職員研修 社会福祉法人労道社 姫井保育園 - 2018.12.13 Thu
今年は、保育研修に力を入れたので多くの園にお邪魔して研修をしてきました。
いくつか紹介しようと思います。
山口県は山陽小野田市にあります姫井保育園。
リンク:姫井保育園ホームページ
これまで下関市に行くことはしばしばあり、宇部空港から下関への途中で見かける小野田市という地名は知っておりました。
園は少し国道から入ったところにあり、川あり畑の点在するのどかなところです。
スケジュールの関係で、ゆっくり園庭や保育室を見る時間はなかったのですが、その環境設定から一目見て配慮のある保育が普段からなされていることがわかります。
よくお寿司屋さんなどに、「細部まで手の入ったいい仕事」といった表現をすることがありますでしょう。まさにあれの保育版です。
園庭の木やベンチ、保育室のコーナーや人形の置き方まで全てに意味があって考えられています。本当に、時間があれば写真を撮ってきたかったところです。
理念をおろそかにせず向き合い形骸化させることなく、実践と結びつけていく。
保育は日々のことだけに、余計にこのことが難しいです。しかも、気負ってそれをやるのではなく地道に続けてきたなかでしっかりと作り上げられてきたもの。
姫井保育園には、明らかにそれがありました。
なんと設立は、大正11年だそうです。
昔からあるから良い、新しいから悪いということはありません。むしろ、昔からあるのに堕すことなく続いてきたことにすごさを感じます。
創設者 姫井伊介氏(1881~1963)は労働運動、人権運動から出発しその経緯で保育施設を開設しているとのこと。
姫井伊介 (シリーズ福祉に生きる)
そういった源流を持つ確固とした理念が、保育の細部にまで反映しているのでしょう。
(姫井保育園HP内のコラムにはそういった理念や思いの一端が表れています)
いま都市部では、園庭もない、床面積に余裕もない、単なるスペースという意味だけではなく子供が安心して過ごせる環境を用意したくてもできないといったさまざまな問題に直面しています。そこにもいろんな事情があり、やむを得ない面もあるのですが、現にこれだけの保育環境を用意できるところがあるという事実に直面すると、なぜ、現代の保育行政はこちらの方向に発展できなかったのだろうと、いろんな思いがよぎります。
こちらの姫井保育園は、「保育施設とはかくありたい」とまさにそういった保育園でした。
◆「受容と信頼関係の保育」
研修内容は、「受容と信頼関係の保育」をテーマとしてグループワークなどを取り入れながらお伝えしました。
実はこちらは一昨年にお話をいただきまして、二年がかりで呼んで下さいました。
保育の研修をする人は、必ずしも少なくありません。大学教授なり著名な人なり大勢おります。それでもわざわざ、僕をお名指しで依頼していただけるというのはありがたいことです。
それもあって、大変力を込めて組み立てた内容で臨みました。
おそらく、あの保育設定を見ればすでに高いレベルでの保育実践がなされていたことでしょう。それでも、その実践の意味の再確認や、子供に関わる際の保育者のスタンス、現代の家庭・子供のあり方の変化などお伝えできるものがあったと思います。
後に職員の方から感想をいただいたところ、「これまでのどの研修よりも楽しく学ぶところのあるものでした」とおっしゃっていただけました。大変ありがたいです。
末尾に、研修のレジュメから項目だけ抜粋して記載しておきます。
「受容と信頼関係の保育」は、保育の全ての基礎となるものです。
ここを理解することで、保育そのものが変わります。
またそれだけでなく、保育者の意欲の向上にもつながります。保育の仕事の意味を保育者が認識・再確認することにより、保育者の疲弊を防ぎ、エンパワーメントすることにも寄与します。
僕が特に保育研修の柱としているものが三つあります。
1,受容と信頼関係の保育
2,自主性・主体性の保育
3,子育て支援
そのもっとも最初に来る部分がこの「受容と信頼関係の保育」です。
もし、施設での研修や、自主勉強会などお考えでしたら、僕のホームページの方からどうぞお問い合わせ下さい。
「受容と信頼関係の保育」レジュメ
1,はじめに
2,グループワーク その1
3,子供の育つメカニズム
a,子供の姿を作る2つのルート
b,子供が育つために必要なもの
4,成長のメカニズムを踏まえた実践のために
◆成長のメカニズムとは?
◆「しつけ・指導」のスタンスから、「援助」のスタンスへ
◆「しつけ」とはなにか?
a,「しつけ」の実際
b, 子供への影響
c,「しつけ」がもたらす保育者の心理への影響
◆援助のスタンス
5,グループワーク その2
6,受容と信頼関係の保育
a,信頼関係
b,肯定の積み重ねで子供を伸ばす関わり方(以下のケース1参照)
c,関わり以前にある肯定
d,子供の姿を構成するもの
e,生活の力
f,「させる」から「する」へ
◆ケースに見る実践
ケース1 ものの取り合い
ケース2 午睡
ケース3 泣いている子への対応
7,おわりに
◆ 保育における「個性の尊重」とは
◆保育者が「全面肯定ができる最後の砦」になっている現代
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