子育てのパラダイム転換 ー「させる」から「する」へー - 2018.10.03 Wed
ここを理解することで、子育て、保育、教育は大きく変わります。
今日は、そこを具体例を使ってざっくりとですが書いていこうと思います。
ここでは、外から帰ってきたときなど手を洗うことを例にとって見てみます。
3歳くらいまでの子に対してだと、丁寧な人だと一緒に手を持って洗ったりします。これが悪いわけではありません。洗い方を伝えたりするのにそういったことも必要ですね。
子育てに丁寧な人、一生懸命な人ほどこういう関わりが多くなります。
これは悪いわけではありませんが、「やってあげる」という状態になっています。
これがだんだん年齢があがっていくにつれて、「ほら、手を洗ったの?」「ちゃんと洗いなさい」といった関わりになっていきます。
これは「やらせる」という関わりです。
程度にも寄るので一概に言えませんが、それらが過剰になっていけば前者は過保護、後者は過干渉となります。
これは日本の一般的な子育て観を背景にした、大人がおちいりやすい関わりの典型例です。
まじめな人、子育てに一生懸命な人、子供をきちんと育てなければというプレッシャーを持っている人ほどこのような関わりが多くなりがちです。
子供に対して親切であったり、子育てが丁寧であったりするのだけど、そういった人ほどこの流れになりやすいです。
「やってあげる」 → 「やらせる」
小さい内は「やってあげる」から、大きくなるにつれて「やらせる」へと。この構図です。
別にこれでもなんてことなく育っていくケースもあります。
しかし、客観的に細かく見ると、この関わりは「子供の行動を(大人が)作っているけど、子供自身を伸ばしていない」というものになっています。
場合によっては、この構図の子育てを頑張れば頑張るほど、「やらせなければやらない子」になってしまう可能性があります。
すると自分ではやらなくなるので、より強く言ったり干渉することで「やらせる」という関わりが増加していくという悪循環の構造になります。
多くの人が、「子供ってどうせ自分ではやらないよね。だから大人がやらせなければならないよね」というスタンスを無意識に持っています。
それは実は大人が作り出してしまっている面があるのです。
子供とは不思議なもので、子供の力は大人が信じているところまでしか伸びなくなってしまいます。
◆
じゃあどうすればいいか?
子供は「ああしなさい」「こうしなさい」を大人が過干渉に言わない方が、むしろ自分の力で成長していくことができます。
それが「伸びる」ということです。
手洗いの例で言えば、大人自身がそれを大切なことだと理解して自分で率先してやっていれば、子供はそれを見て同じようにしていきます。
ただ、普段から過保護や過干渉、もしくは支配やコントロールの関わりをたくさんしていると、その率先する姿を大人が見せても子供はあまりそれに寄り添った姿を出しません。
子供ができるだけ小さいときから、必要に応じて手伝ってあげたりやってあげたりはしつつも、それらは過剰にならない塩梅にしておくといいでしょう。
それが子供に関わるときのポイントです。
「(大人が)やらせる」のではなく「(子供が)する」のです。
やらせてしまうと、すぐに結果が出るので大人は安心感や満足感がありますが、子供の成長の実際は時間のかかるものです。
失敗もするし、なかなか大人の思い通りにもいきません。
でも、そこを「待てる」ことが必要です。「信じて待つ」わけですね。
もちろん、こういった関わりは手洗いだけではありません。
歯磨きやお箸使い、片付けといった子供の生活上の行動面から、他者への思いやりやモノを貸せるといった精神面まで、子供の成長のほぼ全てです。これらの成長の姿は、本来、大人の干渉だけで成立しているものではありません。
しかし、そういったほぼ全ての面においてまで「(大人が)させる」を要求してきたことが、これまでの日本の子育ての問題点であり、難しくなっている子供の姿の様々なことの遠因にあるのだと思います。
「させる」ことが場合によっては必要になることはあるにしても、そこが子供の姿の目指すべきところではなく、本当に目指すところは「する」というところなのです。
子供の個性もいろいろあり(もっというとその子のおかれた状況や、関わる大人もいろいろなので)、それが簡単にはいかないケースもあるかもしれませんが、この「する」という自主性の視点が大人の念頭にあるかないかで、子供に与える影響は大きく変わってくるでしょう。
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● COMMENT ●
お片付け
夕方保育園から帰ってきて,しばらく遊んだ後,声かけせずにみていると,食事が終わって寝る時間になってもやりません.こちらから何も言わなければ何日でもそのままです.みかねて「一緒に片付けよう」と片付けを始めるのですが,そのころにはすでにあらゆるおもちゃや塗り絵などが散らかっていて,大人でもかなり苦労します.娘もどうしたらいいか分からないようなので,「お人形担当ね」などと具体的に伝えてやってもらいますが,大人9割娘1割といったところで結局ほとんど私がやっています.その塩梅が難しい!
