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2018-11

支配で人は育たない - 2018.10.21 Sun

支援学級で子供を怒鳴っているというコメントがありました。
僕もしばしばこれに関するお話をうかがいます。




◆支援学級のあり方

支援学級というと、障がいや発達になんらかのものを抱えた子を専門的に援助していくところだろうという印象を持っていました。
しかし、必ずしもそのように適切で専門的なアプローチをしているところばかりではないようです。

僕の研修に、支援学級で働いている教員の方やその補助職員、支援施設の職員なども学びに来てくれます。
話を聴くと、その人達が必ずと言っていいほど問題に感じているのは、子供に対して支配しようとしてしまう職員の存在です。


「正しい」とされる行動を生徒に取らせるために、「正しくないことの否定」を積み重ねたり、そこからさらには「恥をかかせる」といった自尊心の否定という教育者がやってはならない手法を用いてしまったりしています。

少し前にも、支援学級の教員がおならをした生徒に反省文を書かせるといった不祥事がありました。そのような新聞沙汰は氷山の一角で、それに準じるような不適切指導は他にも多数行われていることが考えられます。


こういったことが行われることの背景には、その教員・指導員の人格的な問題もあるでしょう。
しかし、もう一方ではスキルや適切な知識不足の問題があると言えます。

・子供の成長とはどういうものか?
・子供のどこを見るべきか?
・個々の子供の問題に対してどういった対応が必要か?
・具体的なアプローチとしてどう関わることで、子供の成長が得られるのか?

こういったことは、スキルとして明示し持つことができます。
しかし、支配におちいってしまう人は、こういったスキルが不足しています。

人格的な問題を除けば、支配してしまう人ももしかすると適切なスキルさえ獲得できれば、そういった不適切指導におちいらずに済む可能性があります。



◆保育でも

保育界でも問題の構造は同じです。
保育上、最大の問題といえるのは、支配の保育が行われているところです。

支配が強い保育でなければ、差はあってもそれなりの保育にはなります。

しかし、「子供の上手な支配」=「良い保育」と考えている(もしくはそれが当たり前になっており考えもしない)ところは、保育の名に値しないレベルのことをしているところも多数あります。


「事故を防ぐために支配せざるを得ない」という言葉を聞くことがあります。
これは詭弁です。

それを言う人達は、支配の保育しか知らないので、支配を強めることでしか子供の安全を保てなくなっています。

しかし、そもそもの問題。
「子供を支配するから、大人の思いから逸脱する子を作り出していること」に気がつけません。

最初から支配をやめれば、支配的・管理的・威圧的な保育をする必要などないのです。
このことに気づかない人があまりに多いです。

教員にもこのスタンスの人が大勢います。



◆自主性・主体性

学校教員のこんな研修がありました。
講師は、僕ではなく著名な大学教授です。

その教授は、自主性と主体性を用いて子供にアプローチすること。
また、それを最初の段階からすることで、そもそも支配的・管理的な関わりが必要ないことを丁寧に伝えていきました。
そのときは、その教員達もウンウンと聞いています。

その研修が終わり、参加した教員達がなんとなく雑談になったとき、「そうは言っても子供たちを管理しなければクラス運営なんかできないよ」「大学教授は現場を知らないんだ」といった話になり、それにそこにいた教員達のほとんどが賛同して終わったということがありました。


ここにあるのは、教育理念や教育原理を建前としかとらえず、自己流のやり方に軍配を上げてしまう考え方です。専門職としてはあまりに非理性的、非客観的です。
もっと下世話に言えば、自分のやり方に省みる視点を持てず、お互いに傷をなめ合ってしまう態度です。

支配的な関わりが単にメソッドだけでなく、自身の内部、人格の中に取り込まれてしまうがゆえにこのようなことが起こると言えます。

学校や保育施設は閉じた環境になりやすく、外部の風が入らないことには容易に是正や変革が起こらないという弊害がここにはあります。

だから、不適切が慢性化すればいずれ新聞沙汰の不祥事も起こるべくして起こってしまいます。



◆支配で人は育たない

これは簡単な理屈です。建前としては多くの人がそれに賛同します。
しかし、無自覚に「支配」を実践の中でしている現実があり、そこに一石を投じることが保育や教育の安定化に向けて必要なことだと僕は感じます。

