子育ての前にあるもの vol.1 ~自己受容と自己肯定~ - 2019.03.14 Thu
座談会なのでいろいろなお話になるのだけど、親自身の自己受容と自己肯定にからむお話を多くしたように思います。
実は、子育て以前のところで子育ての難しくなる原因を抱えている人が多くいます。
それが、自己受容と自己肯定の難しさの問題です。
なぜそれが難しいかというと、自身の生育歴の中で肯定されることが少なく否定されることが多い経験を送ったことや、あからさまな否定はされなくとも過保護や過干渉の結果、自己決定や自己表現を奪われてきた人でもこの状況になる場合もあります。
(例えば、「あなたはこれが似合うからこういう服を着なさい」と親の嗜好を押しつけられて自己決定、自己表現が奪われるなど。そのときは押しつけられている自覚がないことも)
◆「○○しましょう」はライトケースの解決法
こういったことは子育てに直接具体的な問題として見えているわけではありませんが、じわじわと子育てを大変なものにすることがあります。
例えば、子供の自信のなさや、素直な気持ちの出せなさ、依存やゴネの多さなどの間接的な要因となります。
そういうケースでは、「子供に○○しましょう」という親へのアプローチは必ずしも功を奏しません。
○○してうまくいく場合はいいのですが、そうでない場合、そのうまくいかないという結果により「自分が悪い」「自分がダメだ」という自己否定として返ってきてしまい、よりその大人自身の自己受容と自己肯定を下げてしまうことになるからです。
すると悪循環になってしまいます。
◆自分を甘やかす
子育てに影響を与えるほど自己受容や自己肯定にネックを抱えている人は、ある種の呪縛がかかっていることが多いです。
・正しい自分でいなければならない
・強い自分でいなければならない
・自分はできない人間である
・「○○はよくないこと」「○○すべき」などの規範意識の強さ
など。
こういった自身の内面的なものが強いと、「子育てそのもの」をいくら頑張ってもなかなか思わしい状態になりません。
なぜなら、その頑張りの大元にあるのは、自己否定だからです。
「私はダメだからもっと頑張らなければ」
「私はできないからもっと頑張らなければ」
「私は弱いからもっと頑張らなければ」
この頑張りは、前向きな頑張るではなく、自己否定からスタートしている後ろ向きの頑張るなので、自分自身も消耗させ、周囲の人間、子育てされている子供にも不安な気持ちを感じてしまいます。
こういったスタンスから頑張ってしまっている人は、子供に対して「かわいそう」「申し訳ない」といった負い目の心理で子育てしがちです。
これは、子供の心に依存を大きくし自立をはばんでしまうことにもつながるので、その面からも子育ての大変さが増してしまいます。
ですので、こういった状況にある人がまず取り組むことは、自分を甘やかすこと、自分を許容すること、ラクをすること、くつろぐこと、頑張らないことなどになります。
座談会で話したのは、なにか「食べたいなおいしそうだな~」というものがお店で売られていたら、そこで自分を抑制しないで、思い切って買って食べてしまおうということでした。
そんなお話をしたら、「私はチロルチョコも買えないです」という声がありました。
自分にムリをさせてあとで自責の念が強くなってもいけませんので、まずはちょっとずつできるところから自分を甘やかすことを始めるといいでしょう。(チロルチョコより低いハードルを探すのはなかなか大変かもしれませんが)
この自分を甘やかすことが自己受容につながり、この自己受容が少しずつ増えていくことで、子供の情緒の安定や、子供のささいなネガティブな所すら気にかけずにはいられないというところが緩和されていくことにつながります。
いますでに、自分を十分に甘やかしている、たくさんラクをしていると言う人もいるかもしれません。
