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2018-12

「過干渉」という病 - 2018.06.04 Mon

『「ごめんね」が言えないケースについての対応 』
の記事には、さらにたくさんのコメントをいただいております。


そこで述べたのは、大人が正解を子供になぞらせるような干渉をせずに、子供を成長させていく実践的なアプローチでした。

そこから読者の方が見えてきたのが、ご自身や、周囲の子育て中の人や、保育・教育施設における、大人の強い干渉による正解を子供になぞらせている、力わざの子育て、保育・教育の実態でした。


保育園で幼稚園で学校で、そして家庭で。
このことが、現代の子育てにおけるもっとも大きな問題点といっても過言ではないでしょう。




もちろん僕は、そういった関わりになってしまう人を責めているわけではありません。
そうならざるをえない状況があることも、そういった関わりをせずにはいられない理由を持たされていることも、それがなぜ形成されてきてしまったのかも理解しています。


本来ならば、子育ての専門家である保育士や、教育の専門家である教員たちは、このことを踏まえた上で子供にアプローチできるための専門性を獲得していかなければならないのですが、それをむしろ一般の人よりも効率よく上手にやることを専門性と誤解されている大きな現実があると感じています。

それがために、コメントでいただいたような、個性のある子に加配でついた人が、ダメ出しや疎外などを使ってしまうといったことが多くあるというところがあります。


このような保育や教育をしている人の、本当のプロフェッショナルとそうでない人の間には、この点の理解という大きな壁が立ちはだかっています。


多くの人は、子供の「できないところ」を見つけたら、それを塗りつぶして正しい行動を上書きすることが仕事なのだと無意識に考えてしまっています。


しかし、その状態は、「待つ」専門性、「信じる」専門性、「失敗させられる(経験を保障する)」専門性が欠けている状態です。
これらはとても難しいことです。

だから、待てない、信じられない、失敗させられない。それゆえに過干渉になる。

そうして、この「過干渉」という病から抜け出すことができません。



過干渉は、心理的にももっともラクなのです。
良くないところを見つけたら、人はモヤモヤを感じます。
そのモヤモヤを、「ダメ出し」や注意や叱ったり、怒ったりで、外に出せると心理的にラクになります。

さらには、この自身がラクをすることを、「教育的要素なのだ」「その子のためなのだ」という理屈で覆ってしまうので、その問題点を認識しなくなっていきます。


このとき優しく言おうが、厳しく言おうが、過干渉であることは変わりません。
「威圧的な過干渉はよろしくない」ということは理解していても、それを優しさバージョンにして「優しい過干渉」になることで落着点にしている人も多いです。
一般の子育てしている人だと、この「優しい過干渉」がさらにバージョンアップされて「いいなり」になってしまう人も多いです。
優しく過干渉したとしても、本質的にこれは強い過干渉と同じライン上にあることです。



本当のプロフェッショナルは、ダメ出しをせずに、その子に足りなていないものを見いだして、そこを補い、必要なものを持たせ、その結果がじわじわと実際の行動面に波及してくるのを、信じて待たなければなりません。

子供により、ものごとにより、その結果がでるのは何日先かもしれないし、何年も先かもしれません。
でもそれを信じて待つには、子供への適切な理解や経験の裏打ちが必要です。


しかし、このような専門性の獲得は、その人がキャリアのスタート地点から、子供の上手な動かし方や、子供の短期的な行動面だけを思い通りにする方向で経験を積み出していってしまうと、それを変えること、子供を信じて待つことがかえって難しくなります。
(なのでベテランの方が不適切な関わりが多くなるケースも・・・・・・)

実際にそういった関わりが多いのは、複数のコメントで報告された通りです。



保育士も、幼稚園教諭も、学校教員も、「自主性」「主体性」、「子供の個性」、「子供の尊重」、「子供の人権」などなど、上記のことを担保するものをたくさん学んでいるはずです。
しかも、何十年も前から。

