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2020-09

【保育】保育日誌についてあれこれ - 2020.05.30 Sat

昨日、保育日誌について、現役の保育士さん達からいろいろお話しを聴いてみました。そこで僕自身もいろいろ見えてきたものがあるので、まとまっていませんが、思いついたことを書き留めておきます。



保育日誌にはいろいろな書き方があり、どれが正解というのがあるわけでもないようです。(監査向けにこれが必要というものはあるにしても、ここではそれは気にしないことにします)


まず、最近では事実の羅列はあまり重視されなくなっています。
体調や食事量などの健康に直結するものは事実の蓄積としての記録は大事ですが、「○○(児童の名前)が~~をして遊んだ」といった事実の羅列を人数分やっていくようなことは最近では重視されていません。

ただ、保育を学んでいる学生さんの実習記録は、いまだにこの傾向があるようです。

客観的事実 → それに対する考察、反省

これはある意味しかたがないかなとも思うのです。
というのも、保育に限らずそれが学問のあり方だからです。

事実と自分の見解や感想をごっちゃにせず、明確にわけるのが学問上のお作法です。
ですので、保育の学校では実習記録をこの体裁でかかせるのも致し方ないでしょう。


ですが、これで習ってきているといざ現場に来ると、ただ事実の羅列しかかけなくなります。
考察や反省を書くにしても、そもそも保育の視点をまだ十分に獲得できていない新人さんに、ポイントを踏まえた考察を要求するのは無理があるのです。

結果、良くても「事実の羅列+考察っぽいもの」という日誌になります。多くは、「事実の羅列のみ」になりがちです。


日誌や記録の取り方を明確にその施設として位置づけ、どこにポイントを置いてこのように書くと定めている園はそう多くはないようです。
ある程度の方向性(たいていは書式を定めた段階でその追求は終わっている)だけ決めたら、あとの書き方は個々人に任せている。
園長によっては日誌の書き方を指導する人もいるといったグラデーションの違いがある場合もある。このような状況がどうも多いようです。

明確に、ここの園はこう書いていますといった指導が新人さんになされなければ、新人さんはそれまでにならってきた事実の羅列を中心とした記録になりがちです。
結果的に、書いている方も、読んでいる方もつまらない日誌になってしまいます。書いていてつまらないと、だんだんと日誌はさらに意味のないものになっていきます。

この時大事なのは、実は「ねらい」です。
その保育における「ねらい」が明確に自分にもてていないと、見るべきポイントがつかめません。
だから結果的に、平板なつまらない事実の羅列になってしまいます。

なんでもいいので、ねらいを意識して立ててみましょう。
簡単なねらいほどいいです。高尚なねらいをかかげてしまえば、それの達成は簡単ではありません。その1日の中で無理なく完結するような簡単なねらいを作ることが大事です。

「散歩を楽しむ」
最初はこんなシンプルなことでいいでしょう。

「春の草花にふれて散歩する」
このように、少しこったねらいにすることも可能ですが、このねらいを立てるとそこには大人の作為が大きく入りやすく(つまり「やらせなきゃ」が大きくなる)、かえって保育が迷走してしまいかねません。
なので、ベテランはともかく新人さんはシンプルなねらいで十分です。

こうやってねらいを明確にしておくと、記録すべきポイントが見えてきます。

それだけでも事実の羅列は減って、「散歩がどうだったか」に視点がしぼれますね。

また、ねらいは「達成しなければならないもの」ではないこともポイントです。
ねらいどおりに動かない子がいるのは当たり前のことです。
それが悪いわけではありません。
ああ、そうなんだなと受け止めて、「○○は散歩にでると不安を感じるようだ。こういう姿があった」が記録になります。
子供には成長発達がありますので、できない姿があってできる姿があるわけです。
ここでできない姿を記録しておくことで、成長した後に「散歩を楽しんでいる姿がでてきた」という記録との対比に意味が出てきます。


