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2018-11

事例で見る難しい子の対応 vol.3 質問への回答(2) - 2018.07.29 Sun

◆ゆりこさんのコメント

クラスの大半が、受容的な担任の先生に受け止めて欲しくて言いたい放題やりたい放題。中には毎日のように「死にたい」と訴えて来る子もいます。(本気で死にたいと思っているのではなく、大人の気を引くために口にしているように見受けられます。が、このまま年齢が上がっていけば、今は狂言で「死にたい」と言っているのであっても、いつか本気で「死にたい」と思うようになっていくのではないかと恐ろしい心地がします。)





子供が「死にたい」と口にする。

そんなとき「子供がそんなことを言ってけしからん!」といった、感情的否定のニュアンスをその子に向けてしまう人がいます。
それは危険な行為です。

どんな子供であれ、「死にたい」と口に出すのは、それを言わせてしまう大人の社会に問題があるのです。子供を責めるのではなく、社会の一員としての大人、そして自分を省みる視点を持つ必要があります。


子供がそのように口に出さざるを得ない社会は、その社会にあり方にゆがみがあり、それは異常事態であり、非常事態です。日本はすでにそういった社会になっていることを、多くの人が認識すべきではないかと思います。




子供が「死にたい」といったり「自傷行為」をしたり、実際は自殺未遂までいかなくともリストカットなどをすることに対して、一般には、それが自分への注目を求めるゆえと解釈する向きがあります。

人によっては、それをさらに否定的にとらえて、「甘えだ」などと断罪しようとします。

これは実際に、我が子がリストカットなどをしていたときに、その親がそういった心持ちや対応をしたりします。その大人の行為は大変危険なものです。



なぜか?

子供(大人もですが)のそういった、リストカットや自傷行為、死にたいという言葉は、自分への注目を求めての行為がメインなのではありません。そういった傾向がある場合もあるにしても、本質は違います。


その本質は、「自罰感情」です。

自分は悪い子であるという認識を強く持っており、その自分を否定するために、自分で罰する行為。それが「死にたい」という強い自己否定や、実際に罰を与える自傷、リストカットへと無意識に子供を導かせてしまいます。



これに先立つ記事で、現状多くの子が抱えている直近の問題が「肯定不足」=「否定の増加」ということを述べました。

たくさんの否定をそれまでの生育歴の中で積み重ねられ、さらに規範意識で押さえつけられ、否定に否定を重ねられて子供が育ってきたとき、その子は積極的な自己肯定感を持てず、自己否定感を形成してしまいます。
さらにはそこから、自分を大切にできないという「自尊感情の低下」を招きます。

ここに至った子に、さらに否定や、不寛容、その子居場所のなさなどが加わったとき、子供は自然と「自分が悪い」「自分はダメな人間だ」「他の人に比べてなぜ自分はこんなにおとっているのだ」そういった、とても強い否定の感情を自分自身に向けるようになります。


これは他者に肯定されることが少なく、否定されることが多かった生育歴がもたらしたメンタリティです。
それゆえに、意図的なわけでなく(だから狂言ではなく)「死にたい」という言葉がでます。

「死にたい」は、子供に肯定をおくることができなかった大人たちがその子に言わせている言葉なのです。

だからもし、その感情に対して「甘えている」「お前はずるい」「他の子はそんなこと言わないのに何でお前は」といった関わりを向けてしまうことは、二重三重にその子を否定することになります。


子供の自身に対する強いネガティブな感情。「死にたい」という言葉や、自傷、リストカットなどは「自罰感情」であることを大人は覚えておき、安易な感情的否定の見方におちいらないようにしましょう。






日本では、不登校になっている子や、いじめの被害にあっている子に対して、「あなたの頑張りがたりないからだ」「甘えている」「ずるをしている」「他の子は頑張っているのに・・・」といった感情を大人が無自覚に持ってしまい、それを子供に出してしまうケースが大変多いです。

