FC2ブログ

2023-03

職員研修 社会福祉法人労道社 姫井保育園 - 2018.12.13 Thu

早いものでもう12月です。
今年は、保育研修に力を入れたので多くの園にお邪魔して研修をしてきました。
いくつか紹介しようと思います。

山口県は山陽小野田市にあります姫井保育園。
 リンク:姫井保育園ホームページ



これまで下関市に行くことはしばしばあり、宇部空港から下関への途中で見かける小野田市という地名は知っておりました。
園は少し国道から入ったところにあり、川あり畑の点在するのどかなところです。
スケジュールの関係で、ゆっくり園庭や保育室を見る時間はなかったのですが、その環境設定から一目見て配慮のある保育が普段からなされていることがわかります。
よくお寿司屋さんなどに、「細部まで手の入ったいい仕事」といった表現をすることがありますでしょう。まさにあれの保育版です。
園庭の木やベンチ、保育室のコーナーや人形の置き方まで全てに意味があって考えられています。本当に、時間があれば写真を撮ってきたかったところです。


理念をおろそかにせず向き合い形骸化させることなく、実践と結びつけていく。
保育は日々のことだけに、余計にこのことが難しいです。しかも、気負ってそれをやるのではなく地道に続けてきたなかでしっかりと作り上げられてきたもの。
姫井保育園には、明らかにそれがありました。

なんと設立は、大正11年だそうです。
昔からあるから良い、新しいから悪いということはありません。むしろ、昔からあるのに堕すことなく続いてきたことにすごさを感じます。
創設者 姫井伊介氏(1881~1963)は労働運動、人権運動から出発しその経緯で保育施設を開設しているとのこと。

姫井伊介 (シリーズ福祉に生きる) 大空社

そういった源流を持つ確固とした理念が、保育の細部にまで反映しているのでしょう。
(姫井保育園HP内のコラムにはそういった理念や思いの一端が表れています)


いま都市部では、園庭もない、床面積に余裕もない、単なるスペースという意味だけではなく子供が安心して過ごせる環境を用意したくてもできないといったさまざまな問題に直面しています。そこにもいろんな事情があり、やむを得ない面もあるのですが、現にこれだけの保育環境を用意できるところがあるという事実に直面すると、なぜ、現代の保育行政はこちらの方向に発展できなかったのだろうと、いろんな思いがよぎります。
こちらの姫井保育園は、「保育施設とはかくありたい」とまさにそういった保育園でした。



◆「受容と信頼関係の保育」 

研修内容は、「受容と信頼関係の保育」をテーマとしてグループワークなどを取り入れながらお伝えしました。

実はこちらは一昨年にお話をいただきまして、二年がかりで呼んで下さいました。
保育の研修をする人は、必ずしも少なくありません。大学教授なり著名な人なり大勢おります。それでもわざわざ、僕をお名指しで依頼していただけるというのはありがたいことです。

それもあって、大変力を込めて組み立てた内容で臨みました。
おそらく、あの保育設定を見ればすでに高いレベルでの保育実践がなされていたことでしょう。それでも、その実践の意味の再確認や、子供に関わる際の保育者のスタンス、現代の家庭・子供のあり方の変化などお伝えできるものがあったと思います。

後に職員の方から感想をいただいたところ、「これまでのどの研修よりも楽しく学ぶところのあるものでした」とおっしゃっていただけました。大変ありがたいです。


末尾に、研修のレジュメから項目だけ抜粋して記載しておきます。

「受容と信頼関係の保育」は、保育の全ての基礎となるものです。
ここを理解することで、保育そのものが変わります。
またそれだけでなく、保育者の意欲の向上にもつながります。保育の仕事の意味を保育者が認識・再確認することにより、保育者の疲弊を防ぎ、エンパワーメントすることにも寄与します。

僕が特に保育研修の柱としているものが三つあります。

1,受容と信頼関係の保育
2,自主性・主体性の保育
3,子育て支援

そのもっとも最初に来る部分がこの「受容と信頼関係の保育」です。
もし、施設での研修や、自主勉強会などお考えでしたら、僕のホームページの方からどうぞお問い合わせ下さい。