そもそも物が多すぎるんだ!と思い,使っていないおもちゃは定期的に捨てたり物入れにしまったりしますが,知らないうちにそこからおもちゃを引っ張り出してきて遊ぶので,また元のようにたくさんのおもちゃやモノであふれかえります.収納もラベリングしてかなり(少なくとも大人には)分かりやすくなったのだけど….
保育園の先生からは「遊ぶおもちゃは二つまでにしたらどうでしょう」とアドバイスをもらったのですが,組み合わせて遊びが広がることも多いのでそれはやらせてあげたいと思っています.(例えば人形遊びをしながら,レゴを出してきて家を作り,さらに折り紙を出してきて人形のご飯を作ったりとか)でもきっとこれが散らかる要因なんでしょうね~.「創造的で楽しい遊び」をしつつ「片付いた部屋」を維持するのにはどうしたらいいのでしょう?
この次の記事にある「自己犠牲的な関わり」をついやってしまっていると思います.3歳のときに娘の姿が安定せず,強いゴネが出た時期がありましたが,そのときおとーちゃんのサイトを読み込んで「私が嫌なことははっきりと困ると伝える」「ダメなことには毅然と対応する」ことで,4歳ごろには見違えるように成長したのですが,気を抜くと自己犠牲的な関わりに戻ってしまうのかな~(^^;)
お片付け以外は自分でできることも増えてきて,意欲もあるので子育てのストレスはすごく減ったし,毎日可愛くて仕方ありません.「まあそのうちできるようになるかしら」とも思っていますが,現実的には部屋が散らかったままだと困るので自分からできるようになってほしいです.
おとーちゃんのサイトはつまづいたときにいつも気付きをくれます.何か言語化するのが難しいもやもやを言葉にしてくださるので,思考がクリアになっていくのです.お忙しい時間を割いてこのようなブログを書いてくださってありがとうございます.
いつかお礼をと思っていました
おとーちゃんのおかげでずいぶんと強くなれました
長男に関しては、おとーちゃんの言われていたことを頭において関わりをもっているのになかなかうまくいかない 伝わらない……と悩むことも多かったのですが、二歳半で発達障害とわかりました
知的にはグレーです
自然と学び、成長するというのがとてもゆっくりな彼ですがおとーちゃんの言われていることを忘れずに日々生きていきたいです
いつかお礼を言いたいなと思っていたのでこの場をかりて
ありがとうございます
これからもよろしくおねがいします
尊重すること
個を尊重する、って難しいな〜と改めて考える日々です。
6才を過ぎた娘が、3才になる妹と手をつなぐ時、自分の指を差し出してます。
妹が、「ねえね、やってぇ」と言うと「てつだって」でしょ、と伝えてやってあげてます(笑)。
真っ直ぐ育ってくれたな〜と思います。
なのに、この数カ月長女のマイナス面ばかり見ていてしまってた気がします。
気付くのが遅くなったけど、気付けたからにはプラスの関わりを増やしていくだけですね。
親にとってももう一度育児の軸を見直すのに、このブログを参考にさせて頂きました。ありがとうございました!
優先順位
>そこを「待てる」ことが必要です。「信じて待つ」わけですね。
このスタンスに立てると子どもとの関わりが、楽になれるんだろうと思うこのごろです。
3歳の娘が、まったく歯磨きをしたがりません。押さえつけてまでやることはしませんでしたが、「むしばになるよ」「お菓子食べたら磨こうね」「歯が汚くなるよ」とか、正論をかざして批判的メッセージをあれこれ発しながら、歯磨きをさせようとしました。
言い続けても、親子の信頼関係にとってマイナスだと思うようになり、虫歯の1本や2本できても(初期の虫歯ができていますが・・・)、よいことにしました。
とりあえず、お菓子を買わないようにして、虫歯リスクを高める砂糖の摂取機会を減らしていますが。
幼児は唾液が多いので、汚れがたまり続けるものでもありません(食生活、個人差あるでしょうが)。
成長すれば歯磨きをするようになるかもしれないし、しないかもしれません。
歯磨きより大事なことってなんだろうかと・・・。
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自らすることができるように、その力が育つように、日々子どもと関わっていきたいなと思います。