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2020-09

【保育】信頼関係の裏側 - 2020.06.24 Wed

前記事では、信頼関係の意味とその構築についてかいつまんだ所を話しました。
今度はその反対側から見てみましょう。
反対側というのは、信頼関係ができないことにより起こっている保育の現実面です。

このところ、不適切保育のニュースが後を絶ちません。
ニュースになるようなものは氷山の一角で、実際にはそうした事件までならずとも不適切さを内包した保育は現実に少なくないことでしょう。

そうした不適切さの発端にあるのが、この信頼関係の問題です。
もっと正確に言うと、保育者が信頼関係を適切に理解しておらず、またその構築の仕方がわからない点です。



例えば、不適切保育の端的なものは、従おうとしない子供への暴言や暴力です。(暴力や暴言は目に見えやすいので不適切と理解されますが、疎外を使った不適切さの場合は問題視されないことも少なくありません)


・従おうとしない子供
・それを悪いことと認識し、それゆえの暴言や暴力といった不適切な関わりの正当化

というふたつが表面上の問題になりますが、そもそもの発端である「従おうとしない子供」の存在は本当のところどうなのでしょうか。

ここに信頼関係の問題が隠れています。

そもそも、「自分に従わない子には、暴言や暴力を振るってよい」と思っている保育士を子供は信頼できるでしょうか。
大人である自分に置き換えても簡単にそれはわかることでしょう。自分がその相手の思い通りにならなかったとき(仕事や成績がその相手の要求どおりにならないなど)、そうしたときに暴力を振るったり、暴言を吐く人を人は信頼できるでしょうか。そうした攻撃されることイヤさにしぶしぶ従うことはあるかもしれませんが、そうした人に心からの信頼を寄せることはないでしょう。

保育におけるこのケースも同様です。
保育者の側が、そもそも子供との間に信頼関係を構築する気などないのです。

「私を信頼して私の要求に従いなさい」
保育者がこうしたスタンスで子供に対しています。

その保育者からすれば、そうしたスタンスで保育をしてきて従う子がいるので、自分は信頼されるに値すると考えてしまいますが、それは支配に服しているのであって信頼を寄せられているわけではありません。

保育者がこうしたスタンスで保育を続けてきていると、自分に従わない子の存在を、攻撃してよい相手と認知しかねません。


これは、保育上も問題なのは間違いありませんが、その保育者自身にとっても大変不幸な状況です。というのも、その人のそのスタンスではどれだけ経験を積んだとしても仕事において自己実現を実感することはできなくなってしまうからです。

その保育者は、保育のもっとも基礎部分を習得できないまま、経験年数だけ重ねてしまったのでしょう。

保育における信頼関係構築の方法を、実際上のスキルとして身につけていればこうした事態はさけられるのです。

しかし、いまたくさんの不適切保育がある現状は、日本の保育界がそうした基礎部分の理解をおろそかにしてきた結果と言えます。

その理由は前回述べたように、信頼関係の理解を「愛情が大事」「子供を大事に」といった「お気持ちの問題」にしてきたことが大変大きいと思います。

専門性ある保育はこの信頼関係というを、手に取れるかたち、言語化できるかたちで認識できる必要があるでしょう。
そもそもそれができなければ、保育はスタートラインにすらのらないのです。



◆子供と信頼関係を作れない人がおちいりやすい保育の現実


a,強いタイプ

・支配型保育

・子供の否定(障がいの決めつけなども)

・家庭の否定



b,優しいタイプ

・人クレ保育
 子供の言うことのきかなさ(実体は信頼関係の不備)を「この子達は手がかかる」と人手を増やすことで抑えようとする。「人手を増やす=手厚い保育」と解釈できるので、その保育の問題点を見過ごしやすい


・過保護・過干渉保育
 言うことのきかなさや、子供達が主体的に安全を確保できないことにより、干渉が過剰になっていく。また、その根っこには、保育者が子供を信頼していないがゆえに、過保護な関わりが多くなり子供の依存が強まるマッチポンプの構造がある。


・特別扱い保育(疎外としての特別扱い)
 保育者を信頼できないがゆえに不安がつのりトラブルを起こす子に「この子は手がかかる」とレッテルを貼り、ひとりだけサークルに閉じ込めたりする保育。
 またこうした保育には疎外として集団に入れない罰の側面がある。意図を持って特定の児童に大きな配慮をするのは悪くない。だが、それを建前に疎外にならないよう十分注意する必要がある。「配慮としての保育」が施設で認識されていれば、そうした不適切な行為は起こらない。


・連れ回し保育(かわいい子だけかわいがる。手のかかる子は特別扱いとしての連れ回し)
 信頼関係を築けない保育士が、かわいい子だけかわいがる(かわいくない子は見たくない)ために、特定の子を理由をつけて連れ回す。

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● COMMENT ●

鬼滅の刃

いつも保育士おとーちゃんの発信を参考にさせて頂いています。もちろん本も持っています。幼児の母親です。
投稿と無関係の内容でコメントで恐縮です。
今子供に大人に大人気のアニメ鬼滅の刃について。グロテスクなバイオレンスシーンが多々あるので小さい子供には絶対に見せるものではないと思っていましたが、知り合いの保育園で子供が落ち着かない時に年長児に先生自らがスマホかタブレットで鬼滅の刃を見せていた話を聞きました。それを機に周りの親にも聞いたのですが、幼児や小学低学年の子と一緒に楽しんでいる大人がチラホラいてとても驚きました。保育者、保護者のアニメ視聴に対する意識ってこんなものなのかと‥。先日おとーちゃんがアニメ関連(薄めた毒)の投稿をされていたのを拝見しコメントしてみました。
ここまでお読み頂きありがとうございました。


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