保護者の信頼と安心 - 2018.04.02 Mon
昨年度は少々変則的な配置で、育休代替の要員として約半年しかその園には在籍しておりませんでした。
「泣き崩れる」という言葉がありますが、異動の発表があった日と最終日には文字通り何人かの保護者の方が泣き崩れました。涙するだけでなく、へたり込んでしまうという姿です。
単に悲しいとかそういうことでなく、子育てをしていく上での支え、安心感になっていたのでしょう。実は同様のことは、上半期にいた別の園でも異動に際してありました。
妻はそれだけの仕事をしたと思います。
クレームとして意見を伝えてきた保護者に対しても、そのクレームを受け、しかしそのクレームの収束に終始してしまうのではなく、その背景にある子育てに対する親の不安やもろもろに寄り添い、その上で具体的な子育ての方向を示し、さらには子育てだけでなく仕事や家庭の大変さを理解、共感するなど。
しかし、そういった踏み込んだ対応をした人だけでなく、多くの保護者が妻がそのクラスに入ってから子供の姿が明らかに変わったことを認識していました。
それまで、保育の中で「言うことを聞かされること」を多く求められ、その負荷を家庭で大変な姿として出したり、保育園に行きたがらないという様子に日々接していた保護者が、あるときから帰宅後も機嫌良く過ごしていたり、朝も楽しみにしながら通う様子を見て、それが妻の保育ゆえにもたらされていることを理解してくれていました。
こういった保育の専門性は、端からはわかりにくいこともありますが、中途からクラス担任に入ったことから、より際だって見えたのでしょう。
また、保護者会や日々の送り迎え、ケガやトラブルなど保育の中で何かあったときに際して、普段から保育・子育てのあり方をわかりやすく伝えてきていました。
こういった積み重ねが、安心と信頼となって保護者の心の支えとなっていたのでしょう。
本来はこれはどの保育士もしなければならないことです。
少なくとも、その保育に関する部分だけは最低限できなければならないことです。
しかし、それすらもできていないのがこれまでの保育の現状です。
これまでになく保育の専門性と、家庭への支援が必要な現代において、ここを向上させるのは喫緊の課題です。
関連:「いい保育」と「上手い保育」 1~8
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● COMMENT ●
素敵ですね
プロフェッショナル
奥様の持つ理論とノウハウが、一人でも多くの保育士に伝わり、当たり前のように現場で実践される日が、いつか来るといいなと思います。奥様にひとりでも多くの後進を育てていただきたです。
2、3年前、私の娘が通う保育園で、保育士さんが子供の頭を叩いているところを目撃しました。情けない気持ちになるのと同時に、保育士の資格をとるときに、どういったことを学んできたのだろうと、考えさせられました。その保育士さんは、もう園にはいませんが、若くて優しい先生でした。普段から叩いているわけではないと思います。非常口から子どもが外に出てしまい、慌てていたのかもしれません。非常口から出た子どもは発達障害がありました。
使命感に燃える特別な保育士だけが、保育の専門性を努力して身に付けていくというのではなく、流れる川のように自然に先輩保育士から後輩保育士に専門性が受け継がれていくようになるといいですね。
素敵な保育士さん
子どもが大きくなり認可保育園に移ってからは,規模が大きいこともあってか戸惑うことの連続でした.色々あるのですが,悪いことをすると鬼やお化けのお部屋に連れていくと子どもを脅すことがあり,「それは子どものためを思ってやっていることなのか?」ととても疑問に思い,先生に伝えたことがありました.でも,ここの先生たちはクレームをクレーム化させないという技術に長けているようで(笑)いつのまにかうやむやになってしまい,正面から受け止めてもらえないままです.それでも子どもは楽しく通っているし,とても良い取り組みもたくさんあるので,プラスマイナスゼロかなと思っていますが,どうしてもF先生と比べてしまうと専門性に欠けるのは否めません.そのF先生はとても勉強熱心な方で,子育て関係の講演会でもお見かけしたことがあります.そういう先生が増えてほしいと切に願っています.
素晴らしいですね
我が子は4月から3園目、やっと認可園へ入ることができました。
綺麗な建物や新しい設備、今までの無認可園とは規模も違うのでワクワクしていました。
入園式では在園児が椅子に座ってずっと話を聞いていたので流石だな感心しました。
しかし、1人の子が少し足をぶらぶらさせただけで保育士が軽くその足を叩いているのを見て不安がよぎりました。
立ち歩いているわけでもないのに叩くのはやり過ぎですし、まず「どうしたの?」と聞くべきではないかと思いました。
私自身も保育園でお尻を叩かれたりした記憶はあり、どんな場合でも叩く必要はないこと、決まりを守らせることばかりに固執して子どもをしっかりと「みる」ことができないのは、大人にも子どもにも悪影響であることを心に留めながら子どもに関わろうと思います。
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私の娘は幼稚園に通わせていますが、担任の先生は否定的な言葉を使うことが多く、正直苦手だし、なかなか信頼関係を築くことが出来ないままクラス替えを迎えました。
何か相談したいことがあっても、「きっと先生には否定される、責められる」と頭に浮かんでしまい、通っている育児サークルに相談しています。
大人の私でさえこうなら、子供達は余計怖いんだろうと思います。
娘を幼稚園までお迎えに行った際、同じクラスの子が転んでいても先生は「大丈夫?」と声をかけることはなく、転んだ子は私に寄って「転んで痛かったから、痛いの痛いの飛んでけ〜ってして」と言いました。
近くにいた先生ではなく、私にそう要求してきたということに、その子と先生との間の信頼度の低さを垣間見た気がしました。
先生が多忙で余裕もないのは分かりますし、年少のクラスを受け持つことは、先生にとって負担だったのかもしれません。
そして、先生自身が否定的な言葉を使う環境で育った、それに慣れているんだろうと考えています。
ただ、そんな先生の教育も頭から否定や拒絶をしてしまうのも違う気がするので、先生に注意されてへこんでしまった娘には「先生は心配だから言ってくるんだよ、ちょっとお母さんと言い方が違うだけ」と伝えています。
先生ももう少し普段のストレスを吐く場があったり、やりたいことが実現できる、負担が軽くなる労働環境だったら、子供との接し方も変わるのかな、と感じました。
これはどの人間にも当てはまることですね。