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2019-07

乳児保育の不備と物理的管理の悪循環 - 2019.04.26 Fri

僕は、保育の要諦は乳児保育にあると考えている。
基礎の不十分な地盤に大きな建物は作れないからだ。

しかし、実際の保育施設で見てみると、これが逆転しているところが少なくない。
幼児の保育は華々しいものになっているのに、乳児の保育をみると少しも専門的でなく、配慮のない素人感覚の保育を当然のこととしていたり。

もし、乳児の保育がそうしたものであれば、幼児の保育における華々しさもそれはとってつけただけのものだろう。
対外的な立派さは、作り出せてしまうものだから。


乳児保育に配慮不足や不備があるところが、おちいりやすいことがある。

それが物理的な管理におちいってしまうこと。





a,子供たちが部屋や空間からでていこうとばかりする
   ↓
 厳重な柵、しきり
 
 
b,子供たちが遊具の取り合いばかりする
   ↓
 遊具を出さない。手の届くところにおかない
 

c,子供たちが寝ない
   ↓
 おんぶ紐でおんぶ
 

例えばこういうことがある。


a,であれば、「なぜ子供がそのいるべき空間から出ていこうとするのか?」と考える必要がある。
すぐに物理的な管理におちいってしまうところは、ほとんどがあまり深く考えることなく、「子供とはそういうものだ」という認識でいることが多い。

ここには「子供観」の不備という、専門性の低さが垣間見える。
最初から、子供を低いもの、できないもの、能力の劣るものと見ているからだ。


子供たちがその空間から出ていこうとする姿が強いのであれば、保育において真っ先に考えなければならないのは、

・その空間に安心感が持てていない
・そこの保育者に信頼感が持てていない
・環境配慮が不足している(落ち着かない、遊具が不適など)

子供たちがその保育空間に安心感を持てず、泣き続けたり、出ようとしたり、不安から大人の後追いばかりになってしまったり、こうした姿があるとき、これらを考えそこに対応していくことで、そうした姿は軽減していく。

しかし、この、自分たちの保育上の配慮に不備があるのではないかという視点がないまま、そうした表面的な行動だけを見て、「子供とはそういうものだ」もしくは「この子達は落ち着きがない」などと子供に責任を押しつける見方をしてしまえば、物理的管理という判断が導き出されてしまう。


子供を低く見ている保育者に子供が信頼を寄せないのは当然のこと。
そこの大人に信頼がもてないのだから、その空間が安心できないのも当然のこと。
にもかかわらず、それを物理的に管理、支配していくようになれば、それに対して様々な反発を見せたり、出やすいところにその負荷が向けられるのも当然のこと。
負荷が向けられるとは、例えば噛みつきが多くなったり、子供同士のトラブルが多くなったり、親に対して依存や振り回す行動が多くなったり。

配慮のない保育をしていると、こうした目の前のことがあっても、それを正確に見て取ることができなくなる。

本当は保育施設がかけるべきではない負荷を子供にかけた結果であるのに、それを親に甘えとして出しているさまを見て、保育者が「あの親は子供を甘やかしている」などという見解を持つのは専門性の不足もはなはだしいことだ。



保育の基礎中の基礎。
それは子供に、安心と安全を提供すること。

安心と安全があれば、子供はそこでムリのない姿を出すようになっていく。

極端な話。この「安心と安全」さえ、子供に提供できればそれでいい。
そこで、子供は主体的に伸びていくことができるから。

この重要性がわかっていないと、「大人が子供に与える(”できる”を作る)」という子供の主体性の理解されていない保育がずっと展開されることになる。

そういう意味では、幼児の保育に見た目の華々しい立派さを作り出している施設に、乳児保育への理解や配慮、専門性が欠如していることがあるのは、必然的なことなのかもしれない。



そして、安心安全は物理的なもの以前に、大人とのつながりが大切。
子供からすると、「この大人がいるから安心」という感覚が圧倒的に大きい。

保育者は当然ながら、子供にとってそうあるべきなのは言うまでもないだろう。


しかし、「正しい行動」「できること」に意識が行ってしまって、子供に少しも安心感を持たせられない保育者も少なくない。

子供が安心、安全を持てていないところで、いくら見た目の「できる」を達成させたとしても、それは本当に獲得された力ではないので、成長としてはさしたる意味はない。

安心、安全を子供が実感できることこそが、保育のもっとも大切なこと。


ここへの配慮を十分にすれば、結果的に物理的に管理しなければならない箇所は大きく減ることになる。

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● COMMENT ●

4月から入園した園のことですが

1歳10ヶ月の子を持つ母です。4月からこども園に入園しました。


1ヶ月慣らし保育期間があります。入園早々に風邪を引き、熱が出たり下痢をしたりで飛び飛びで3回ほど休ませました。


毎回子どもは母と離れると大泣きし、迎えにいくと先生からはずっと泣いていましたと言われます。


室内は柵で半分に区切られ、遊ぶスペースとご飯を食べるスペースになっているみたいです。他の園をいくつか見学しましたが、室内に柵がある園をみたことがなかったので驚きました。