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● COMMENT ●

リアルタイムな内容でした。
我が家も支援級にこどもを通わせていますが、一人の介助員の先生がかなり支配的な関わりをするので気になっています。
プロ意識をもって厳しくやってます!というオーラが出ていますが、おとーちゃん先生の言うとおり、ただの実力不足としか…。自分で児童たちを刺激して、それを叱りつけて何がプロなんでしょう?
しかも、言い返せない言葉が遅い子や知的障害のある子がターゲットになってしまってます。うちの子は言葉が達者なのであまりやられてはいないみたいなんですが「最近は⚪⚪君が厳しくされてる。前は××君だった。」と報告してきます。
担任に言いたいんですが、改善されるのか…悪化するような気すらして。
悩ましいです。

小学校低学年の長男のクラスも、まさに支配と管理のやり方で子ども達をまとまらせようとしています。
子ども達に「ルールを徹底すること」を要求し、ルールからはみ出すことを追及する方向性でいっているようです。そのせいでしょうか、垣間見る子ども達の様子は、他人の些細なミスやルール違反(それが直接自分に関係なかったり、周りに迷惑を及ぼすようなものでなかったとしても)を正論で武装して過剰に「叩こう責めよう」としている、余裕のない姿が多くなってきたように思います。
強烈な支配をしないとクラスが成り立たないって、ほんともう現在の学校の在り方は制度崩壊を起こしてるとしか思えないです。でも、学校の形態はこれでずっとやってきたんだからこれが当たり前、そこに異議を唱える方が常識外れでおかしい、というように受け止められてきているのでしょうね。

支援学級を視野に入れていたので何校か見学しました。
今いる学区は普通学級と同じように厳しくしていると言っていました。
駄目という発言が多く、工作のときに子供達が選んだ色を「この色の組み合わせはおかしい」と言って
違う色にするよう指導していました。
私は工夫したら綺麗な組み合わせになると思っていたので驚きました。
子供達も見学の人が来ることを知らなかったのか戸惑っていました。
あらかじめ子供達に見学の人が来ることを伝えていたのは一校だけでした。
そこの子供達は比較的のびのびしていたように思います。

置き勉でも個人個人で対応をかえられないように
学校って柔軟に対応するのが苦手なんでしょうね。



放課後デイに勤めてます。
私の職場は幸い素晴らしいスタッフが多く、毎日とても勉強させてもらってます。

しかし、一人以前支援級に勤めていたというスタッフがいるんですが、その方はやはり最初の頃はとても支配的な感じで、「そんな緩い感じでどうする」という感じでした。

そのスタッフも今ではとても受容的になりましたが、最初に支配的なところで働いてずっとそれが当たり前の方たちには受容的な関わりのモデルがないわけで。
そんな方たちが、既に支配的な関わりをされている子供相手に、周りの先生たちも支配的な中で受容的な関わりをするというのはとても大変なことなんじゃないかと思います。

うちのデイにも親御さんが支配的であろうお子さんが何人かいるんですが、そんなお子さんたちはさすがの受容的なうちのスタッフも手をこまねくほどなので、そもそも支配的な関わりをしてきた方たちがモデルなくそのようなお子さんを相手に受容的な関わりをしようとするというのは、それはもう大変なことなのではないかと。

支配的な関わりというのは、基本的に相手が悪いになるから考えなくて済む。だから楽なんだと思います。受容的な関わりをしようとすると大変ですから。
先生たちはそうやって一人ひとりどうしたらいいかって考えてる余裕がないんじゃないかなあと思うと、先生ばかりを責めるのも気の毒かなあと。
好きで支配的な教育をしてる先生っていないと思うんですよね、好きで虐待をしている母親がいないのと一緒で。

今はスポーツ界でパワハラ問題が続々表面化してきてますよね。
世の中はやはり受容的な方向には向かってきているんじゃないかなとは感じます。
昔は当たり前だった体罰が絶対ダメになってきているように、昔は当たり前だった支配的関わりが時代遅れになる日が早く来るといいなと思います。


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