「受容と信頼関係の保育」レジュメ

1,はじめに

2,グループワーク その1

3,子供の育つメカニズム
 a,子供の姿を作る2つのルート
 b,子供が育つために必要なもの

4,成長のメカニズムを踏まえた実践のために
 ◆成長のメカニズムとは? 
 ◆「しつけ・指導」のスタンスから、「援助」のスタンスへ 

 ◆「しつけ」とはなにか? 
 a,「しつけ」の実際
 b, 子供への影響
 c,「しつけ」がもたらす保育者の心理への影響
 
 ◆援助のスタンス
 

5,グループワーク その2

6,受容と信頼関係の保育
 a,信頼関係
 b,肯定の積み重ねで子供を伸ばす関わり方(以下のケース1参照)
 c,関わり以前にある肯定
 d,子供の姿を構成するもの
 e,生活の力
 f,「させる」から「する」へ

 ◆ケースに見る実践
  ケース1 ものの取り合い
  ケース2 午睡
  ケース3 泣いている子への対応
 
7,おわりに
 ◆ 保育における「個性の尊重」とは
 ◆保育者が「全面肯定ができる最後の砦」になっている現代




関連記事

● COMMENT ●


トラックバック

http://hoikushipapa.jp/tb.php/1258-22cceaec
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

保育士バンク!コラム ばんそうこう保育 保育の見えない落とし穴(前後編) «  | BLOG TOP |  » 保育者として「子供を信じる」ことができていますか?(保育士バンク!コラム)

ごあいさつ

ただいまコメント欄での子育て相談は休止中です。 お悩みのコメント下さっても回答を差し上げることができません。 申し訳ありませんが、過去記事、すでにある返信コメントなどを参考になさってください。 多くの相談への返信がすでにあります。関連するカテゴリーから探す、検索を使って探すなど利用してみてください。 多忙になってしまい、コメントへの返信ができなくなってしまいましたが、お寄せいただいたコメントにはすべて目を通し更新の励みになっております。ありがとうございます。

最新刊

よければレヴューも書いてね!

前作!

最新記事

最新コメント

プロフィール

保育士おとーちゃん

Author:保育士おとーちゃん
当ブログはあくまで個人ブログであり、記事の内容および相談・コメントの返信等は効果を保障するものではありません。
ご利用に当たっては自己責任でお願いします。

楽しく無理のない子育てを広めたいと2009年ブログ開設。多くの方の応援があって著作の出版や講演活動をするようになりました。 現在は、子育て講演や保育士セミナーの他、『たまひよ』や『AERA with Baby 』等の子育て雑誌の監修やコラム執筆。『ジョブデポ保育士』の監修や育児相談などをいたしております。

講演等のご依頼

講演・ワークショップ等のご依頼はFacebookのメッセージ または『保育士おとーちゃんホームページ』 http://hoikushioto-chan.jimdo.com/ よりどうぞ。

カテゴリ

はじめにお読みください (2)
【まとめ】記事 (2)
子育てノウハウ? (81)
子育て日記 (13)
保育園・幼稚園・学校について (120)
日本の子育て文化 (209)
おもちゃ (27)
叱らなくていい子育て (10)
排泄の自立 (11)
『魔の2歳児』 (5)
子育てまめ知識特集 (4)
あそび (41)
おすすめグッズ (10)
おすすめ絵本 (23)
食事について (15)
過保護と過干渉 (47)
満たされた子供 (7)
早期教育 (20)
我が家の子育て日記 (96)
心の育て方 (107)
相談 (86)
子供の人権と保育の質 (90)
その他 (70)
未分類 (24)
講座・ワークショップ (142)
父親の子育て参加について (3)
雑誌・メディア (48)
子育てに苦しむ人へ (27)
保育研修 (3)
note有料記事 (4)
保育について (16)
性教育について (6)
子育てオンラインサロン (1)

保育ひろば

保育ひろば

楽天

FC2カウンター

全記事表示リンク

全ての記事を表示する

おしらせ♪

当ブログはリンクフリーです。トラックバック・リンクはご自由にどうぞ。 しかし、本文・コメント・その他を含めて著作権は私にありますので、引用・転載する場合は連絡をお願いします。また引用元の記載も併せてお願いします。 なお写真の転載はお断りいたします。

ランキングに参加しています

検索フォーム

月別アーカイブ

リンク

このブログをリンクに追加する

QRコード

QRコード

アクセス解析