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2019-05

外に出すこと vol.2 - 2018.12.11 Tue

前記事のコメントで、「タイムアウト」への言及をいただいたのだけど、必ずしもタイムアウトが、家の外に出すといったハラスメント的支配行為と同じではありません。

ただし!
その使い方、使う人によっては、ハラスメント的支配にはならずとも、疎外として使われてしまう場合はあります。

適切に使う分には、子供の自立、大人側の依存の助長を防ぐ、良い関わりとなります。

少しこの違いを見ていきましょうか。





まず、外に出すという行為。
これは、理由はどうあれ、「人が嫌がることをすることで、子供を○○にする」という関わりです。

この○○の部分がどんなに正しいことであったとしても、相手が嫌がることをして、その相手の行動を作り出そうとしています。

その○○の部分が、反省をうながすことを目的としたものであっても、嫌がることをを用いているわけです。
一面の目的の正しさが、行為の不適切さを隠しているだけで、子供を伸ばそうと思ったときこれは少しも有効ではないのです。


もっとあからさまに「罰」として使う場合、それはなおさら支配でしかありません。
体罰を使う人も同じ理屈になっています。

正しさにかこつけて支配をし、それが完成した状態に自己満足することが目的化していってしまいかねません。

保育士や学校教員などでこの状態になっている人も少なくありません。



タイムアウトは、感情の応酬になりがちな場面において、一旦そのやりとりからはなれ、自分の感情の整理や、思考をする時間をとらせる手法です。

これはかならずしも、反省や罰ではありません。
また、子供の行動を非難し、大人の望む通りに作り替えようとするものでもありません。


しかし、人によってはタイムアウトという名目でそれをする人もいます。

冷たくし疎外することで、子供への否定の感情や自分が気に入らないという負の感情を知らしめることに使ったり、許容しないという大人の姿勢を見せつけることで、子供にすがりつかせ、自分への依存を強め、自分の顔色をうかがわせるように仕向けるやり方です。

コメント下さった方が、タイムアウトの手法にあまり好ましさを感じなかったのは、その人たちがこういった姿勢でしていたからかもしれません。


僕はタイムアウトという言葉を使っていませんが、「葛藤の保障」というお話はこれまでにもしたかと思います。


・冷たく突き放すのではない

・否定でも肯定でもない態度で見守る
 (直接視野に起き続けるという意味ではない、大人自身も子供とその事象から離れてもよい)

・謝ることや反省することを目的とするのではない

・短期的に結果(子供の行動)を作り出すことが目的ではない(短期的な結果を望むと支配になる)

・子供自身が考え、自分と向き合い行動する中で自立的にに身につけることを長期的に目指す(子供は何度も失敗しながら経験的に学ぶため)



このような自立的な成長を目指すための手法のひとつがタイムアウトです。僕自身は「葛藤の保障」と呼んでいます。

外に出す、閉め出すという行為は、結局のところ「自分に従え」になります。子供を伸ばそうとする行為ではありません。
いじめで真っ先に使われる方法が「仲間はずれ」であるのと無関係ではないでしょう。


また、このスタンスで子供に関わっている人は、普段から子供へ支配による負荷をその人本人は気づかないまま子供に蓄積し続けて行っています。
そういった状況にあると人(子供も大人も)は、時にその人への抵抗や反発を示さざるを得なくなります。
するとこのような外に閉め出す行為をする場面が生まれ、そういう場面で強い支配としての不適切行為が(それをする人からは)正当な行為として行われてしまいます。

つまり、支配を子育ての中で使うことを許していると、マッチポンプになってしまうわけです。



タイムアウトの運用や解釈が難しいのは、適切な使い方と不適切な使い方の境目が、それをする側の大人の姿勢、内面的なものに由来しているからです。

同じ場面で同じ関わり方だとしても、その人が子供への否定的な感情、うんざり感などから関わってしまうと、疎外→依存の強化として子育ての悪循環ともなりかねません。


あっけらかんとする。
否定でも肯定でもない態度。
あまり入れ込まない姿勢。


ある意味では、どこか他人事のように子供の姿をとらえる姿勢とでもいいましょうか。
冷たくではなく、ドライに。

「私がこの子の行動を正しくしなければならない!」というような思い詰めた姿勢だとうまくできないです。
だから、規範意識が強い人、真面目すぎる人、神経質な人、過干渉な人、すでに子育てに疲弊してしまっている状態の人には、この関わり方を勧められない場合もあります。
そのケースだと、疎外としてのタイムアウトになりやすくなってしまうからです。