それは、大人自身が持つ規範意識の感情が強すぎて、目の前の本当のその子を見えなくしてしまっている状態です。


ただでさえ追い詰められている子に、もっとも信頼しているはずの親がさらに追い打ちを掛ける行為は子供を絶望に突き当たらせてしまいます。

例えば、上で出た「他の子は頑張っているのに・・・」という言葉。
これは、大人としてはなにもその子を責めるつもりで思っているわけでもなく出てくるかもしれません。

しかし、これは言われる当人にとっては、このように伝わります。

「他の子は頑張っているのに、お前はそれができないダメな人間だ!」

ただでさえ、その子は本来自分のあるべき姿になるべく頑張って頑張って、それでもそうなれないことに対して自分で自分を責めています。そこにさらに、「他者よりも頑張っていない」と信頼する人から言われます。これは自分の持っている自己否定を何倍にも増幅させる関わりです。


こういったことはなにも小学生や思春期の子だけにあるわけではありません。

1~2歳児といったごく低年齢の子であっても、積み重ねられる強い否定は、自傷行為や心身症、情緒の不安定、他児への攻撃、慢性的なダダといった姿として、同様に出ています。
年齢があがるにつれてそれは、数も増え顕著になってきます。


だからこそ、B君が出しているサイン「僕を肯定して、好意的に受容して!」の段階で保育者が適切に受け止めることで、そういった自罰的行為などのさらなる人生のネガティブな状況にはまってしまうのを防ぐ必要があるのです。

本来であれば、幼児期にそうなってしまうことを見越して、0~2歳児の間に対応していく必要があると僕は考えています。

その時期であれば、周囲の大人も親もその子への対応がしやすいですが、年齢があがるにつれてだんだん困難になってしまいます。

また、親子間の関係改善も、幼児期よりも乳児期の方が格段にアプローチしやすいです。
幼児期になったら手遅れということはないですが、こういった精神的な心の到達点を意識した保育を乳児期のうちからしていく必要が現代にはあると言えます。

保育士さんはぜひこの本をお読みになって下さい。現代保育における必読書です。

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● COMMENT ●

私の友達に過去に自殺未遂した友人が二人います。
その二人がどんなに苦しかったのかを思うと辛くなります。
私の人生も周りに私を肯定的にみてくれる人がいなくて学校も家庭も孤独でした。
自分が悪いからいじめられたり怒られたりするんだといつも言い聞かせてました。
なぜ自殺を考えなかったのか?それは私が頭が悪くて自殺って言葉を知らなかったです。(笑)
今思うと自分が頭悪くて良かったなと思います。

6歳に死にたいとか言われたくない

最近小1の息子に言われてしまいました(-_-)
怒られて悔し紛れに「俺はしんだ方がいい、生きたくなかった、生まないで欲しかった」「ママしんで」とも。頑張って肯定的に関わろうとはしているのですが、叱ることが多くなってしまいうまくいかないです。我が子に言われると破壊力ありますね。一瞬パニックでしたが「◯◯がしんでママもしんだら、またあの世で親子になってママ怒っちゃうよ。」と、ろくな返しができませんでした。
頑固なあまのじゃく(例えば好きなおやつなのに要らないと言い本当に食べないとか、読み聞かせをしてやろうとすると「読まないで!」と言うとか)、作品や100点プリントをしわくちゃで持ち帰る、長く使う持ち物に落書きする、褒められると「俺はほめられたくない」と言う・・・。
これらも自罰感情なのでしょうか。兄弟の中でもこの子一人突飛な行動が多く、私はつい過干渉になります。肯定不足なのは間違いないです。外ではいい子みたいで、学校で怒られたりはほとんどないようなのですが。原因は家の対応ですね。はー、がんばろ。