それを自責の念や罪悪感なしにできているのであればいいです。
でも、ラクをしつつも
「こんな私ではよくないのではないか」
「これは子供を大事にしていない行為なのではないか」
「私は誰々と比べてダメなのではないか」
そういった気持ちを持ちながらでしたら、それは、
甘やかす=自己肯定につながる自己受容
ではなくなっていますので、ムリのないところからあっけらかんとできることを見つけてみましょう。
こういった傾向に該当する、特に女性の方は「良い母親像」的な呪縛からは距離をとるようにした方がいいです。
これは非常に大きな呪縛になっています。
それゆえに世代間ギャップがある自身の母親と自分を比べて、「自分の母親はあんな風にできていたのに自分はできない」という思考も避けることを意識しておきましょう。
親の世代と今の世代では、ほんの一世代の差なのに置かれている状況がとても大きく変わっています。親ができたことができなかったとしてもそれは当然なのです。そして、もっと言えば親の世代がしていたことが必ずしも正しかったわけでも、良い子育てだったわけでもありません。
「あるべき正しい子育て」よりも、「ムリのない子育て」をまずは目指していきましょう。
- 関連記事
-
- しつけと子育て vol.3 (2019/07/03)
- しつけと子育て vol.2 (2019/06/18)
- しつけと子育て vol.1 (2019/06/17)
- 自己犠牲より自己実現 (2019/04/08)
- 子育ての前にあるもの vol.2 ~自分の人生を生きること~ (2019/03/21)
- 子育ての前にあるもの vol.1 ~自己受容と自己肯定~ (2019/03/14)
- モラハラ子育ての逃避から依存へ (2019/03/12)
- 【リンク】モラハラ夫が、日本の夫婦を破綻させる <モラ夫バスターな日々(1)> (2019/03/06)
- 子育てのカルト化について vol.3 もっとも身近なカルト化 (2019/03/01)
- 子育てのカルト化について vol.2 (2019/02/28)
- 子育てのカルト化について (2019/02/24)
● COMMENT ●
感謝
いつも人の顔色を伺いいい子にしている子どもでした。
親の言葉は何でもまず否定からはじまり、それこそ身につけるものも全て選ばれ
私が選んだものはいつもケチをつけられていました。
私自身やはり子育ては難しく
子どもも4才ですがうまく甘えられず
ギャーギャー言うことが多いです。
子どもと過ごす時間が楽しくなくて
どうしても何かにつけてイライラしてしまいます。
保育士おとーちゃんのブログを見ていつも
今日はいい関わりをしようと
毎日挑むのですが、
子どもが下の子に優しくない姿や
執着心強い姿
可愛くない甘え方
色々要求が強い姿を
みては、うんざりしてしまい
イライラがどんどん大きくなってしまいます。
子どもの声を聞きたくなくて
もう話さないでと言うこともよくあります。
イライラを抑える方法子どもが可愛く思える方法なんてないのですかね。。
毎日落ち込みます。
保育士おとーちゃんがすすめるおもちゃも沢山買いました。
生活リズムもちゃんと整えようとしたり
オウム返しで認めたりすることも
沢山しているのに
きちんと子どものためにいいことを沢山しているのに全然子どもはいい姿になりません。
ほんとに腹が立ってきます。
甘えを許す
他所の奥さんはもっと良くやってる!と。(義母もまた出来る人です)そりゃそうだよね、という思いもあります。
「あたしお母さんだから」は呪いの言葉に聞こえます。あれ作ったのも男の人よね、と。働いてよ、でも扶養内でね、家事育児はお母さんの仕事でしょ、という思想の最後の世代かも知れないな、とか。
頼れる実家も友人もありません。自分のために、稼がないとなー、と思います。
