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2023-03

「子供の人権」って?ざっくり教えて。 - 2018.10.18 Thu

保育についての記事です。

僕も「子供の人権」についてはしばしば書いていますが、人権というとどうにも理念的なものに感じられていまいち理解がしにくいです。

「なんとなくはわかる」でも「よくわからない」という人も多いのではないかと思います。
僕自身もそうでした。
理念だけわかっていても、実践にはまるで反映されないということも多いです。(圧倒的に多い)

そこで、具体例の方からざっくり理解していく方向でここでは書いて見たいと思います。




1,モノ扱いしない

小さい子といえどもひとりの人間。
その身体が小さいからといって、モノを扱うように後ろから有無を言わさず抱え上げたり、柵や棚の上を通して受け渡したりしない。



2,子供扱いしない

子供だからと、公衆の面前で裸にしたり、全裸の写真をとったりすべきではない。
また衆目の前で排泄の始末をしない。それがやむを得ない状況でも、その意図を持ってできるだけの配慮をする。

必要があってでも子供のプライバシーに踏み込むときは、それなりの配慮をする。
例えば、おむつ交換の際、無言でおしりを触ったりせず、「おしっこでましたか?」「おむつどうですか?」などたずねたり、「ちょっと失礼しますよ」などことわりをいれる。


3,好意であっても身体的特徴を冗談にしたりしない。



4,わからないもの扱いしない

「子供だからどうせわからないよね」といった考えに基づく行為をしない。

どんなに小さい子であれその子の前で、親の悪口や批判をしたり、その子自身の悪口を言ったりしない。悪口は言うまでもないのだが、その子プライバシーに関わる話自体その本人や他の子供の前でするべきでない。
子供であっても、むしろ子供であるからこそ、自身に関わる話がポジティブなものであるかネガティブなものであるかを鋭敏に察知する。他児に関することでも、大人がどう考えているかを子供は察する。


5,「子供だまし」をしない。
子供だましとは、例えばごまかし、脅し、モノで釣る。



6,子供に望む行為に反する行為を大人もしない。

保育施設でとても多く見かけるのが、ベビーサークルや、チャイルドゲートを大人がまたいで歩く行為です。
まったく無自覚にしているところが多いです。

子供がそこを登ったり、足をかけたりする姿を見ると保育者は注意しているのに・・・・・・。
その子供の行動は大人の行動を真似ているから、それが導き出されている可能性があります。

「無自覚」は怖いです。



7,大人に対してしないないことをしない

あなたが他の大人に対してしない行為であれば、子供に対してであれすべきでない。

すべきでないというよりも、子供という存在を適切に理解しかつ尊重していれば、そもそもそのような行為をする必要がない。大人には使わない行為を子供相手に使うという人は、子供に対して、関わりのスキルあげることをまず考えよう。

例えば、怒鳴る、疎外する、無視する、バカにする、さげすむ。見下す。大声で威圧する。暴力を使う。暴言を吐く。他者と比較して否定する。
その相手の発憤をうながそうとして否定的なことを言う。(「そんなんだから○○もできないのだ」など。これは大人に対してする人もおりますが・・・・・・)



◆良くも悪くも下に見てしまう

子供を相手にすると、良くも悪くも無意識に「大人より低いもの」と見なしてしまいがちです。

「良くも」というのは、「手助けすべき存在」「保護すべき存在」という見方です。
それ自体は間違っているわけではないのだけど、その意識が簡単に子供の人としての尊重を奪うことがあります。
上で出てきた、「ごまかし」などがそれに当たります。
過保護、過干渉なども場合によってはそれにあたります。

だから、良かれと思って子供に対する意識の中にも、子供の人権を損なう行為が潜んでいることを知っておく必要があるでしょう。
子供への関わりのひとつひとつを自覚的にする。配慮を振り返って考えるなどのアプローチにより、それが達成されていきます。


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● COMMENT ●

とても簡潔で具体的でわかりやすく、素晴らしいです。
日本全国の周産期医療を行う病院に配布して、出産前のお母さんとお父さんに読んでもらいたいです。
どのように子育てをしていいのかわからない親はたくさんいると思います。私もそうでした。自分が育てられた環境しか知らないのですから。
このように配慮して育てられたお子さんは、人を尊重する人間になるでしょうね。

「子」を「育てる」ということ

0、3,5歳のこどもの父親です。子どもへの人権感覚(老人への、障がい者への、女性への・・・なのでしょう)を、私たちが「適切に」備えられずあるのはなぜだろう。ブログを読ませてもらい、振り返るとそうした「人権侵害」に自らも心当たりがあり、「はっ」とさせられることがしばしばです。そもそも、「子育て」という言葉じたいが、対象に働きかける操作的な「DOING」という意味合いになりがちだと思ってしまいます。子どもを栽培可能な農作物のようにとらえてしまう語感に問題がひそんではいないかと・・・。保育士とーちゃんは、ブログのいろいろな発言の中で「叱らない子育て」の肝として、子どもからの「信頼」を得ることの大切さを強調されているように思います。子育て=親子の関係であり、子どもへの親の関わり方、態度、振る舞いの「在り方(BEING)」が問われているのかと感じています。「子育て」という日本語にケチをつけてもしょうがないのですが・・・。


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楽しく無理のない子育てを広めたいと2009年ブログ開設。多くの方の応援があって著作の出版や講演活動をするようになりました。 現在は、子育て講演や保育士セミナーの他、『たまひよ』や『AERA with Baby 』等の子育て雑誌の監修やコラム執筆。『ジョブデポ保育士』の監修や育児相談などをいたしております。

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