事例で見る難しい子の対応 vol.5 質問への回答(4) - 2018.08.11 Sat
◆その他の対応例3 「包括的受容」
僕の保育研修を受けた人は包括的受容の話を聴いてると思います。
これは現代の保育士に必須のスキルと言ってもよろしいかと思います。
研修内では、この概念を印象づけるために半分冗談で「もし僕の名前が保育史に残るとしたらこの包括的受容の提唱者として残るはずです」と言っています。
包括的受容については、このブログでも過去記事に述べています。
「いい保育」と「上手い保育」 vol.8 『包括的受容』
http://hoikushipapa.jp/blog-entry-969.html
子供が衝動的に逸脱した行動や、肯定を求めるためのネガティブな行動をとったとき、この包括的受容の関わりをすることで安定が得られるかもしれません。
ただし、それはそのときの状況や、周りの子の状況も関わってきますので、それをすれば絶対といったようなものではなく適宜判断が必要なのは言うまでもありません。
また、その子と保育者の間に、そもそも信頼関係が築かれていなければ包括的受容の形だけなぞったとしてもそれが子供に響くことはありませんので、多少なりとも信頼関係の構築が先に必要です。
では、このB君のケースにおいて、包括的受容を具体的に見てみます。
保(B君の行動を見て)「あら~どうしたの~~」
(間)
「そうかそうか~~。うんうん、わかったよ~~」
「でも、そんなことしなくても私はあなたのこと見ているから大丈夫だよ~~」
(上のような肯定的な言葉を掛けながらギューッと抱きしめる)
「はい、じゃあ落ち着いたら絵本みようか~」
このように、保育者は子供のネガティブ行動と同じ地平の上で注意をしたり、叱ったり、我慢をしたり、なだめたりするのではなく、それよりももっと大きな見地から子供の存在そのものと、子供の行動を包み込んで受容してしまうことにより、子供の心のネックになっている部分そのものに手を当ててあげる関わり、これが包括的受容です。
注意するだけ、叱るだけ、怒るだけならば、誰だってできるのです。それは簡単で、しかも自分の感情のままに行動できるのでラクでもあります。でも、プロとして子供を保育するのですからこういった専門性が要求されています。
つづく。
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多分、過保護からくる依存の強さからくるのだと思いますが、私が他の人と話をしていたり、子供にかまってあげられない時や、嬉しくてたまらない場面などで、ふざけたり、私を力いっぱい押したり、私のカバンを遠くに投げたり、おふざけをとても楽しそうに繰り返しすることがあります。
注意したり、叱ってみたり、相手にしないようにしたり、色々試すのですが、一度おふざけがはじまると、なかなか辞められない様子です。
私は、弱い母親の部類で、過保護になりがちです。なるべくいつも子供に関わるよう、なるべく子供を否定しないよう、楽しく過ごせるように、言葉かけやスキンシップもたくさんする母親だと思います。
息子は、私の言うことは、比較的によく聞いてくれて、手をつないでショッピングしていても、素直に付いてきてくれ、買い物を大変だとも、育児が大変ともさほど思っていません。
二人きりだとあまりおふざけもしないので、やりやすくて、可愛く甘えてくれるので、私もほぼ叱ることもなく、可愛い可愛いと接しています。
ただ、夫や祖父母、また、第三者が関わると、テンションがあがるのか、おふざけがすごくて、困ってしまうのです。
1対1の関係の方がやりやすくて、私と二人きりの息子は、素直で甘えたで、可愛いので、私もかなり猫可愛がりしていると思います。
私が息子を甘やかしすぎている、と夫は思っていて、もっと厳しくしないと、と言われていますが、夫が厳しく言っても聞かないので、私がいつも介入しています。私が介入すると、おふざけもわりとすぐに辞めてくれます。
息子は、私を信頼している、と強く感じますが、同時に私に強く依存しているのでは?と感じます。
私は、性格上、ついつい相手に合わせてしまうのと、根っこにある自信のなさから、上手くやらなくては、子供に好いてもらわなくては、子供の問題行動は自分の責任である、という思いが強く、私が上手くやらないと子供を不幸にしてしまう、という気持ちが根底にあると思います。
子供は子供で、幸せになっていくはず、と思いながら、おそらく一番息子に依存しているのは、母親である私なのだと思います。
保育士おとーちゃんのブログを読んで、色々なことに気付かされながら、自分自身の考えにも自信が持てずにいます。
しかし、保育士おとーちゃんの関わり方は、非常に参考になり、それを実践しながら、私自身も過保護な自分を少しだけでも改善されている、と信じながら、がんばっています。
いつも、ありがとうございます。