのですが、私の気持ちがまだ不安定な部分があり、次回の怒りに対する対応のブログを心待ちにしています。
娘の事が大好きだという気持ちが真っ直ぐに伝わるようにしたいです。

子供への「意地悪」

>子供がなにか失敗をしたときなど、
>「それ、見たことか」「自業自得だ」

これ、やってしまっている、と思いました。
子供が言うことを聞かないフラストレーションから、「だから言ったのに!言うこときかないからこうなったんだ!」とつい言いたくなってしまいます。
それと、「自業自得」を理解してほしい気持ちもあります。自分でしたことの結果は、自分で引き受ける、と。でも、考えてみれば、親がわざわざ指摘しなくても、失敗に直面しているその状況だけで、充分なはずです。

だから、「意地悪」ですね!ハッとしました。
失敗して悲しい気持ちになっている人(友達や知人など)に追い討ちをかけるようなことは、普通しないのに、子供にしてしまう、というのは、不思議なことです。

それに、そんな目にあった子供が、他の子に対してや、大きくなったときに自分の子供に同じことをするのは考えてみれば当然だと思いますが、不思議なことに、そのことも意識にありませんでした。

育児の真っ最中というのは、自分自身の姿や、自分がしていることの意味を客観的に見ることができない、ある種、特殊な精神状態に置かれるのでしょうか。

大好きな子供に、まっすぐ育ってほしい、安心できる家庭でありたい、と強く願いながら、なぜ「意地悪」なことをしてしまうのか・・・
どうして、思わず「意地悪」をしてしまうほどに、ささいな子供の行動に自分の気持ちが追い詰められてしまうのか。
私自身が抱える「怒りのプール」に気づかなければならないと思いました。

とても興味深い記事を、ありがとうございます。
続きを楽しみにしています。

負の連鎖

本当におっしゃる通り…いつも気づきをありがとうございます。

私も子どもに注意するとき、つい意地悪な言い方をしてしまいます。本当はこんな言い方相手を傷つけるだけとわかっているのに止められません。「怒りのプール」から出てきてるんですね。

現在小1の娘も普段はとても優しい性格ですが、弟が言うことを聞かないと私がやってしまっているような意地悪な言い方をして攻撃します。負の連鎖ですね…
早く乗り越えて負の連鎖を断ちきりたい。
続編お待ちしています。

はじめまして!
私も3歳の息子がいて、よく「●●しないと●●なっちゃうよ」といった言い方をしてしまいます。
「親から子への意地悪」「支配」
のフレーズにハッとしました。
言い回しや接し方を今一度見直してみたいと思います。
でもその反面、はたして、意地悪と支配、で丸く収めてよいものか??
とちょっと疑問でもあります。

確かになんでもかんでもそういう言い方はよくありません。
しかし、子供を危険から守るため、あるいは周囲に迷惑をかけないためなど、その場その場での行動背景があるのではないでしょうか??

大事なのは、そのあとちょっとタイミングがずれたとしても、大人と子供が同じ目線になって、大人はなぜ注意したのか?子供はなぜ注意されたのか?お互いに納得した答えを見つけ出せるようなかかわりをもつことではないでしょうか?

少なくともうちはそうしています。
まだ言葉もおぼつかない3歳の息子ですが、それでも、息子には息子の言い分があるのです。たとえ間違ったことを言っていたとしても、一度は息子の話に耳を傾けるようにしています。


子供が「一方的に言われた・・・・」と感じてしまっては注意の意味がないと思いますし、逆に言い方が遠回り過ぎても伝わらなかったり、いやらしいと感じる子もいるのでは?なので、その子その家に合った方法で「怒りのプール」の予防や解決策につながるのではないでしょうか?

みんながみんな「意地悪」や「支配」だけを目的に、子供に対してそういう言い方をしているわけではないですよ。


子供も親も十人十色なので、「自分がダメだと思うやり方をしている人がすべてダメ」というわけではないんじゃないかなあ?と思います。

専門家でもないのにエラそうなことを言ってすみません。

う~ん、どうなんですかね。


僕は、映画館や飲食店の例と同じようなことは、言ってましたね。そのときは悪いと思って言ってなかったです。今、振り返ってみても、悪いとは思っていません。

僕としては、何も言わないけど、イライラしてたり、不機嫌な態度をとられるのが嫌でしたね。そのせいか、前もって説明してましたね。

まぁ、その前に誰の都合かと言うのが大事ですね。親の都合に子どもが合わせるんであれば、こいうことは言ってはいけないです。なぜなら、子どもにとっては面白くないから、じっとできないし騒いだりするのは当たり前です。

子どもの都合に親が合わせるんであれば、言ってもいいんじゃないですかね。もちろん、単なる脅しにならないように、親の覚悟は必要ですけどね。

例えば、「勉強しなかったら、ゲームを捨てるよ」と言ってるのに、実際には、勿体ないから捨てる気はない。子どもが勉強しなくて、捨てなかったら、親の言動に対して信頼性が失われちゃいますね。

えるみんさん、個々の対応やその場の状況によって違うこと、その言い方がどんなときにでも絶対にダメというわけではないということはおとーちゃんさんは百も千も万もご存じですよ(^^)
あくまで一般論として、参考程度にしてください、と過去に何度も書かれていますからね。
えるみんさんはえるみんさんのやり方で、お子さんにきちんと伝わる言い方をされているのであればそれでいいんじゃないでしょうか。

ここでおとーちゃんさんが言われているのはおそらくですけど、この言い方が子育てにおいて当たり前になっていることへの問題提起ではないでしょうか?
映画館にせよ飲食店にせよ、「静かにして待っていようね」とだけ言えばいいはずなのに、「騒いだら出ていくからね」という言い方になってしまうことです。最初からこの関わり方になってしまうことです。何なら騒いでいない段階でこの台詞を言ってしまうことです。
そう言っても騒いでしまったり収まらなかったりして、周りに迷惑がかかるようなら、怒るなり一旦外に出て落ち着かせるなりの対応があると思います。
最初から、当たり前に脅しの言葉を使うこと(文法的には強盗が使うような台詞と同じです)が育児の方法になってしまっている…ことの問題のただの具体例ではないですか。

歯みがきしないと虫歯になっちゃうよーは意地悪や支配の意味はほとんどないと思います。
でも勉強しないとゲーム捨てるよーは、「勉強すること」と「ゲームを捨てること」に本来何ら関係のない事象を親の都合でつなげているだけなので、実行するしないに関わらず意地悪、支配につながると私は思います。
「金持ってこないと殴るぞ」と同じです。

とはいえ私も怒りが収まらずつい子供を無視してしまうこと、意地悪な言い方をしてしまうこと、結構あります…
いけないとわかっているんですけどね(^^;
怒りのプールのつづき、楽しみにしてます。

気付き

自分がする意地悪や支配に気付くことの大切さ。
はっとしました。
本当に、金持って来ないと殴るぞ、と同じですね。

因果関係があることであっても、つい意地悪な言い方をしてしまうこともあります。
気をつけたいです。


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楽しく無理のない子育てを広めたいと2009年ブログ開設。多くの方の応援があって著作の出版や講演活動をするようになりました。 現在は、子育て講演や保育士セミナーの他、『たまひよ』や『AERA with Baby 』等の子育て雑誌の監修やコラム執筆。『ジョブデポ保育士』の監修や育児相談などをいたしております。

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