りんさんへ
自身の自己肯定感の低さを理解し、おとーちゃんのブログを読み、実践にうつし子育てを頑張っている、私も同じでした。
私はおとーちゃんのブログを読んでもなお、理想の子育てのようなものに囚われていたように思います。子どもは9時に寝かさなければいけない、生活リズムを整えなければならない、子どもをくすぐらなければならない、子どもと遊ばなければならない、子どもに優しく話さなければならない…。
とっくに9時は過ぎているのに、「今からおもちゃで遊びたい」と言い出した子どもに、本当にイラッとしたものです。今の私ならたぶん「そう、おもちゃで遊んでいいよ。それとも、ベッドの上でママとすごろくしようか?」(子どもと遊ぶのに気分が乗らなければ)「ママはさきに寝てるね」(ママも一緒に遊んでほしいと手がつけられないくらいギャン泣きされたら)嫌々ながらテンション低めにつきあうが、まったく気乗りしないことを子どもに隠さない。おとーちゃんのブログにもあったと思いますが、子どもに対して本音で向き合うことが子どもにとってもよいことのような気がします。
上の子が下の子に優しくできないのも、見ていると辛くなるかもしれません。私が子どもの頃は、姉に布団でぐるぐるまきにされて窒息死するかと思ったことがありました。確かに「小さい子に優しくしてほしい」というのは理想です。しかし自分の経験で恐縮ですが、お姉ちゃんが妹のおもちゃを奪い取り、妹のかみのけを引っ張り、そこでお母さんが「何してるのやめなさい!」と怒るのが自然な光景ではないでしょうか。小さい子がさらに小さい子に優しくするのは、すこし無理をしていないかな、と私は思ってしまいます。小さくても上の子が下の子に優しいという兄弟姉妹ももちろん世間にはたくさんいるでしょうが…。大人になって絶縁関係になる兄弟姉妹もたくさんいますね。親が兄弟とはこうあるべきと子どもを導いても、理想どおりにいくかどうかは疑問です。私は子ども時代にさんざん姉と本音でぶつかりあい喧嘩したせいなのかどうかはわかりませんが、今はお互いを尊重し合える関係となっています。
長文失礼いたしました。もし不愉快なお気持ちにさせてしまったら申し訳ございません。
くすっと笑う余裕がいつも自分にあったらいいなと思いました。
気持ちが和むような動画、教えてくれてありがとうございます。
友達にも送りたくなりました。
ママたろうさん
嬉しかったです。
精神科にも行ってみたのですが、
まあよくあることですと先生に言われ
なんの変わることもなかったのでホントに自分自身に困り果ててしまってました。
私の理想のルールが多すぎて子どもも私も苦しんでるんだとわかりまりました。
このルールをなかなか崩すことができないのですが、ルールを崩してみんながゆったりできる家庭をまず目指したいなと思えました。
気を抜くことをがんばりたいです!
私も1.2年後ちょっと変われたらいいなと思います。
子育てに頑張ってる皆さんが仲間だと思ってがんばります!
りんさんへ
おとーちゃんのブログを読んで初めて気づいたことですが、子育ての根底にあるべきなのはやはり「人権」だと思います。「親と子は対等」「兄弟姉妹は対等」です。私もこれからは親子間でお互い意見を言い合い、調整していきたいと思っています。
娘が公文やスイミングをやめたいと言い出したときも、はじめはあの手この手でどうにかしようとしました。しかし本人がやりたくないことを無理やり押し付ける権利は自分にないと気づき、心の底から「〇〇ちゃんが、嫌だったらやめていいよ」と娘に伝えたところ、不思議なことに娘は「やめたくない」と言いました。
娘がゴネるとき「自分が娘だったら(子どもだったら)こんなとき、お母さんになんて言ってほしいかな」と考えてから、対処するときもあります。
お返事ありがとうございました。お互い頑張りましょう(^^)/!