また、迎えに行くといつも園庭でお散歩カーに乗せられています。そして不安そうにして涙を浮かべています。園外のお散歩に行く時であれば乗せるのもわかるのですが、なぜ園内で歩ける子を乗せているのか不思議でした。3歳以上児は園内でのびのび楽しそうに遊んでいます。


うちの子はお昼寝もしないみたいでいつもおんぶされているようです。うちの子はおんぶがあまり好きではありません。おんぶしても寝なかったと言われたときは複雑な気持ちになりました。


今日で1ヶ月の慣らし保育が終わりました。しかし、ずっと泣いているしお昼寝をしないので5月も出来れば8時過ぎに連れてきて16時に迎えにきて欲しいと言われました。フルタイムの仕事なので7:30に連れて行き18:00頃まで預ける予定です。1ヶ月も慣らし保育期間があったのに5月もそのようでは働けません。


また、朝はかせたオムツを替えていないことが多々ありました。園でのオムツは名前が書いてあるのでわかります。園に対して不信感が募っています。


先生はどなたも優しいです。

こんにちは。

乳児保育は園によってかなり違うし、同じ園でも担任の先生によって様子が異なると感じています。

でも、問題があると思っても、それを口に出せず、自分の子は別の保育園にしました。

保育園をさがしている人に聞かれても、選考は役所がするので、もしかしたら第一希望に入れずにその園になるかもしれない、その園に通う人に悪いなどと思い、言えないのです。

転園や下の子を別の保育園にいれた人も、その理由を正直に園には伝えていないように思います。

乳児の保育ニーズはあるので、毎年、どんどん乳児は入ってきますよね。
それに、自分の子が卒園してしまえば、どうしても関心は薄れてしまいます。

おとーちゃんさんは、もうお子さんも大きいかと思いますが、乳児の頃の保育の影響ってどのようなものがあるでしょうか。

個人的には、私は小学低学年で既に先生という存在が苦手だったのに対し、娘は先生が大好きなのは保育園時代からいい先生に恵まれたからだろうなぁと思っています。

保育の専門性とは何かを喝破

「安心、安全を子供が実感できることこそが、保育のもっとも大切なこと。」ー。
保育の専門性とは何か、という本質を喝破されていて、思わずうなずいてしまいました。

私は保育関係者ではなく一親ですが、親と子の関係においても、「安心・安全」はコアなキーワードなんだろううなと。親なしには生存できない幼児という時期においては、親の関わり方は良くも悪くも子どもの安心・安全感を強烈に左右するだろうなと・・・。
日々の暮らしの中でわが子にとってあるシチュエーションが安心・安全なものかどうかを洞察する力を、親として持てているのかは心もとないばかり・・・。

この間、保育士とーちゃんは親自身の人間形成の在り方について言及してこられましたが、親自身が出自家庭での親子関係において安心・安全を保障されてきたかなどが、自分の子どもへの関わり方の根っこにある問題ともつながる。

「保育者と園児」、「親と子」では、その関係性に子どもが求める安心・安全の期待値も可変なのでしょうか?(その時代・社会の専門職や養育者が保証する安心安全の質は変化するのでしょが)。

敷衍すれば、道路や住居といった生活環境、教育システムといった社会のあり様においても、子どもの安心安全が脅かされている問題がありそうですが。

みんちさんへ

子育て中の一主婦ですが、少し気になったのでコメントさせていただきます。
参考になれば…。
妊娠出産で地元と自宅の違う地域の複数の保育園を利用したことがあります。
2歳の子が利用した部屋で目的ごとに室内がゲート∔棚や低い壁などで区切られている園は見たことがあります。良し悪しや一般的なのかはよくわかりません。

早く迎えに来てほしいということを言われたことあります。
園や保育士さんの考えに寄るのかなと思いました。慣れていないときに子供の状態を見ていて不憫に思って言った先生の場合もあれば、親ができるだけ見るべきという考えや園の負担を軽くしたいから言われているように感じることもありました。

朝からおむつを替えていないことが複数回というのが一番ひっかかります。トイレに行かない年齢で1日預けて朝のおむつのままということはどこもなかったです。


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楽しく無理のない子育てを広めたいと2009年ブログ開設。多くの方の応援があって著作の出版や講演活動をするようになりました。 現在は、子育て講演や保育士セミナーの他、『たまひよ』や『AERA with Baby 』等の子育て雑誌の監修やコラム執筆。『ジョブデポ保育士』の監修や育児相談などをいたしております。

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