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2019-09

「こうであれ」に疲弊する子供たち - 2019.09.02 Mon

夏休み明け初日である今日書いておきたい。

いま、子供たちは「○○でありなさい」という大人からの要求に大変疲弊している。
幼少期から家庭でたくさんのそれを求められ、子供たちのもうひとつの場である学校では、さらにそれをあからさまに求められそこに同調圧力までがかかってくる。


すでに負荷がかかっているところに、さらに新たな負荷が加われば、それが過負荷となり何らかの齟齬がでるのはあとは程度や時間の問題になってしまう。

不登校、いじめ加害、いじめ被害、学級崩壊



日本では子育てそのものを、子供をさまざまな「こうであれ」の型にはめ込むことだと考えられている傾向が強い。また、社会のあり方も多様性を許容しないストライクゾーンの狭い形に作られているので、必然的にそうならざるを得ないところもある。

だからと言って、それが子供たちを病ませてしまうほどに過負荷をかけてしまっていいことにはならない。




自分から「こうありたい」と思うことと、他者から「こうであれ」と要求されることは、質的にまったく違うこと。
しかし、子供たちは他者との関係性の上に生きるというその性質上、他者からの要求であるところの「こうであれ」を自分自身の「こうありたい」と同化させてしまう問題が起きる。

言葉にすると難しいが、それはつまりこういうことだ。

子供は、親に強い信頼感を抱いている。
その上で、親が子供に「○○になって欲しい」という願望をかけられると、子供は自身の望みがそれになってしまう。

自分の「こうありたい」 = 親の「こうなってほしい」

になる。

しかし、この図式の本当のところは

自分の「こうありたい」 = 親に許容される自分でありたい(親に肯定されたい)

であり、直接的な親の望みを達成することではない。だが、当の本人にしてもそこに自覚的になれるわけではない。だからこそ、知らず知らずのうちに疲弊していくことになる。



学校でも、子供たちは「先生」という存在への信頼感ゆえに、教員の望むさまざまな「こうであれ」に頑張って応えようとする。
それが過負荷にならない内であれば問題ないこともあるだろうが、他の要素によってすでに負荷が溜まっている子や、個性ゆえに学校からのそうした要求を敏感に感じやすい子供は過負荷となってしまいやすい。



こうした過負荷の蓄積による疲弊はなにも子供だけではない。
過労うつや過労自死といった問題も同様。

会社や上司から「こうであれ」を望まれる。
周囲から同調圧力で「こうであれ」を望まれる。


そこにさらに責任感が強かったり、まじめな性格だったりすると、

自分で自分に「こうであれ」を課していく。

自分で自分に「こうであれ」を課す度合いが強まるほど疲弊は大きくなる。(このことは子育てする親自身にも言える)
居場所を変えて活躍できる選択肢がふんだんにあれば、こうした負荷からは逃れることができる。しかし、日本の社会では就労に当たって転職時の条件が厳しかったり、新卒が優遇される実態などがあり、このような過負荷に甘んじなければならない状況が起こり疲弊が大きな問題に発展してしまう。


子供にとっても同様で、転校や個別にクラスを変えるといった選択肢の提供がふんだんにあれば、いじめや不登校といった問題ももっと軽減されることだろう。
しかし、多様性を許容できない学校体質はそうした選択肢を子供に提示することを避けてしまう。
学校側が、「こうであれ」を少しでも減らす努力をしたら、不登校やいじめの問題は減少することだろう。(例えば、「起立、礼」とかこれをやめるだけでも違いが出るはず)


さて、では「こうであれ」の逆はなんだろうか?
それは、

「どんなあなたでもいい」


学校体質は一朝一夕には変わらないことだろう。
だが、子の親としてであれば、「子供にこれは絶対に必要だ。習得させなければならない」といったところから少し立ち止まってみたら、いろんな子育てのことがかえってラクになるかもしれない。




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● COMMENT ●

できません。

今、まさに「こうであれ」病にかかっています。
毎日のように怒り、こんこんと説教した挙句、疎外しています。
このやり方は絶対に間違っている事は分かっているのに他の方法で伝えることができません。
「そのままのあなたでいい」とどうしても思えないのです。
早期教育などを求めているのではありません。
ただ普通にご飯ですよと言われれば食卓につき、お風呂に入りましょうと言われれば準備をする。保育園の荷物を片付け明日の準備をする。そういった生活の習慣を身につけて欲しいのです。やっている遊びのキリのいいところまで待つ気はあります。2回3回言われ、「怒る」ここまで来ないと動けないのです。
そう育ててしまいました。
優しく言っているうちは生返事。
これにイライラするのです。
年長と2歳組2人とも女の子です。
素直で可愛い子達です。
下はまだ援助が必要だと思いますが
上の子に関しては自分で気づき自分で行動して欲しいと思っています。
年齢的にまだ厳しいのでしょうか?
色々な本も読みました。脳科学的に子供は先を見越して今行動するのは難しいと書いてありました。
片付けしやすい収納、準備しやすい収納も心がけています。(完璧ではありませんが。)
求めていることが高度なのでしょうか?
家族の一員としてできる事はやって「ほしい」
自分の事は自分でやって「ほしい」

この「ほしい」という気持ちがダメなのでしょうか?
こんな事全部私がやってしまえばどんなにラクか!!と思ってしまいます。
その方がニコニコでいれるのならその方がいいのでしょうか…
上の子への過度な期待と下の子のイヤイヤに疲れきっています。。
適正年齢など機会があれば教えていただけると嬉しいです。
長文失礼しました。


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