しかし、実際には浸透しません。
なぜなら、これを実践に反映するのには、自身の外部にアタッチする知識としてでは足りないからです。
自分の心理面を理解し、そこを乗り越える必要があります。
人は他者のことは見えても、自分のことはなかなか見えません。
なので、これの実践は大変難しくなってしまうのです。



例えば、これだけ時代が進んでも、毎年のように教員の給食指導における不適切な対応がニュースになるのを目にします。

「食べ物を残してはならない」
「好き嫌いをしてはならない」

こういったことを、強く教え込まれてきた人は、子供がそれに反する状態に大きなイライラを感じます。
この感情をコントロールして、適切な関わりを子供にすることは、大変精神的なエネルギーがいることで、ストレスを感じます。

プロであるならば、ここに飲み込まれてはならないのですが、それをコントロールできない、それをする必要性を理解していない人がたくさんおります。

結果、行き過ぎた不適切な対応となってしまいます。
事件にまではならずとも、この方向性で、子供の心を傷つけたり、自尊心を損なったり、達成感や、自己肯定感を育めない食事指導はいまだに山のように見られます。



僕は研修をするにあたって、

◆理念的な学び

◆実践的な学び

◆理念と実践を結びつける学び

◆保育者・教育者の心理面の学び


この4つに留意して、それを噛み砕いてお伝えするようにしています。
多くの学びの場において上の二つばかりが中心となるので、いくら学んでも変わらないという状態になっている現実を見てきたからです。

(今週から始まる僕の連続講座には、あとおひとりだけ入れるそうです。よろしければどうぞ↓)
https://peatix.com/event/371908/view?k=91242f7594d8097e901aaf5fa0ba27dc7a23d365


さて、コメントの中では親としての関わりの難しさについても多く触れられていました。
そこにはまた、仕事でこれを行う人とは別の部分もでてきます。
今度時間のあるときに、そこにも触れてみたいと思います。


今月は、講演・研修が多数でちょっと多忙です。
書けるときに書きますね。

関連記事

● COMMENT ●

本当に先生のおっしゃること、よくわかります。

うちの子供は特別支援級に通う小学生ですが、クラスの介助員の先生がまさに高圧的に「できる」ことを目指す先生です。毅然と指導することと、子供の人権を尊重することが両立できるんだということを知りもしない、そこまで考えも至らないという雰囲気です。
ですが、そんな先生を心を鬼にして熱心に指導してくれるいい先生、と評価するお母さんもいて…。そういうお母さんのお子さんほどターゲットにされてしまっています。

また、教室が密室状態なのも非常に気になります。そういった間違った指導が見過ごされ、エスカレートするのではないかと心配しています。もっと学校がひらかれたものになって欲しいと思います。

保育の専門性

本当におっしゃる通りだと思います。
保育園に勤めていますが、育休をとり今までの保育を振り返り、うまくいかなかった部分や自分の反省点、後輩の指導にうまく伝えられなかったことがあり、おとーちゃんさんのブログに出会いました。
全てのブログ、本を読ませて頂き、毎回勉強させて頂いています。
子どもはわたしたち大人の想像以上に力を持っていていつも感動させられることばかりです!
園の先生がすぐにやめてしまうので個人の保育の経験が組織として蓄積できない状態にあります。
信じて待つ専門性はすぐに結果が出ないので分かりにくいですが、地道だけどほんとに重要な専門性です。
個人レベルではなく本当はみんなで共有し、目の前のこども、目の前の保育に全力を注げる環境になったらいいなと思っています。
大切なのは子どもたちなのにその他の書類や雑務、行事の準備などでいつも忙しい状態なのがもどかしいです。

また保育士向けの内容も期待しています!改訂した保育所保育指針についてや保育の環境構成、園としての在り方などお聞きしたいことでいっぱいです。
二人の年子女の子の育児はおとーちゃんさんのおかげで楽しいです♪

