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2018-09

過剰な承認欲求はどこから生まれる? ー保育と承認欲求ー - 2018.04.28 Sat

いろんなケースを見てきて僕が感じるのは、その人が自身の生育歴において、大人からの支配を慢性的に受けていたり、大人から他者と比べられる関わりをされ続けていたり、大人の期待に応えるように過剰に頑張りを要求されてきた人に、過剰な承認欲求の持ち主が顕著であるということです。


期待に応えさせられる関わりは、自分への自信のなさなどの萎縮傾向が作られそこから自分の評価を気にするがゆえの承認欲求の出し方も多くなるのに対して、

支配を受けてきたケースは、誰か他者を支配することで自己の承認欲求を満たすという、いわゆる「マウンティング」の形を取った承認欲求の出し方になる傾向があります。

この傾向が強くなると、単に他者を支配したときに快を感じるだけでなく、他者が自分の望む行動を取っていない状態に対して激しい不快を覚えます。


子育てしている人や、保育士、教員といった人がこの状態にあると、子供の自然な姿ではひんぱんにイライラや怒りを感じます。
そして、自身の満足のために子供を支配するようになります。


自身のそういった心のあり方に気づくことができれば、それを克服することは簡単ではないにしても、コントロールしつつつきあっていくことは不可能ではないでしょう。

しかし、その傾向を持っていること自体に気づいていない人が、それをどうにかすることは大変難しいことと思います。






ある保育士のケースですが、その人は口より先に手が出るという支配型の両親の元で育ち、保育士になりました。

保育の中で子供に手をあげるということはないですが、ほぼ常にイライラしており、終始子供に小言ばかりを浴びせています。
子供の少しでも規範から外れた行動に対して、口を出さずにはいられなくなっています。
そのような状態ですので、子供からの信頼は厚くなりません。しかし、その人自身は自分が良い保育士として認められたいという気持ちを強く持っているので、子供たちが懐いてくれないという状況に対して不満を抱えています。

しかし、承認欲求の強さゆえに「自身に反省点がある」という思考プロセスには至らず、さまざまな自己正当化になってしまいます。


自身が認められたいという欲求が強いので、どうしても視点が自分中心のものとなりやすく、保護者対応でもトラブルが多いです。
(この保育士の場合は保護者対応でのトラブルが多いですが、承認欲求の強さからいわゆる「外面」がよくなり保護者対応だけは上手いというケースのタイプも多くおります)

直接トラブルになっていない保護者からしても、その保育士が早番のときだけ子供が入室を渋ったりすることが重なれば、その保育士に不信感を持ちます。
また、言葉の話せる年齢の子は家庭で「○○先生いやだ」「○○先生こわい」といったことを口にしています。


同僚や上司からの親身なアドバイスにも、自己防衛からのいいわけや「自分は頑張っているのになぜ文句を言われるのだ」といった感情的な反発として出てしまうので、だんだんと導いていくれる人も離れていってしまいます。




この人は大変気の毒な人です。
無意識にかもしれませんが、その人は保育の世界の中でなにか自分が求めているものが見つかるのかもしれないと思って飛び込んだでしょうけれど、自分の抱えているまさにその問題がそれを乗り越えることを難しくしてしまっています。
自己実現するための仕事が、少しもそれに近づいていないのです。

これはアメリカなんかだったら、業務命令でカウンセリングに行かせるようなケースではないかと思います。
その人自身が抱えている問題に取り組まなければ、その人が仕事で必要なポテンシャルを発揮できないのですから。
日本の保育園ではそういった対応をしているところはまれですので、この状態は継続してしまいます。


その人にとって気の毒ですが、しかし、そこで預かっている子供や保護者の立場からしたらとてものこと気の毒などとは思えません。それはもちろんそうです。お金をもらってプロとして仕事をしている以上、それはいいわけにはなりません。




しかし、現実に起こるのはもっと残念なことです。
このような傾向を抱えている人は、子供と直接関わる担任保育士の仕事をしても子供が信頼を寄せてくれないことからあまりその仕事が楽しくありません。
するとどうなるか。
この仕事あわないと思って別の職種に転職して、自身の適正にあうところを見つけられればいいのかもしれませんが、人によってはその保育施設の中で出世することを選びます。
管理職になると、部下に対しての権限を持てるのでそこで他者支配が行え、そこからの承認欲求を得られるからです。
これがこうじてしまえば、ハラスメントが簡単に起こります。


または、上司にならずとも、同じような他者支配の傾向をもった保育士同士で互いの承認欲求を満たしあい、その仲間を広げていく環境を作る人もいます。
こうなると、支配傾向の強い保育施設の体質ができあがります。

そこでは、「子供になめられるな保育」が蔓延し、子供に受容的な保育者は嫌がらせを受けたり、それがなかったとしてもその職場の体質や人間関係に絶望して、健全に長期にわたって勤めることはできなくなります。
しょっちゅう保育士が辞めていく保育施設はこうしてできあがります。
このような状態になってしまっている保育士や保育施設は全国に少なくないと思います。

