受容と信頼関係の保育 - 2020.06.22 Mon
信頼関係はしばしば「お気持ち」の問題として語られ理解されがちです。
研修では専門的なスキルとしての理解へステップアップを目指します。今週土曜日にも受容と信頼関係の保育実践編の研修があります。https://peatix.com/event/1512296/view
信頼関係を「お気持ち」の問題としてしまうと、本当に大切なことが見えなくなってしまいます。
例えば、子供に尽くすこと、自己犠牲、過保護・過干渉、依存といったものが導き出され、信頼関係とは違うものになり得ます。
信頼するとはやみくもに子供を持ち上げることではありません。
子供を大事にすることと信頼することはまったく別です。大事にしていても信頼しないことは成立します。
保育士の持つべき信頼とはお気持ちの問題ではないのです。これは具体論に置き換えられます。
1,成長への信頼(子供の伸びしろを信じること)
子供の姿は今が終点ではありません。
子供は、今はできずとも常に「過渡期」としてあります。
保育者が知識・経験で子供の成長の姿を知っていれば、現状のできなさがあったとしても、「ああ、この子はこれからこうやって伸びていけるよね」と理解できます。すると目の前の子のあるがままの姿を否定することなく受け止めることができます。
2,存在への信頼(あるがままの許容)
子供が成長するために必要なものは、身近な信頼する大人から肯定され、それが積み重ねられることです。
それも無条件でそれをされることが大切です。
この点において「ほめる子育て」は適切ではありません。
「ほめる」とは「~~が良かったときに与えられる肯定」です。条件付きの肯定なのです。
必要なのは無条件の肯定です。
「かわいいね」「大好きだよ」「一緒にいると楽しいね」「あなたが来てくれてうれしいよ」
こうしたものが無条件の肯定です。子供の成長には、まず基礎としてこれが必要です。
この無条件の肯定は、つまりその相手への存在肯定です。これをできることが、その子の存在への信頼を表すことになります。
これをすることにより、子供はその大人を信頼することができるようになります。
さらに大切なことは、これを大人から意識的能動的にやる必要があることです。
「お気持ち」ではなく配慮としてやります。
信頼関係を「お気持ち」のレベルで理解していると、やったりやらなかったりになります。
よくあるのは、かわいい子ならばかわいがれる(信頼できる)保育の現実です。
元々「かわいい子」をかわいがるのは簡単です。大人を信頼している子は大人から見て可愛く見えます。この状態は子供が「信頼関係を持ってきてくれている」状態です。
家庭でそれを持たせられる子ならば、保育士は簡単にかわいがることも存在肯定することもいささかも難しくありません。本当に大切なのは、そうしたものを持ってこない子に対しても明確にお気持ちではなく配慮として信頼関係を作り出せることです。
そのためにはかわいい姿を待つのではなく、作り出せなければなりません。つまり信頼関係とは、まず大人が子供を信頼することなのです。
現場の人間でも、ここを理解していない人は少なくありません。
信頼関係を能動的に作り出すスキルを持てていない保育者は、「かわいい子」は肯定できるけれども、「かわいくない子」に対して排除の心理を持たざるを得なくなります。これでは専門性があるとは言えません。
では、具体的にはどうすれば信頼することになるのでしょう。
それは「肯定の関わり」です。
保育者は意識的に肯定をしなければなりません。
ここで問題がでてきます。それは一般的な日本の子育てのあり方が否定の蓄積で子供の正しい姿を作り出そうとする傾向が大変強いことです。
優しく関われば問題解決なのではありません。優しくやっても支配は支配だし、否定は否定です。
信頼関係を「お気持ち」の問題と理解していると、「私は優しく関わっているのに」「私はこんなに頑張って子供に関わっているのに」と、適切な関わりができていないことを自分以外に責任転嫁したくなる心理になりかねません。
そこで、具体的に肯定の関わりを理解しておく必要があります。
こうしたあたりのことを次回の研修ではさらに掘り下げ、またそうした視点を獲得できるよう保育者のスタンス、メンタリティを形成するためのポイントもお伝えします。
保育士おとーちゃんオンライン保育研修#2 受容と信頼関係の保育 実践編 脱しつけの保育
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研修ありがとうございました!
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ずっとおとーちゃんさんの研修を受けたいと思っていましたが、地方住まいのため、なかなか叶わずでした。待ちに待った、オンラインでの開催でした。
うんうん!!なるほどー!!と思わず声に出してしまうことの連続で、今までもブログや書籍は拝見していましたが、より理解が深まって、もう今すぐにでも保育園に行ってこどもたちに会いたくなるような、すぐ実践できそうなヒントがたくさんでした。
何より、初めておとーちゃんさんの肉声でお話をお聞きして、受容とは、肯定的雰囲気とは、こういうことなのかと肌で感じられたことが、一番研修を受けて本当に良かったと思ったことのひとつでした。
ブログでの論理的な文章もわかりやすくて大好きですが、実際にお話されているおとーちゃんさんは、あったかくて優しくて、いち保育士としてだけでなくいち保護者としても“大丈夫ですよ”と言ってもらえたようで、うるうるとしてしまいました。
こどもだけでなく、大人も、誰に対しても、まずは自分から受け入れることがスタートなんだなと改めて気づかされました。
ますます、保育の仕事が楽しく、奥深く、尊いものだと感じながら毎日過ごしています。
本当にありがとうございました。
今週末の研修も受けたいのですが、都合で受けることができないので、ぜひまた開催していただければ嬉しいです。
ひとつ思っていたことが。
午睡時のトントンは、私は幼少期に母にトントンしてもらうのが気持ち良くて大好きで、目を閉じていても、まだ起きてるよー!まだしてほしいよ、と思っていたのをハッキリと覚えています。その経験から、トントンすることは、スキンシップのひとつで、安心のプレゼントの意味あいもあると思っています。
……いや、そもそもそれ自体が依存なのかな……??難しいですね。
愛情を込めて使っていたつもりの「おいで」など、改めて考えさせられました。