保育士おとーちゃんさんのおかげで、溜飲が下がった思いです。
現役の男性保育士です。
待つ、信じる、失敗を経験させる等を子供にしてあげようとすると、室長から「ほら一先生!〇〇君出来てないよ!ちゃんと見てあげて!」と叱責が飛んできます。全く子供にも大人にも過干渉な人です。
ただでさえモヤモヤに耐えているところに上司の強制力のある叱責+指示が飛んでくるので本当にやってられません。
モヤモヤだけでなく、上司に咎められないかというハラハラにも同時に耐えないといけないのがうちの保育です。
愚痴ばかりになってしまいすみません。

一保育士さん

僕の言っていることは、実のところ保育所保育指針に書いてあることを、具体論や実践に置き換えているだけにすぎません。
つまり、本来は保育士になる人がみな理解しできていなければならないことです。しかし、それができずに、指針よりも自分のやり方が正しいと思い込んでしまっています。悲しいかな、これが業界全体でなされています。


この状態は医師に置き換えれば、最新の研究どころか、基礎的な医学書も読まず、「自分がされたから」「自分がしてきたから」というだけで、非科学的な民間療法をつかっているようなものです。
そうなると、その人はよしんばそれを指摘されたとしても、自我の防衛のために、より強くその自分のしていることを弁護しなければなりません。
周りに自分と同調する人がいれば、その人と一緒に自分以外のやり方をしている人を責めるのもそのひとつです。

本当に残念なことに、これが保育界の現状としてあっちにもこっちにもあります。


では、保育者の立場からこれをどうするか?
とりうる方法はふたつあります。

適切な保育をしているところを探してそちらで働く。(もしくは自分で作る)こちらがひとつ。

もうひとつは、そういった人たちに文句をいわせないくらい、保育について学び続けることです。
その人たちは、本人が自分で変えようと思わない限り、まずそうそうその保育は変わりません。
そのままではその人たちの声は大きいままです。

なので、その人たちの声をこれ以上大きくしないために、自分で本や研修など学び、それを職員会議などで発表する時間をもらったり、周囲の人を学びに誘ったり、そいういった積み重ねでその人たちの声を相対的に小さくしてしまうことです。

ただ、これは施設長がそもそも支配的な保育しかできない人である場合は難しいのですが・・・。




先生の枠にはまらない子

ブログいつも拝見しています。
年長の息子が発達障害を疑われています。
それまで親として心配な点、困っている点などなかったのですが、年中から私立幼稚園に入園してすぐ、担任から「マイペースすぎる」「気分が乗らないとみんなと同じようにできない」と指摘され続けました。
初めの内は先生が厳しすぎるのかなくらいに思っていましたが、あまりに指摘され続けるので、保育のプロの先生が言うのだからやっぱりこの子は他の子と違うんだろうか、何か早めに対処する必要があるのだろうかと、入園してからモヤモヤすることが増えました。
不安から子どもに優しくできなかったり、もっとちゃんとさせなければならないのかと厳しくしたりするようになりました
結局診断を受けて、「凸凹はあるが発達障害との診断ではない」との結果だったのですが、それでも担任からしつこく療育を勧められました。
散々悩んだ結果、療育も数か月待ちと言われたので取り合えず申し込みをして、現在週一回通っています。

現在は「個性を尊重する」とか「みんなと同じでなく自分の意見を」とか言って多様性を認めるようなことを言っていますが、結局みんなと同じ年齢で同じようなことができることが求められ、それから外れると「発達障害」と言われてしまう。
多様性に不寛容な社会が、「普通」の枠を狭めていっているような気がします。

「発達障害」が知られるようになって、療育も早ければ早い方がいいと不安を掻き立てられて療育に通う現状に、周りについていけなくなる不安から早期教育に駆り立てられている現象と似たようなものを感じてしまいます。

実際発達障害の診断が必要な人、早めの療育によって上手くいく人もいて、そのことはとてもいいことだと思うんです。
でもうちみたいに実際親も本人も困り感もなく心配もしていないのに、「将来つまづかないように」という不安の先取りで、順番待ちの療育を早め早めに受けなければならない、という状況に違和感を感じています。

これも本人の力を信じて待ってあげるということに反してしまうのではないでしょうか。

また、なんでも発達障害として対応してしまうことのデメリットはないのでしょうか。
発達障害のことは広範すぎて、またいろんなケースがありすぎて難しいとは思うのですが、またおとーちゃんさんの考えもブログでお聞きできれば嬉しいです。

空太ママさんへ

空太ママさんは、障害がないのに療育を受けることに違和感を感じているのでしょうか?

