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2019-07

健全な保育施設運営のために - 2018.12.27 Thu

先日、備忘録としてTwitterに連投していたものを加筆修正して転載。

いまでもしばしば保育士から寄せられる話に、異常な労務管理をしている園のことがある。これらの園は、職員に精神主義を強いていることが多い。
こういった保育施設の問題点について書いたもの。

「奉仕の精神」「福祉の精神」「愛情を持って」などの精神主義を保育のバックボーンにする不健全さ について。





これらの言葉または理念は、一見すると保育を向上させるために役立つように感じられる。
しかし、これは必ずしも健全に使われるとは限らない。


むしろ実態は逆だろう。

有給はあるのに取れない雰囲気。取らせない園長、理事者の対応。
休憩時間を取らせない。
サービス残業を強要される。もしくは、強要されているわけではないが、暗黙の了解でそれをしなければならない雰囲気が組織に形成されている。
持ち帰り残業の多さ。
始業時間以前の出勤が常時求められる。などなど。


こういった保育士達に課せられる様々な過負荷があるとき、これらの精神主義的な言葉が過負荷に耐えるための自己暗示として自分に向けられる。

これはちょうど夫からモラハラを受ける妻が、必死に、「あの人にもいいところはある」と自分に言い聞かせたり、「みんな同じような状況にあるのだから、私だけがわがままを言ってはいけない」などと自分を騙そうとするメンタリティと同じである。


かくして保育職場は不健全な病みを抱える。病んだ組織は誰かをいじめることで上辺の健全さを保つ。
ゆえにモラハラや他者へのパッシングが起こる。
だから、有休を取る同僚にイヤミを言ったり、残業しないで帰ろうとする職員の悪口陰口を言ったりせずにはいられない心理を持たされてしまう。

そんなことをしても自分の首を締めることになってしまうのだが、精神主義的な言葉や体質でその枠組みを変えられない状況に置かれているので、そのような不適切なはけ口を作り出さずにはいられなくなる。
場合によっては、園児や保護者への悪口などへ向かうこともある。


こういったことをそこの職員達もこころよく思っているわけではない。でも、なぜか保育職場はこの負の構造を断ち切れない。

これには二つの理由がある。
一つは、その構造は使用者側に圧倒的に有利だから。
職員は有休も取らず、タダ残業にも不平も言わず黙々と従う。この状況を、使用者側はなかなか進んで無くそうとは思わない。


もう一つは、福祉の精神、奉仕の精神、愛情といった精神論は、それらがモラリスティックであるだけに反論しがたい概念であるから。

もともとが、誰かを責めることであやういバランスを取っている職場であれば、それへの指摘をする人間は、簡単にいじめの対象となってしまう。
そうでなくとも、一般的にモラルとされることに異見を言える人はそう多くない。



さてでは、この状況で保育が行われるとどのようになるだろうか。

保育士は心身ともに疲労した状況におかれる。この負荷は、出しやすいところに向けられる。
保育園でもっとも出しやすいところとは子供に他ならない。


保育の中で目にする規範から逸脱する子などに対するとき、過負荷を受けている保育士は、その子が間違ったことをしていることを理由に叱ったり怒ったり、無視したり疎外したり、罰を与えたりを正当化していく。

先ほどの同僚へのいじめが起きるのと同じく、ここにも理由をつけて他者を攻撃するというモラハラがある。

使用者が職員をモラルで縛り
      ↓
職員が同僚をモラルで責め
      ↓
職員がモラルを用いて子供を否定し
      ↓
子供の不適切な姿で、使用者が職員を責め


このように精神論で保育をスタートしていくと、何重にもモラハラの入れ子構造が作られる。

保育職場は、熱意や善意や子供への好意を持った人が入ってくるが、組織の体質によってその保育者がモラハラ体質に作り変えられてしまう因子を持っている。
だから、保育の職場は一歩間違えるとモラハラが大変多い職場となる。


また、そういった保育施設の体質から、子供への関わりをモラハラを使った支配を保育として身につけさせられてしまった保育士が、もしそれと同様のことを自分の子供に対してしてしまうと、その子育ては大変問題の多いものとなる。
保育士ゆえに、自身の子育てが大変順調なものとなっている人もいるが、その逆もまた多い。
本来なら子育てに有利な経験を持っているはずの保育士が、自身の子育てで自己実現できないというのは本当にやるせない。

保育施設が精神主義をバックボーンとして職員に負荷を強いていくこういった悪弊は早々にあらためる必要がある。さもないと、仕事内容以前のところで離職していく人が後を絶たない。
これは保育業界全体の衰退を招く。

次回、この状況を変えるための考察を述べていく。

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