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2020-07

擬似的な自発性 子供のモチベーションを作為的に作ること - 2020.02.17 Mon

Twitterでいくつかツイートをしていただけど書き切れなくなったので、以下に続く文章を書いておきます。
前のつながりが気になる方は、お手数ですがhttps://twitter.com/hoikushiotoこちらをご覧になって下さい。


さて、主体的成長についていくつかの連続ツイートをしたけれども、昨今では「子供の主体性を尊重していますというていのスマートに見える支配」も流行っている。

例えば、保育園児に「跳び箱○段飛べるようになります」と謳う○○式保育だとか、勉強をするのにノリを良くして活性化した状態で教えていく○○学習塾だとか。
僕はこういうのを「モチベーションあげあげ系」と感じている。



確かに、それで伸びる子もいる。そのやり方がその子に合ってそれでうまくいってしまうケースだろう。みなそればかりならばよい。しかし、これらは大人が想定するところの「できる」という型に子供を当てはめていく行為だ。

やりたいと子供が自発的に思ったものと、大人により作られたやりたいは同質だといえるだろうか?
おそらくこれは明確な線引きができないところだろう。


程度の問題でその子にとって負荷とならない範囲(負荷を受けても解消できる範囲)で行われるというのであれば、まだ良いかもしれない。しかし、仮に子供の生活全てにおいてそうした「できる」を要求されだしたらどうだろう。負荷のバランスがとれるとは限らない。

これは一歩間違えれば簡単に、大人による子供の搾取状態となる。
結局のところ、大人の望む型にはめるために、一時的な意欲を大人が作り出しているからだ。
なので、こういう状態を経てあるときプツンと燃え尽きてしまう子が出てくる。
または、親の期待に応えるステージから自分の人生を歩むステージ(例えば思春期など、人によっては青年期や、子供ができてからということもある)になったとき、本来ならば自分が前に進むためのエネルギーを、それまでの時代に親のために使い切ってしまって残っていないというケースもある。
カウンセリングの世界では、こうしたものが「生きづらさを抱えたケース」としてたくさん報告されている。

子供を乗せる形でモチベーションを上げてもうまくいくケースもあることだろう。
特に短期的には、その目前の「できる」を達成することには力を発揮する。
しかし、それがいきすぎたケースではその子供の状況を立て直すのが難しくなることもある。
僕はそれを懸念する。



もうひとつ、「行動のスマートなコントロール」の問題も指摘したい。

子供を支配することはたやすい。
上手から出る強い支配もあれば、下手からでる優しい支配もある。

強い支配の問題は目につきやすい。怒鳴ったり、叩いたり、怒ったり、詰ったり、冷たく無視したり、疎外したり。
優しい支配は、気づく視点を持っていないとなかなか見えない。

「~~したら○○してあげるよ」
「~~できたらえらいな、お姉さんだな」
「~~してくれないと、(そこにいない)誰だれが悲しむだろうな」

これら優しく言ってはいるが、大人の望む行動に子供を当てはめる支配になっている。


スマートな支配はさらに見えない。

・トイレに行ったらシール貼らせてもらえるというルーティン
・~~ができたときはニコニコと褒め。やろうとしないときは無視をするというシステマチックなアプローチ
・褒めを多用することで意欲を作為的に上げること

発達上の個性によっては、適切にこうしたテクニックを使って、行動の習慣化をつけていくことが必要なケースもある。だが、子供がそれで動いてしまうからといってこれを多用すると、それが度を超えてしまえばその子育ては問題が出るようになりかねない。

行動心理学の手法などを使って、こうした「子供を○○させるためのテクニック」は編み出せてしまえる。
その全てがよくないわけではないが、運用の仕方によっては子供の育ちを難しくすることがある。


あるケースでは、両親とも共感的、情感的なアプローチが子供に得意でない人で、こうした子供を思い通りに動かすテクニックを多用していたケースがある。
例えば、やるまで無表情。やったときは褒めたり、シールなどのものをあげるという関わり方をしていた。
その子は両親に対しては、要求やゴネ、感情をあまり出さないが、両親のいないところではネガティブな感情の出し方をするという状態に2歳頃から顕著になっていた。4歳前の段階では他児への意地悪な行為や乱暴な行為が慢性的にでていた。

いくらスマートに子供に言うことを聴かせられるからといって、結局のところこうした関わりは、子供の自主性や主体性を理解せず「子供を親の思い通りにする」という枠をでていないのではないかと感じる。
それは子供に支配されている負荷をかけ続け、かえって子供の育ちを難しくしてしまいかねない。
だから、スマートな支配は見えにくいだけに怖いと言える。

関連記事

● COMMENT ●

〜式子育て法

まさに今これで悩んでるところです。

前段のツイートも、とても分かりやすく感じたので、そのままひとつのブログ記事にしてくれるとありがたいです…

誉めアゲられ慣れしてしまって、誉められない=ダメ に感じてしまう場合の対応も知りたいです。「認める」が響かない感じがしていて…少しづつ、変わっているかなとも思うのですが。

おとーちゃん保育園、早く作ってください(笑)絶対そこに入れられるなら引っ越してもいいわ。保育士養成学校の校長でもいいですよー。
東京都のえらい人、誰か見てませんか〜??

大人も子供も、「自分は何者か」を人生かけて探して、見つけて、行動することで、幸せを得るんだと思います。この記事でおとーちゃんが危惧している「作為的な高揚感」は、その道を、見誤らせる可能性がありそうですね。

それでも、子供に最善の環境を与えたいと思う親心もあり。子供を、支配・誘導していないか、常に自分自身をチェックしたいです。

2度目のメール相談をして、お返事をいただいた者です。今回も長々と書いてしまったのにも関わらず、大変丁寧なお返事をありがとうございました。親身になって話を聞いてくださっているのが伝わって、泣きながら読みました。「あの頃沢山悩んだけど今思えば懐かしい思い出だったよー、あの時は本当にありがとうございました!」と、いつかここに報告出来たらいいなと思っています。

おとーちゃん保育園あったら
うちも引っ越したい!!よろしくお願いします!

おとーちゃん保育園あったら
うちも引っ越したい!!よろしくお願いします!

子供に敬意を払っているかどうか

ほめることは悪いことではないし、トイレへ行ってシールをもらえる、というのも、ほほえましい光景です。でも、あくまでも程度によるんですよね。この「程度」「バランス」は本当に難しいと感じます。
とある本に、「人間の気持ちを扱うということは、科学ではなく、芸術なのだ」という趣旨のことが書かれていました。心理学的手法を用いて、やる気をアップさせても、こどもに、ある種の尊敬・敬意を持つことができなければ、「技術的に上手なのはわかる、しかし全く魅力が無い芸術作品」のような状態になってしまうのではないでしょうか。
自分の無意識に潜むものが、あぶりだされてくるのが子育てだな、とよく思います。
「できる姿」「完璧さ」「理想」を手放して、粘土細工(以前そんな例えをされていましたね)ではなく、生きている本物の人間、躍動し成長し、時に生々しい本能を見せる生き物として、子供と一緒に成長出来たらいいなと思います。


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