ねらいを明確にもつと、記録すべきポイントが見いだしやすくなり、生き生きとした読んでいても書いていても楽しい意味のある日誌になっていきます。

最近では事実の羅列から離れて、そうしたエピソード記録を重視する動きがあります。

僕個人の感慨としては、エピソード記録はよいのだけど、中には主観ましましの日記のようになってしまって、考察やそこからの配慮の設定、そうした蓄積による保育観の構築につながっていない現実もあるように感じます。このあたりも記録の難しいところですね。



◆意味のある記録に

・死んだ記録と生きた記録
記録を書くこと自体が自己目的化してしまうと、記録は本当にただの負担でしかありません。例えば「監査を通過するだけに書かされている」といった記録。

そうした意味のないものになると記録をつける時間は丸々負担になります。
保育にはさまざまなやらなければならないことがあり、事務時間は少ない方がいいです。ですので、負担を大きくせず、なおかつ意味のあるものにするためにはという問いがでてきます。

記録はできるだけムダのないものがいいでしょう。
本当に必要なことを厳選します。
健康にまつわるものは必須でしょう。でも例えば、視診票にも書き、日誌にも書き、個人欄にも書きというような状況はムダですね。
だったら、ここはムダのないようにどこかに一本化すべきです。
書く内容にしても、特記することもないのにわざわざ毎日全員分書くのもムダです。
特記すべきことがあるときだけ、記載する書式でいいのではないでしょうか。


個人欄でもこのムダが指摘できます。
0~2歳クラスでは日誌に個人欄がついている形式をとっているところもあります。

ここに細かく分けた個人欄は、事実の羅列の日誌になりやすいです。
児童全員に目を配るようにするため、個々に個人欄を設けるといった趣旨もあるようです。
でも、記録をつけるために、その子が何をしていたかチェックするというのは、保育の方向としてずれているのではないかとも思います。
たしかに、ひとりひとりを見落とさないというその趣旨も分かるのです。でも、それは記録の書式として書き手を拘束するデメリットを作らなくても他の配慮でカバーできることです。


細かい個人欄を設けるメリットもありますが、僕としては0~2歳クラスの個人欄は大枠の自由記述式にして、ここにその日のピックアップしたい事象を書く形式が良いのではと感じます。
個々に狭い枠だと事実の羅列になりがちで、これだと保育を配慮をもって見る視点が養えません。
「それじゃあ個人欄じゃないじゃない」という指摘も成り立つので、エピソード欄としてもいいかもしれません。


◆振り返り

また最近では「振り返り」というのが言われています。
最初に聞いたとき「考察・反省」とどう違うの?と思ったのですが、どうも解釈はいろいろあるようで、単にそれの言い換えとして「振り返り」を使っていることもあれば、「考察・反省を話し合いによって見いだすこと」を指して「振り返り」と読んでいることもあるようです。

たしかに、考察・反省はひとりでしていても、視野が固定化されてしまい深まらないことがあるのも事実です。
「ああでもない、こうでもない」と保育者同士の対話の中で深め合っていくのは大切なことでしょう。

ただ、現実にしばしば聞こえてくるのが、「振り返り」という名前のつるし上げ大会が就業時間後にサービス残業で行われてそれが苦痛で仕方がないといった声もあります。
これは振り返りを勘違いしてしまっているので、「振り返り」がわるいわけではないのだけど、ちょっと注意しなければならない点ですね。

振り返りを実際に保育に取り入れていくためには、適切な保育観を持てている人がいること、そのための時間が確保されていることが必須です。
保育観が定まっていない、もしくは適切な保育観を持っている人が裁量できない中で振り返りをすれば、かえって働きにくい職場、やりにくい保育になってしまいかねません。少なくとも、全園的に適切な保育観を学ぶことと並行していく必要があるでしょう。



◆むしろ、主観大事じゃない?

上では、エピソード記録が主観ましましの日記になってしまうのを問題としてあげていますが、でも一方でむしろここにこそ保育記録を生かすエッセンスが隠れている可能性も感じています。

長くなってしまったので、それについてはまたそのうち。


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