ママたろうさん
私も子どもの気持ちに寄り添っていい方向むかいたいです。
ありがとうございました。
私は上の子が1歳の時から、何故子供の行動にこんなにもイライラしてしまうのだろうと思い始めてからずっといろんな子育て本を読み、カウンセラーの方の本を読み、おとーちゃんさんのブログを読み解決策を探しています。
ですが、今だ迷走中で、りんさんの気持ちがすごく良く分かります。
同じような方がいることに安心します。
今、上の子は5歳になり、グズグズはすごいし下の子に対する暴言等も見られて私も落ち込んでしまいます。
そして、毎日毎日明日は楽しく過ごそうと誓って寝ます。
最近、不登校、引きこもりの方専門のカウンセラーさんが、不登校、引きこもりの方の親の8割は規範意識の高い方で子供にも同じように接してきて引きこもりになってしまっているというような事を話していました。
そのカウンセラーさんが、おとーちゃんさんと同じように、自己受容が解決の第一歩と言われていました。
自己受容=他者受容に繋がるからなのだそうです。
でもその自己受容がとても難しいです。
自分を責めてしまいますし、頑張れない自分に落ち込んだりしてしまいます。
だけど、そんな自分も認めてあげられるように日々訓練中です。
同じように頑張っている方がいるのはとても心強いです。
それに、りんさんは精神科に受診とかもされててすごいなと思いました。
私は悩み始めて長いのにいまだに相談出来ずにいます。
同じような方のコメントが見られて良かったです。
私もおとーちゃんさんのブログを読みつつ、毎日少しでも楽しく子供と過ごせるようにしたいです。
家では靴を履かないと伝えるのに
何度怒られても家の中に靴をはいてくる子どもをみてこの子は何で渡しを試すの!!なんて悪い子なの!とそんな些細なことでさえ本当に頭に血がのぼりました。
今考えると、私の中にもっていた怒りだっんだろうと思えます。
こーゆう小さいことから始まって
段々怒りがエスカレートしていき
子どもも私に負けず、ネガティブな行動ばかりするようになり、本当に困り果てたころ
このブログに出会いました。
それからは、子どもが寝てから毎日
おとーちゃんさんのブログを読んで明日が子どもといい日になるよう願ってから寝ます。もう2年くらいの日課です。
なんとかうまくいったり、いかなかったりを繰り返しています。
落ちるときはかなり落ちます。
今はかなり落ちています。
自分の育ちがよくないため、
子どもを受け止めることが簡単でなく
おとーちゃんさんがいうように
できた時はあーこうゆうことだったんだ!と感じるほど、自然に子どもを受け入れてあげることができません。
おとーちゃんさんのおかげで、
子どもが悪いのではない。私が変われば子どもも変わると気づけました。
子どもの育ちを子どものせいにしないで
済んで本当によかったです。
子どもの今の悪く出ている姿を私によって
なくせるとゆーことは本当に希望です。
今はかなりイライラモードの私と子ですが、またブログを読んで
子どもが自分らしく自分の人生を楽しめるよう自分の子どもの色んな姿を沢山認めようと思えました。
いつもおとーちゃんさんのブログの存在に感謝しています。
りんさんへ
参考になるかどうかわかりませんが…
僕は「わかっていてもイライラするお母さんへ」という本に救われましたね。
心のセリフを書くことによって、いろんな自分が見えてきます。
無意識に目を背けていた自分に出会うことあります。
そんな自分と向き合うのは、辛い作業ですが
そんな自分も、自分の一部であることを認める。
これが「自己受容」だと思っています。
まぁ、興味がありましたら読んでみてください。
ゴリキンさん
読んでみます!!
なんとしても、子育ていい方向にしていきたいので、、
自己受容、、イライラする前の感情に気づけるって冷静になれそうですね。
子どもにイライラしてしまう前に
自分は悲しいんだ、困ってるんだそんなふうに落ち着いて話せたら子どももきっと理解してくれますね!
まず、自分をわかるところから勉強します!!
トラックバック
http://hoikushipapa.jp/tb.php/1298-2c37d066
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
特に、くすぐりと、子育ての基本は笑顔と健康という言葉。色んな場面で思い返しては、いつも助けられています。保育士おとーちゃん、本当にありがとうございます。
今回の記事、まさに自分のことだと思って、反省しています。
「あるべき正しい子育て」を想像しては、「私が母親じゃない方がいいんじゃないか?」「ダメな私よりも、しっかりとした他者に育ててもらった方がいいのでは?」などと思うのは、子育てそのものの悩みというより、根本の自己否定から来ていたんですね…
「可愛い子」も、「たくさんor上手にできる子が可愛がられるもの」という思い込みがありました。
「ムリのない子育て」は、子どもにもムリをさせない気がします。
「ムリのない子育て」、目指します!