冷たくではなく放っておけること、これが意外と難しいのです。
すでにこのブログで書いていることでは、「信じて待つ」などの語句で検索すると関連することが出るでしょう。


子育てを「しつけ」と考えている場合も、どうしても罰や反省、疎外の方に流れやすくなります。
しつけという考え方そのものが、大人が上、子供が下という支配構造を前提としているからです。


適切にタイムアウトが使える人は、相手の子供を一人の人格として扱うことができるということも意味しています。
ここ、この前のオビ=ワンの話と通じていることがわかるかと思います。

外国では自我の尊重ということが、その歴史的社会的な経緯なども相まって、それが子供にも及ぶものとなっているのに対して、日本ではどうしても子供を親の従属物のようにとらえる意識が良くも悪くも強いので、こういった関わりがドライにできずウエットになってしまいます。

ウエットになるというのは具体的には、支配を避けようとすると依存の助長になってしまう現象として表れます。ここが前回の終わりに「ここにもいくつもネックになることがあり」と言ったことでもあります。


関連記事

● COMMENT ●

タイムアウトについて、まさに自分がモヤモヤしたものを感じてきたのは、心に余裕がない時など自分の精神状態によっては図らずとも疎外になってしまっていたのではないかという不安な気持ちだったのだと思います。記事を読んで、モヤモヤの正体やタイムアウトをネガティブに捉えていた気持ちの原因が分かりました。

子どもと真剣に向き合っていると、心を丸裸にされているような気持ちになる時があります。精神的な自分の未熟さを感じたり、自分の弱さを痛感したり。。。
でも、子どもとゲラゲラ笑いながら、楽しい時間を過ごして、自分も相手も尊重する姿勢で生活していると、子どもとの関わりを通じて、人生や他者との関わりについて学び直ししているような、逆に子どもに育ててもらってるような気持ちになります。
周りに助けてもらいながら、肩の力を抜いて子どもとの関わりを楽しめるようになったのもこのブログを読み始めてからです。
これからもブログ楽しみにしています。



否定でも肯定でもない眼差し

私が荒れている子どもにしてあげたいのは、まさにこの「葛藤の保障」だと感じました。
先日、息子の友達(小2)と話していた時のこと。担任の先生に腹を立てているらしく、給食をボイコットして外に出ていました。そして「先生ムカつくから殺してやりたい」と口にしたのです。私は「そんなひどい言葉を軽々しく使ってはいけない」と言いたかったですが、普段から“よく躾けられた”姿を見せているその子に対してそれを言っても、何の響きもないだろうと感じ、何を言ったものか考えてしまいました。
「じゃあ殺すの?」と聞くと「ううん、しないよ」と答えました。そのあとは他愛もない話を続け、気が済んだのか、「じゃあ教室に戻る」と言って教室に戻って行きました。
この子は多分、過激な表現として出さざるを得ないほどの負の感情を持て余しており、そしてそれの適切な処理の仕方が分からなくて苦しいんだろうなと思いました。
道徳性を持ち出してそれを否定してしまうのは簡単ですが、それをしてしまうとこの子は分かってもらえなさに更に傷つくだけでしょう。かと言って、積極的に肯定していいとも思えませんでした。その肯定に過剰に依存し、認知を歪ませてしまうのではないかと思うからです。
否定はしない、けれども肯定もしない姿勢。
何度も何度も大人から指示や命令を出され、でも望ましい行動が出来ずに苦しんでいる子達は、自ら葛藤してそれを乗り越えるしかないと思うし、その手助けとして大人はただ否定も肯定もせずその葛藤を見守ることが大切ではないかと思うのです。

境目

「タイムアウトの運用や解釈が難しいのは、適切な使い方と不適切な使い方の境目が、それをする側の大人の姿勢、内面的なものに由来しているからです」―。この観点はさすがですね。子どもが感情的(パニック・意味不明・やけくそ)になっている場合に、親として葛藤を適切に保証するように関われるかは、親の成熟度や子ども観が試練にたたされます。あれこれの方法論の背景に、「子供を一人の人格として扱うことができるという」ことが、問われているのかと・・・。


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