外に出すこと - 2018.12.10 Mon
「お父さんが、子供が言うことを聴かないとベランダの外に出すので困っています」
子供に言うことを聴かせようと、外に閉め出すこと。
これは疎外を使った大変強い否定であり、他者を支配しようとする行為です。
ここで子供が受けること。
・家に入れてもらえない(小さい子ほどそれが一時的なものであるとは考えません)という、自身の安心の基盤を奪われる恐怖。
・信頼すべき人が、自分を攻撃することがあるという事実
・理由があれば他者を攻撃していいという経験
・他者から支配されたことによる心の抑圧、負荷
もし、これと同種のものを会社で考えるとすると。
「あなた今月のノルマ達成していないから、部署にあなたの机はありません。廊下ででも仕事して下さい」というモラハラ。
学校で考えると、
「あいつ○○だから仲間はずれしようぜ」といういじめ。
(○○のところは、勉強ができるでも反対にできないでも、太っているでも、小さいでも、なんでもよい。口実になればいいのでそこに理非はいらない)
子育ての中で無自覚に使われることのある、外に閉め出すという行為。
これは、純粋にモラハラであり、それを子育てとして使うことで、子供にモラハラ体質や、被モラハラ体質を持たせる確率を上げることになります。
そしてこのことは、家庭外でいじめをする子に向かわせる可能性を高めます。
なぜなら、
・他者をいじめる理由(支配による抑圧、負荷を受ける)
・いじめる方法(他者の非をあげつらって攻撃的なことをする)
・いじめの大義名分(理由があれば、そのハラスメント行為が正当であるという主張)
この3つを、経験的に獲得させられるからです。
僕は、これを子育ての中で使ってしまう人を責めて書いているわけではありません。
これまでの子育て、また大人の置かれている社会に、こういったモラルハラスメントの考え方とまた実際のその行為が満ちており、それ気づけなくなってしまっていること。
子育てだけでなく、ハラスメントやいじめがない社会を今後作っていくためには、ここに気づいて、この負の連鎖を断ち切る役目を今子育てする世代の人が果たさなければならないことに気づいて欲しいと思っています。
さらに見ると、この行為をする人は対人上の経験を奪われているとも言えます。
それは、する側の大人が、支配関係でないところで子供と関わる方法を知らないという問題です。
子供時代、家庭の子育てで支配を受け、学校で支配を受け、部活で支配を受け、社会で支配を受け。こういった中で生きてくれば、我が子にも支配で対峙してしまうことはある種の必然です。
では、支配以外の関わり方とはなんでしょう?
それは、信頼による関係です。
子供ほど親を信頼している存在はいません。
向こうから信頼を寄せてくれているのだから、親はなにも子供を短絡に支配する必要など、これっぽっちもないのです。
しかし、私たち大人のもつ先入観や、これまでの経験が子供に支配で関わることを無自覚にとらせてしまいます。
結果、子供も親も好ましくない状況におちいってしまいます。
このことは大変残念なことです。
親は子育てを楽しめなくなり、子供は家庭が自分の居場所に感じられなくなってしまいます。
また、ここから派生する問題。
父親がそれをした場合、それによる子供の抑圧、負荷の解消を結果的に母親がするはめとなり、別の時にゴネやぐずりが母親に向かいます。
これを受けるのはとてもしんどいことなので、母親も子供の相手が大変、子育てが大変ということになりかねません。
母親がした場合でも、別の時にゴネやぐずりなどの形で、子供はその負荷をぶつけてくるでしょう。
これでは原因と結果がサイクルしてしまう悪循環になるので、子供への関わりによる疲弊が避けられません。
支配的な強い関わり
↓
言いなりなどの弱い関わり
↓
無視や疎外などの冷たい関わり
それゆえにこのような、強い関わりと弱い関わりが交互に顔を出すような子育てになってしまっている人が少なくありません。
支配ではなく信頼関係を使った関わりを、あらかじめ認識しいていればこの状態は避けられる可能性もあるでしょう。
では、信頼関係を使った関わりとはどういうものなのかということになります。
ここにもいくつもネックになることがあり、それをすることが日本の子育てでは難しくなっています。
これについてはまた時間のあるときに書けましたら。
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昔、イギリスでホームステイしていた時に、タイムアウトという子どもとの関わり方を間近で見ていました。私自身も子どもが危ないことや人を傷つけるような行為をした時、子どもを少し離れたところに移動させて、しばらくそこにいて考えてねと時間をおくというタイムアウトを何も考えずにしていました。でも、今考えると疎外による強い否定のかかわり方だったんじゃないかとこのブログを読んで反省しました。
子どもにしてみれば、信頼している親からあっちに行ってと否定されたことになりますよね。
子どもを支配するなんて嫌だと思ってた自分が支配のかかわりをしていたことに正直ショックを受け、深く反省しました。
でも、気付けて良かった!子どもとの関わり方見直し、心のパイプのつながりをもっともっと太くして、子どもからの信頼回復していきたいです。
これからもブログ楽しみにしています。