中学二年の息子をもつ父親です。
3歳児検診のときに、検診に引っ掛かり検査を受けるように勧められたそうです。
検査を受けず、満3歳で幼稚園に入園しました。
同じように、検査を勧められると思っていましたが、1度も言われることはありませんでしたね。
今現在は、ちょっと変わっていますが、特に困ったことはありません。
まぁ、3歳児検診のときに、診断を受けていたら、今とは違っていたかもしれませんね。

どうしてうちは、診断を受けなかったのか。
実は、うちの奥さんは保育士で、いろいろな子を見ていたので、直感的に大丈夫だと判断したんだと思います。
まぁ、幼稚園や小学校で、担任の先生から診断を勧められていたら、受けていたかもしれません。
どうしてかというと、その年代の子どもをたくさん見ていて、その年代の子どもの様子を良く知っているからです。

まぁ、専門的な知識があるわけではないので、疑いでしかありませんけどね。
でも、その疑いをハッキリとさせておくのは、いいことだと思っています。
障害がなければ、そのままでいいですし、逆に障害があったとしても早くから療育が受けれますからね。

余談ですが、「信じて待つ」のが通用するのは、定型発達児にたいしてだと思います。

最後に、空太ママさんが違和感を感じているのであれば、その違和感をハッキリとさせた方がいいと思います。
療育を受けるにしろ受けないにしろ、モヤモヤしたままだと、お子さんの育ちにいい影響はないと思います。

発達障害

についての記事
2012年7月にありましたよ〜
リンクとか分からないので、すいません…

迷いに迷ってキャパオーバー中です。
6歳を迎えた長女、診断を受けるかはさておき、とりあえず療育相談を受けることにしました。

おとうちゃんさんの、信じて待つ、は無条件の肯定、に近いのかな、と思ってますよ。

子どもは育っちゃうから、親以外の拠り所を必要であれば見つけておいてあげたいと思っています。

ありがとうございます

ゴリキンさん、モモさんコメントありがとうございます。
過去記事にあったのですね。
おとーちゃんさん、検索もせずにすみませんでした。
今コメントも含め順番に読んでいます。
教えてくれてありがとう。
記事にもありましたが、発達障害についてハッキリさせるということは無理なんですよね。
診断を受けたからと言って、何らかの数値や画像で線を引けるものではない。
極端な例では、診断をしてくれるまで病院を受診し続けたり、必ず診断を出してくれる病院を探したりしている人もいます。
私は「障害がないのに療育を受けることに違和感を感じている」のではなくて、不安から過剰な心配をしたり、診断を求めていってしまうような状態に追い込まれてしまう現状に、違和感を感じています。

空太ママさんへ

質問に答えてくれてありがとうございます。

今の現状は「発達障害」という名前がひとり歩きしているように感じます。
症状が似ているだけで発達障害だと疑ったり、自分の手に負えないから発達障害だと疑う人もいると思います。
それは、発達障害というものが良くわかっていないし、理解もされていないからなのでしょう。
はっきりしていることは、発達障害は脳の機能障害であることです。
ただ、脳の機能に障害があるかどうかは、専門家にしかわかりません。


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楽しく無理のない子育てを広めたいと2009年ブログ開設。多くの方の応援があって著作の出版や講演活動をするようになりました。 現在は、子育て講演や保育士セミナーの他、『たまひよ』や『AERA with Baby 』等の子育て雑誌の監修やコラム執筆。『ジョブデポ保育士』の監修や育児相談などをいたしております。

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