相談を受ける人の決めつけ - 2019.01.28 Mon
この言葉、もうずいぶん昔から世間に流布している。
一面の事実を含んでいるし、もっともらしく聞こえてしまう言葉だ。
僕自身もこの言葉を複数の人から何度となく聞くのだが、そのたびに違和感を感じてしまう。
一般の人が世間話の中で言う分にはまだいいのかもしれないが、教員や保育士といった、人の相談を受けることもある立場の人から自信満々に言われてしまうと戸惑ってしまう。
なぜなら、そもそもそれはいろんな面で間違っているからだ。
それは「個別性の原理」という相談の基本のキに反している。
ざっくり言えば、「相談者は一見同じようなことで悩んでいたとしても、その悩みは皆違う。だから、決めつけをせず、個々を尊重して耳を傾けなければならない」ということ。
「相談する人はすでに自分で答えを持っている」というのは、決めつけ以外の何ものでもない。
「そういう人もいるかもしれないし、そうでない人もいるかもしれない」という見地に立っていなければならない。
実際に、相談前から自分で方向性を見定めている人もいれば、そうでない人もいる。また、そもそも問題や悩み自体に気づいていないという人だっている。
そういう人であれば、そこに問題があることや、どこどこに解決のいとぐちがあることを示唆したり、そこに気がつけるような視野を広げるお手伝いをする必要がある。
「相談してくる人は、すでに自分で答えを持っている」
このフレーズは、皮肉にも「下手なことを言う人ならば黙って聞いているだけの方がまし」という意味で、現実には機能している。
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