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2018-08

事例で見る難しい子の対応 vol.4 質問への回答(3)  - 2018.08.07 Tue

◆ミソコさんから

ネガティブな行動を起こす前に、、、というお話の中で、肯定を積み重ねる日々の細やかな対応が大切であるということは充分飲み込んでいるのですが、今回のようにズボンをみんなの前でおろしてしまったり、気持ちが高ぶってしまっているときは具体的にどのように対応してあげたら良いのでしょうか?
どんなに優しく言っても否定になる。ことと、こちらが嫌だと思ったらそれは我慢せずその子を対等な人として伝えていくことが大切。ということの自分のラインがみえてくると良いなと思っています。よろしくお願いします。







前述のように、問題の姿が出てしまったその場面での対応は、この問題の根っこからの解決のためにはあまり功を奏しません。
特に受容と肯定の対応の初期段階ではそうです。
子供の側から考えると、「肯定が欲しいがためのネガティブ行動」が衝動的に出さずにはいられない状況です。

その場だけの対応で対処してしまおうとすると、どうしても止めたり、注意したりという対応にならざるを得ませんし、どれほど許容的な対応をできたとしても、そこにはある弊害が生まれます。これに関してはあとで述べることにします。


わたるさんが書いてくれた事例の場面では、

他の先生がB君に何かを手伝うようお願いすると、B君はそっちの方は行き、なんとか絵本を読み始めることができました。

とありました。
これはいい対応です。
こういった対応で、受け流していくのもひとつの手でしょう。



◆その他の対応例1

他には、「どうしたの?」という問いでB君に関わるという対応も考えられます。

保「どうしたの?」
B君「~~~~」(なにか述べる。その内容がなんであれ)
保「ああ、そうなんだ~~」(ゆっくりと返し、間を大きく取る)
B君「~~~~」(それでもなにか言ってくる)
保「ああ、そうなんだ~~」(必要なだけこれを繰り返す)
B君(言うだけいって満足して何も言わなくなる)
保「うん、わかったよ~~。じゃあ、絵本読みたいからそろそろ読むね~」


◆その他の対応例2

B君の興奮やふざけが激しく会話にならない、もしくは、他の子も影響されてしまって収拾がつかないようなとき。

その課題、ここでは絵本読みを取りやめてしまうというのも有効なひとつの手です。


ただし、それは疎外のためにつかうわけではありません。

日本の「しつけ」子育てでは、ひんぱんに子供を思い通りに動かすために、「言うことを聞かないともうつれてきてやらないぞ」「従わないなら帰るぞ」といった脅しをすることで子供を疎外し、大人の子供へのコントロールを円滑にしようとする関わりがあります。
これは、不誠実な対応であり本来子育ての中でも使うべきではありません。保育士が保育の中でとなればなおさらのことです。


ですので、この取りやめるというのは冷たい心持ちでするのではなく、あっけらかんとするのです。
それは実は専門性に根ざした対応です。

「現在のクラスの状況では、この課題は発達段階や子供たちのおかれた状況から適切でなかった」
という判断をしたのです。だから、なんのてらいもなく「ああ、今日のこの子たちの状況では無理だった」と柔軟に考えればいいわけですね。

これを「やらねばならない」と、柔軟さを欠いて保育者のメンツの張り合いのような形にしてしまうと、保育者の心理もそれをさせねばという規範意識が強まってしまい、子供たちに否定的な感情や関わりが導き出されかねません。

学習課題としてしなければならない学校と違い、保育士はこの柔軟さをもっと重視していいことだと思います。やらせることにこだわっていくよりも、こういった柔軟な対応をした方が、遠回りに見えて実は近道です。


例えばこんな風にして見ます。

保「そうだ、今日はハンカチ落としやろうかな~と思って用意していたんだった。絵本は今度にしてハンカチ落としやろうか~」

その他、時程を前倒しして戸外遊びにいくなど、その場その場で臨機応変な対応を。
そうすることで、B君を悪者にせずに対応をしていくことができるでしょう。



◆事例としての判断
そのときの事例から得られた考察は、「やらねばならない」という課題に縛られた小さな視点からだと、
「B君や、他の子が騒いでしまうことで課題として考えていた絵本の読み聞かせができなかった」
というものになってしまいます。


専門的に保育をするに当たっては、それよりも大きな視点で子供たちをみられるといいでしょう。
そのためには、現状の客観的判断からします。

保「B君を含め現状のクラスのあり方では、一斉保育での絵本の読み聞かせをすることは難しい場合がある」


「やらねばならない」というのは保育者の主観的な判断です。それを取り除いてありのままの事実は↑これなのです。

それを踏まえて、今後どうしていけばいいかを考えます。

保育者としては、「絵本の読み聞かせはしたい」という思いがあります。
でもそれを一斉でやろうとすると、どうしても邪魔をしたくなってしまう子がおり、困難な状況にあたってしまいます。

だから、その枠組み自体を変えるのです。
通常はその問題になっている子供を変えようと焦るので、その子たちへの否定の関わりが強化されてしまいます。
しかし、それではその子たちを落ちこぼれにしてしまうことにつながります。

そこで、柔軟に考え、一斉での読み聞かせをやめてしまえばいいのです。

例えば、自由遊びの間に、保育士があまりアピールせずに保育室の一角で本読みをします。
興味がある子は聞きに来ますし、興味が持てない子はそのまま自分の遊びを続けることができます。

興味が持てない段階の子に、無理にさせたとしてもあまり意味はないのですから、これで十分保育は達成されていると考えていいのです。

また、その場面で同じようにB君や他の子が邪魔をするような関わりを出してきたとしても、「あ~別に絵本見たくない人は、そのまま自分の好きな遊びしてていいからね~~」と軽く受け流せるので、これは疎外にならずに済みます。