いつもためになる記事をありがとうございます。
「死にたい」という言葉は「自罰感情」から来るもの、という考え方は全く持っておりませんでした。
そう言われてみると、一つ腑に落ちる点があります。
クラスの中でも特に頻繁に「死にたい」と言う子が2、3人いまして(他の子も言うことはありますが、その子達の影響を受けて、真似したりふざけながら言ったりすると言うことが多いです)、その子達は今でこそ(大人から見れば)クラスをかき乱すようなことを率先してやりますが、元は規範意識が高い子(大人によって強く持たされてしまった?)、言ってしまえば大人が望むような“いい子”だったんです。
そのうちの1人は、大人の前ではものすごく礼儀正しく、遊び方も落ち着いていて、共感能力も理解力も高い、明るくよく出来るクラスの人気者のような子だったように思います。(ただ、子ども達だけの時には、「え⁈」と思うような悪ふざけをすることもあることを、息子から聞いたことがありましたが…)
何が言いたいかといいますと、“いい子の条件をよく心得ている”、“大人の望む振る舞い方が出来る”子であるが故に、それが出来なくなってしまった今、強い自罰感情を抱くようになってしまったのではないだろうか、と思ったのです。(余談になりますが、私はこれと真逆の特性を持っているようで、思春期の頃は周りと同じように振る舞えないことに激しい劣等感を抱いていました)
以前その子と会った時、私は「なんて出来た子なんだろう」と感激さえしてしまった覚えがありますが、本当はありのままの自分を受け止めてもらえずに辛い思いをしていたのかもしれない(今はそれをようやく表に出せてきたところなのかもしれません)と思うと、大人の都合によってでしか子どもを見れていなかった自分が馬鹿だったなと思います。
学級崩壊のきっかけは、最初は、授業を真面目に受けない子ばかりに先生が手を掛けているのを子どもが見て、「真面目に頑張るよりも悪さをした方が関わってくれる、自分も関わって欲しい」という子が増えて崩れていってしまった、頑張っている子をきちんと見れていなかった、と学校側から聞きましたが、それはあくまできっかけに過ぎず、根本的な原因はもっと別のところにあるのかもしれないと今は思います。
ただ、「死にたい」と言って来るのは、やはりこっちを見て欲しいという気持ちも強いのではないかと、私は未だに思います。(その子達が人一倍、かまってほしがっている子達ということもありますが、)何故なら、「死にたい」と言ったり窓から飛び降りる振りをするとき(窓の外側にはフェンスが付いてるのでそう出来ないようになっていると一目瞭然ですが)、決まって彼らはチラチラ大人の反応を窺うからです。「やめなさい」と怒る大人の様子を見て、望んだ反応が得られたと言わんばかりに、まるで大人をからかっているようにニヤニヤ見ていることもしょっちゅうです。(ちなみに、私はこの死にたいという子に対して、一度だけ不思議な反応を返されたことがあります。死にたいと言って窓辺にすがっている子に対して、私は掛ける言葉が見つからず、困ってしまってただじーっと相手の目を見つめていました。非難の意味は込めていなかったつもりです。すると相手の子は急にあははは!と笑い出して、「なんか笑えてきた」と言って窓辺から離れてくれました。あれはあの子の心の中に何が起こったんだ⁈と今でもよく分かりません。)

更に付け加えの話になります。
「死にたい」の他にも、「死ね」「殺す」という言葉を使う子も随分多いです。何か生き物を見つけた時に、「殺してやりたい(おふざけ口調で)」などの言葉を濫用したり、給食で嫌いなプチトマトが出た時などに「これ潰してもいーい?食べたくなーい」とふざけるようにしつこく大人に聞いてきたり。
おふざけ半分の口調で言ってくる場合が多いのですが(喧嘩の時に激昂してそういうことを言ってしまう子もいます)、こう言った形で溜まっているものを外に出そうとしているのだろうか?とも思えてきます。

おとーちゃんさんの記事を読んで、様々な考えが頭の中を行ったり来たりして、それをコメントにあれもこれもと詰め込んでしまうものですから、つい長文になってしまってすみません。

最近のおとーちゃんの記事は、とても誠意があり、大変関心を持って読んでおります。

私の娘も来年には小学校に上がるとしになり、今までとは異なるアプローチ、接し方の転換が必要だなあと感じています。

未だ多くの生活空間でなされている支配、被支配の関係ではなく、エンパワーメントの観点から見て、大人と子どもが楽しく仲良く平穏に過ごすためになにが出来るだろうか、と考えています。身体的にはまだ子どもであるが、大人の手を借りずに自立しようとする子の精神的成長を見守るエンパワーメントの必要性を感じています。この段階がうまくいくと、成長過程の当人に自信や信頼されているということ、周囲からの温かい関心があるということを自覚させられるのではと思います。自立心の育ってきた子どもへのエンパワーメントに関する情報がございましたら、ぜひ取り上げていただけたらと思います。また、幼児以上向けの書籍などご存知でしたら伺いたいです。

おとーちゃん、こんにちは。
ブログの内容とは関係がないのですが、もしおとーちゃんが友人の出産祝いにプレゼントをあげるとしたら何を選びますか?
おススメおもちゃのカテゴリーを一通り見たのですが予算オーバーでして。。(ノ_<)
5000円前後でオススメ品があれば教えてもらえると嬉しいです!


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