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2019-09

【保育】疎外感を利用した関わり - 2019.09.13 Fri

たまたま通りがかった保育施設の玄関前。
2歳児がこれから散歩に行くために並んでいるところだった。

手をつなぐのを渋る子がいた。(仮にAちゃんとする)
おそらく、散歩の際にその子と手をつなぐのが決まっているのだろうBちゃん。
(Aちゃんは月齢が低そうであり、BちゃんはAちゃんに比して身体も大きく月齢も高そうな印象)
どちらも女児。



保育士 「Aちゃん、イヤイヤしているね」
    「あっ、Bちゃん自分からつなごうとしているね。えらいなー」
    (そう言いながら両手でBちゃんの頬をつつんでなでる)




この関わり、子供に手をつながせようとするあまり、子供の疎外感を刺激してのコントロールになってしまっている。


これは、一見スマートな関わりに見える。しかし、実際行われているのは以下のようなこと。

Aちゃんのできなさを、今現在できているところのBちゃんをほめることによって際立たせ、直接Aちゃんを叱ったり注意したりこそしていないが、意図的に疎外感を持たせることで否定している。そして否定することによって、Aちゃんに保育者の望む行動を取らせようとしている。



例えば、「手をつながないのならば置いていきますよ」とAちゃんに声をかけたとしたら、これは周りから見ても冷たさが明らかに感じられる。これが直接的な疎外による子供の支配。

これに比べると、この事例としてあげたケースはそこまで冷たくは見えない。
しかし、それと変わらないだけの問題点をはらんでいる。むしろもっと多いかもしれない。



◆Aちゃんがこうむる不利益

まず、疎外され支配されるAちゃんがこの保育士に対して信頼感を低下させていくと言う問題。また、それが大人全般への信頼感の低下につながる可能性。

疎外という大きな負荷をかけられることで、より意地を張らなければならないなどのネガティブ行動の増加の可能性。


負荷を出しやすいところ、多くの場合保護者に向けられることで、子育て当事者の子育ての負担を大きくしてしまう可能性。




そして不利益をこうむるのはAちゃんだけではない。こうした対応法はBちゃんにも問題を持たせかねない。



◆Bちゃんのこうむる不利益

大人の顔色をうかがう人格形成がなされてしまうこと。Bちゃんは、大人への信頼感を持っている。それと保育者の気持ちを汲み取りそこに従おうとする発達が進んでいる。
これ自体は成長として健全なことだが、保育者がそこを自身の意図のために利用することが積み重なっていくと、Bちゃんはそれゆえに疲弊していく。

場合によっては、その疲弊ゆえに家庭に帰ってから保護者に施設での頑張りの反動を向けるといったことを生みかねない。



◆安心安全空間の剥奪

子供にその場の大人の顔色をうかがわねばならない気持ちを獲得させてしまうと、それはその空間で心地よく過ごすことを奪ってしまう。

それは情緒の安定や愛着形成にマイナスになるだろう。

このことはこのケースで直接関わりを向けられたAちゃん、Bちゃんに限らず、その周りにいた子にも波及している。




◆これを乗り越えるには?

・その場での対応
・長期的、大きな視野での対応

これについてはまたの機会にまとめたい。

● COMMENT ●

まさに、でした。

保育士の関わりによって、こどもの姿が変わるという点は、最近悩んでいたことでした。娘は2歳半で今保育園の2歳クラスにいますが、そのクラスの保育士が褒めることでこどもをよいと思える姿にしようとしているのか、連絡ノートにも「○○できました。いっぱい褒められて嬉しそうでした。他の子が褒められているのをみてがんばっていました。うちでもたくさん褒めてあげてください」とかかれていることが多く、迎えにいくと「今日は○○できたね、おかあさんに報告してたくさん褒めてもらおうね」といつも言います。こどもはみんな緑野菜がキライと決めつけているのか食べられるととてもほめているようで、そのせいか、もともと普通に食べられていたピーマンやむしろ好きだったほうれん草なども、本人の中でも「がんばって」食べているという意識になってきはじめています。
娘が2歳になりたての頃、夕飯中に「まんまもーちょっとほしい」というので、「おかわりねー」と立ち上がろうとしたら「自分で!おかーしゃん来ないで!だめー!」といって自分でおかわりしようとしたので、炊飯器の保温は切ってるし、危険なものは出していないので大丈夫だと判断して「はーい、じゃあ困ったら教えて」と言って待っていたら、ごはんをよそってとても誇らしげに戻ってきた、あの、おかあさんに信頼されてるんだ、自分ひとりでできたという達成感、誇りや自信にあふれた娘の表情が忘れられず、これまでの関わりかたはこれでいいんだと思ったのです。娘がやりたいときにやり、昨日の自分とは違うことが達成できたことを自分でかみしめて喜ぶ、そしてまた自分でやりたいと思う、そういうことが過剰な褒めによって阻害されはじめている気がします。もちろん、2歳クラスにいる保育士の関わりのみが娘の自主性に影響を与えているとは思いませんが、褒めちぎることは私の考えとはどうもしっくりこないのです。でもなかなか保育士には伝えられず、モヤモヤしています。

強烈な洗脳効果

自分の母がもっともよく使い、私がもっとも傷ついたはずなのに自分のこどもにもついやってしまう、嫌悪してやまない関わり方です。
幼い頃からこれでダメージを受け、思春期の頃には母の完コピかというくらいの従順なこどもに成り果てていました。見捨てられる恐怖を利用した洗脳の強烈な効果です。
母は元教師、たまにこどもの学校で母と同じ匂いのする先生がいると暗澹とした気持ちになります。
残念ながら当の母は私が何を言ったところで自分の子育ては素晴らしいと信じて疑っていませんが、私は大人がおとーちゃんさんのブログに助けられつつ、百害あって一利なしの関わり方を継承しない努力を続けていきます。
同時に世の中、特に保育や教育の現場におとーちゃんさんのようなまなざし、感性を持つ真の大人が増えてくれればと願わずにいられません。


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楽しく無理のない子育てを広めたいと2009年ブログ開設。多くの方の応援があって著作の出版や講演活動をするようになりました。 現在は、子育て講演や保育士セミナーの他、『たまひよ』や『AERA with Baby 』等の子育て雑誌の監修やコラム執筆。『ジョブデポ保育士』の監修や育児相談などをいたしております。

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