また、保育者の心理的にもラクになります。一斉保育としてやってしまうと、「全員に聞かせなければならない」「静かにさせねばならない」という気持ちから余裕が奪われてしまいますが、自由遊びの中ですることにより、そこから保育者自身も解放することができます。


つづく。

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● COMMENT ●

枠組みを変える

年少の息子がふざけて気を引こうとするタイプです。
幼稚園で枠にはまってる分、自宅ではゆったりさせてあげたいのですが、私がきちっとスケジュールを決めてやりたいタイプでスケジュールが狂いそうになるとイライラしてしまうんですよね、、枠組みを変える、を心がけて生活してみます。夏休みでいつもよりゆったり生活できるはずですしね。いつも大切な気付きをありがとうございます。

こんにちは。3歳の子の母親です。
私は多分あまり子供を叱らないほうで、かなり子供の好きなようにやらせてます。(もしかしたら周りからは「もう少し”しつけ”たらいいのに・・」と思われてるかもしれませんが)
周りの大人の対応で、まさに書かれているようなことをしている時に、どうしたらいいでしょうか。
例えば、公園に遊びに行った時、子供がすみっこの雑草や虫に気を取られたり、階段の上り下りで遊んでいると、夫や私の父はやれ早くブランコやろう、滑り台やろうと急かします。一応は、「遊びに来てるんだから、ブランコやろうが階段の上に立とうが、好きにさせたらいいじゃない」と私は声をかけますが、彼らは不満そうです。
また、保育園で3〜4歳の子が30人ほど集められて全員を叱っている場面があり、理由はなんであれ、恐らく何故叱られてるか子供たちは理解できないと思うし、何の意味があろうかと思うのですが、私は何も言えない状態です。
私としては、子供と普通に人として関わってほしいなあと思うのですが、彼らに何と言ったらいいのでしょうか。

分かります

実家がそういう接し方でした。次々とこれやれあれやったら?とせわしない…。
あくまで我が家の例ですが、私はそんな時「今、集中してるみたい。後で気が向いたらやるわよ〜笑」と伝えていました。

今、息子年長ですが年中前には「僕はこれがしたいからそれでいいの!」と言い返すようになりました。
可愛い孫に言い返されたら「あ、そう…」としか返せないようで、
次からは「◯くんはこれが好きだったもんね」ときたもんです。

そうなるように本人の好きなものを大切に見守る、認めてきた結果かなぁと思います。
お出かけ先で高いお金払ったのにどこにでもあるようなものしか見ていない…とかしょっちゅうですが、
その分野に詳しくなればいいのです。
一番影響を受けるのは、やっぱりママなのかなだと感じます。

あまり参考にならないかもしれませんが、一例として紹介しました。
私もあれこれ口出されて辟易してきた経験があるの、つい。。でしゃばってすみません。

「〇〇させなければならない」という意識で保育をしてしまうと、自分自身が追い詰められるし、その結果、子どもを追い詰めることになってしまいますね。
先輩や周りの保育士の目があり、〇〇させることができない保育士=ダメな保育士、として見られがちなのが本当に残念です。
保育の枠組みを変えることが、もっと現場の保育士に柔軟に任されていればいいのにと思います。

わかりやすい!!

もうかれこれ6年も、おとうちゃんさんのblogを読ませていただいています。いつも更新を楽しみにしていますが、今回の事例シリーズは秀逸に分かりやすい!!!と思って思わずコメントします。
保育士さん向けの内容ですが、親が読んでも、子育てはどこかに正解があるものではなくて、いつでも、子供自身に向き合って試行錯誤なんだな、ということが、「具体的に」「説得力をもって」感じられます。また、おとうちゃんさんの考察の広さと深さが、具体例でもって如実に伝わってくる気がします。

具体的な事例を挙げて広く深い説明がわかりやすい!というのがおとうちゃんさんblogの醍醐味だと思うのですが、今回、改めてそう思ったのでついついコメントさせていただきました。
偉そうですみません。
つづきも楽しみにしています!

3歳の母さん

周囲の大人を変えるのは、これはもうとっても難しいです。
その影響があまりに大きい場合は、なんらかの対応をした方がいいこともありますが。

僕はしばしば、「子供を信じる」と言っていますが、子供は非力に見えていろいろ自分で考えて、おそらくは大人が思うよりも多くのことを理解しています。

ここではつまり、「どの大人の関わりが心地よいか」ということを子供は気づいています。
プラスの影響であれば、子供は心地よい関わりからもっとも多くを得ていきます。

特に3歳と言うことですから、自立が進みその面も今以上に伸びていきます。

プラスの影響を与えられる人がひとりもいないというのでは難しいですが、ご自身が過干渉にならずにいられるのであれば、お子さんはそこからプラスのものをもらえていることでしょう。
それによって、過干渉の人からの負の影響を相対的に小さくすることができます。


保育園のことについては、もし信頼して話せる職員がいるのであれば、親としてどう感じているかを伝えてみるといいでしょう。

そのように支配的な保育をする人は、否定されれば素直に聴くことは難しいです。
なので、その人たちに疑問を提示して考えてもらう方がいいでしょう。
分からず屋に話すのではなく、一番聴けそうな人に伝えるのがポイントです。


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楽しく無理のない子育てを広めたいと2009年ブログ開設。多くの方の応援があって著作の出版や講演活動をするようになりました。 現在は、子育て講演や保育士セミナーの他、『たまひよ』や『AERA with Baby 』等の子育て雑誌の監修やコラム執筆。『ジョブデポ保育士』の監修や育児相談などをいたしております。

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