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2023-06

どんなあなたでもいい - 2018.09.22 Sat

きれいごと抜きに、いまの子供たちの姿の大変さは深刻になっています。

「子供が持っているなんらかの個性ゆえに大変になっている」というケースであれば、これはその子に合わせた関わりを模索していけばいいことです。
しかし、問題に思うのは、知らず知らず子供の姿の大変さを生み出してしまうケースです。

その人なりには子育てを一生懸命にやってきた結果、子供が荒れた姿を慢性的に出すようになったり、親自身も我が子と関わることが負担で仕方なくなってしまったり。

これらはもしかすると、いくつかの気づきを持っていればあらかじめ回避できたことかもしれない。
または、いまその渦中に入っている人は、この気づきを持っておけばだんだんとやわらぐ方にいけるかもしれない。
今日はこれについて書こうと思います。





まず、子供の姿の荒れや大変さはどんなものがあるかというと、意地悪や情緒の安定を欠いた姿、強いいじけ(どうせ自分にはできっこない)、親の前では「いい子」それ以外では逸脱した姿、意欲の欠如、子供らしい活気のなさ、大人への信頼感の欠如。


こういった姿が、年齢があがるにつれて増加していく幼児がいます。
これは防げるものならば防ぎたいですし、直せるものなら直したいです。

この問題の根っこが、子供の問題だけであれば解決しやすいですが、実のところそうではないケースが多いです。

じゃあ、根っこはどこにあるかと言えば、親にあります。
親にあると言っても、「親の子育ての仕方」ではありません。それよりももっと前のところです。
おそらくは、その親自身が「こうでありなさい」と子育てされてきたか、周囲に望まれてきたか、そんなところにあります。

その親自身が、「こうでありなさい」と強く望まれて育ってくればくるほど、我が子に「○○であれ」と強く望むようになります。


その結果、子供への支配が起こります。
そしてその支配が強まれば強まるほど、子供の姿に問題や大変さが出てきます。


子供に暴力を振るうなどの強い支配は目にも見えわかりやすいですが、見えない支配もあります。
優しい支配がそれです。

「○○しないとおやつあげないよ」
「○○しないと公園いけないよ」
「○○したらお姉さんだな」
「○○できたらえらいな」


こういった言葉は子育ての中で普通に使われています。
子供を叩いたり怒鳴ったりすることとは違って、さほど問題のある関わり方にも見えませんが、実はそれが子供への支配であることは、強い支配も優しい支配も変わりません。


こういったことをしている人を責めているわけではありません。
多くの人がこういった子育てをするのは、現代の必然です。
なぜなら、親自身がそのように求められて育ってきているから。さらにはそれを求められたところから人生をスタートして、ここまで(それなりにうまくいって)歩んできてしまっているから。

この立ち位置にいる人が、子供への子育ての具体的なテクニックだけを聞きかじってそれをやってみても、あまりはかばかしい成果はあがらないでしょう。
なぜなら、根っこにある大人の立ち位置は少しも変わっていないから。


だから、少し立ち止まって今一度自分を振り返って欲しいと思います。

今日のタイトル「どんなあなたでもいい」というのは、子供に向けた言葉ではありません。
子育てする親が、まずはそれを受け取って欲しいと思います。


どんなあなたでもいい。もっと言えばダメなあなたですらいい。


この言葉はある意味では真理なのです。
だって、人はどれほど努力したところで完璧な人間などになれるものではありません。
どんな人であれ、欠点や弱さを持っています。完璧に近い人がいたとしても、それは状況や心理状態に左右されて簡単にゆらぐものだし、人生の終わりまでそれがずっと続くわけでもありません。

人間の本質には「ダメなあなた」(弱さ)を持っていると言っても過言ではないでしょう。



ところが子育てになると、「こうであれ」「○○できる子になれ」といったものが先鋭化してしまいます。
親が「○○でなければ」と強く自分に課している人ほど、子供にもそれを求めてしまいます。

その結果、慢性的な肯定不足の状態に子供はおちいります。
そうなれば、子供の大変な姿は出るべくして出てきます。

そして、子供に「こうであれ」を求めている人は、そうした大変な姿に対して注意や叱るなどの否定を積み重ねたり、その行動を押さえつけることで対処しようとします。

すると、肯定不足という問題に対して、否定を積み重ねていくので悪循環になってしまいます。


子供の姿とか、子供への関わりがどうこうの前に、まずは親が自分自身に対して課している「こうでなければならない」という枷をゆるめて欲しいです。

人によっては容易ではないかもしれないけれど、それがおそらく現代の子育てする人のスタート地点ではないかと僕は思うのです。

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● COMMENT ●

ありのまま

自分の弱さも含めて自分のありのままの姿を受け入れる強さ。子どもたちは、そんな大人を見て安心し、また彼らもありのままの姿を見せていいんだと思えるんでしょうね。ちょっと古いけど”Let it go”です。

たくさんの母親に是非シェアしたいです

私自身、「〜した方がよい」という気持ちで子育てしてきて、ありのままであるよりも、
やや無理があっても、子供のためを優先してきたことで、強い行き詰まりを感じてきました。

「どんなあなたでもいい」というのは、子供に向けた言葉だと当然に思っていたし、まさか子供を守るべき母親に対して言ってくれる人がいるのが私には、随分と救いになります。

私は、保育士おとーちゃんやまた色々な子育ての考えに触れて、良い母親であるよりも、そのままの自分でいることを選びました。
私は、立派なことは出来ていません。ただ、普通に子供を可愛がるだけの日々です。
立派を目指す時よりも、子供に感じていた問題のようなものは、かえってなくなっていきました。

不思議なもので、立派でいたいとがんばっていると、子供の出来ない部分やダメな部分がすごく気になってしまい、問題が増えるのに、
ありのままでいい
と自分を許すと、
子供のダメな部分が何だか子供らしく、可愛く思えます。

社会とは厳しく、
どんなあなたでもいい
と言ってくれる人などいない、と思っていて、私は精一杯ダメな自分を隠して生きてきたように思います。
時には厳しい言葉を向けられても、
どんなあなたでも大丈夫だと信じてくれる人がいる限り、私はそれを信じて、子供にもどんなあなたでもいい、ということを信じて生きて欲しいと思います。

はじめまして。

おとーちゃんさん、こんばんは。
最近こちらのブログにたどり着きました。
私は子どもの頃から両親にひどく拒絶されながら育ちました。実家とは縁を切って結婚し、パートをしながら今3歳の娘を育てています。
日中は保育園に預けていて、娘は馴染んでくれましたが、親である私が先生や他の保護者とコミュニケーションがうまく取れません。親戚などともそうです。
義母には、「あなたは本当は子どもなんか持ってはいけなかった」と言われ、自分でもそう思います。
今日も、無気力で苦しくて、こんなことじゃダメだ、娘にどんな風に接すればいいのか、ヒントが欲しくてこのブログを見に来ました。
この記事を読んで、まずは自分のことを許してあげて、もっと楽な気持ちになろう、
それが子どもを私のようにしないために必要なことなんだと思いました。
ありがとうございます。これからもブログ更新等応援しています。


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