もちろん、これは保育施設に限らずこの傾向を抱えた人はいろんなところにいて、そこにある種のひずみをもらたしていることでしょう。


また、子供のいじめ問題の背景にも、親の持つこの承認欲求の問題があることも多いです。
コメントでもいただいたように、ママ友間の嫌がらせなどもこのあたりの部分が隠れていることでしょう。
そこには、その親自身も「持たされた」部分があって、つまり連鎖していて、この問題の根深さを感じます。


この問題の一番根っこにあるのが、子供の支配を当たり前とする「しつけ」の子育て観です。
だから僕は、支配せずとも子供は育つということを広めたいと考えています。

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● COMMENT ●

先生

お父ちゃんさん、こんにちは
支配、とはまた違うのかな?
疎外感を与える保育で統一していこうとする先生いますよね。あれ、何なんでしょうね。
もうなんか、保育士としての力量のなさを自分からさらしてるようなものですよね。恥ずかしくないのかな。
先生にもその日その日の体調やら、色々あるかとは思うけど。せめて、フォローがほしいですよね。ご自分のしている事に気付いてほしい、と言うか。
子どもたちが、真っ直ぐな目で見ている事に気付いてほしいですよ…。







今回の記事を拝見して思ったのですが
保育士の妊娠の順番を決めている保育園もその一種でしょうか?
または人材不足など別の問題でしょうか?

おとうちゃんさん、支配せずとも子どもは育つ、本当に大事ですね。
子どもを育てていきながら、少しづつですが実感するようになっています。
「生まれてきてよかった」「自分は存在していい」
従来の日本の子育てでは、育みにくい感覚。

いじめに関して言えば、異質なものを排除するという本能的な部分も働くので、難しい側面もあるのかもしれません。
でも、自らが尊重された経験によって、後天的に相手を尊重することは学んでいける。

またとりとめもない書き方になってすみません。
いつも拝見させていただき、学ばせていただいています。
子どもが、「生まれてきてよかった」と長い時間の後思ってくれることを強く願いつつ。

ありがとうございます。

久しぶりにコメントいたします。
最近の記事では、子育てに行き詰まることの原因に親などの成育歴が関係しているというようなものを多く拝見します。わたしなりの解釈で違っていたら申し訳ないのですが、「成育歴が関係しているだけであなたは(親)は悪くないんだよ」というメッセージを発信されているようで、最近の記事を読んで、目から鱗でハッとした方や、「分かってもらえた、助けられた」と感じている方も多いのではないかと思います。
成育歴の負の連鎖を断ち切るために、心療内科などのカウンセリングのほかに方法はあるのだろうか、と疑問に思いました。いつか記事にしていただけること、楽しみにしています。

お久しぶりです。

承認欲求、私は普通の人より強いような気がします。
親の期待に応えなければ、と思っていた自覚はありませんが、学校の成績はずっと良かったですし、「自分への自信のなさなどの萎縮傾向が作られそこから自分の評価を気にする」という点にピッタリ当てはまります。

大人になってから、親から離れたことや夫や知人など、私を導いてくれる人と出会えたおかげで以前よりは自分を冷静に見ることができるようになり、承認欲求も少なくなったと思います。

でも、子どもと接するときに、気になることもあります。
>他者が自分の望む行動を取っていない状態に対して激しい不快を覚えます。
自分が、子どもに対して、これに当てはまっているような気がして・・・。

具体的には、子どもの寝る時間です。
長男は一時期睡眠障害で、数年間にわたって長男の睡眠不足について悩み、思いつく限りの試行錯誤をしてきました。
最終的には睡眠外来を受診して解決し、今では睡眠に全く問題はありません。
でも、その頃のことが未だに私の心の中で尾を引いていて、寝る時間が遅くなりそうになると、ものすごくイライラします。
長男が疲れていて睡眠が必要なときは特に。

たとえば、
「かなり疲れていそうだな。この様子だと、いつもより1時間早く布団に入れた方がよさそう」

そう考えて、いつもより1時間早く布団に入れるために大忙し。
でも、子どもは疲れているからいつもよりぐずり気味。
早く寝かせたいのになかなか寝る準備が終わらず、寝かせたい時間は刻々と近づいてくる・・・。

そうなると、自分に気持ちの余裕がないときはすごくイライラします。
でも、そのイライラが「長男のために早く寝かせたいのに寝かせられない」というイライラなのか、「自分の思うとおりに物事が運ばない」というイライラなのか、わかりません。両方なのかもしれません。

「自分の思うとおりに物事が運ばない」というイライラなのであれば、長男に対してひどい八つ当たりだと思います。
「子どものため」と言いながら、本当は自分勝手なイライラをぶつけているだけなのかもしれない、といつも思います。

まあ、イライラしないのが一番いいのですが・・・。
最近は、長男も新1年生になって毎日が楽しく、モチベーションも高い状態が続いているし、私も卒園・入学のドタバタが一段落して気持ちに余裕が出てきてイライラすることは滅多にないので、ホッとしているところです。

理屈で考える方なので、真面目に考えすぎなのかもしれません。


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楽しく無理のない子育てを広めたいと2009年ブログ開設。多くの方の応援があって著作の出版や講演活動をするようになりました。 現在は、子育て講演や保育士セミナーの他、『たまひよ』や『AERA with Baby 』等の子育て雑誌の監修やコラム執筆。『ジョブデポ保育士』の監修や育児相談などをいたしております。

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