【保育】7月のオンライン研修テーマ「子供の人権と保育」 - 2020.06.29 Mon
その保育をする人が、どれほど一生懸命でも、どれほど丁寧でも、人権として明らかにあるものの理解せずに保育をすると、保育の迷走を生みます。
人権の理解は保育の最も基礎にあることなのに、ここに取り組んでいる保育施設は必ずしも多くないようです。
これはその施設毎の姿勢に任されているのが実情で、人権を学ぼうとするところは取り組んでいるけれども、その方向性を持てていない施設では人権の学びは皆無です。こうした状況にあるのがこれまでの保育界の現実です。
学ぼうと取り組んでいる所であっても、その学びや理解は簡単にはいきません。
人権を理念などの抽象的なものとして学んだだけでは、なかなか日々の保育にそのまま生かせないことも少なくありません。
人権の理念を研修で学び、わかったつもりになっても、日々していることの中に人権を損なう関わりがあることに気づけないといったことが起こります。
人権を尊重した保育とは、単に子供に丁寧な関わりをすることではありません。
丁寧な関わりをしても人権を損なうことはあり得ます。
最近では子供のことを、対外的(保護者向け)に「お子様」と呼び習わす施設が増えています。
「私たちは子供のことを尊重しています」という姿勢をそれによって表現したいのでしょうけれども、実際の保育ではどうなっているかはまったく別個です。
外見じゃなくて中身で勝負しなければプロじゃないですよね。
◆「人権は大事だ! でも人権がなんなのかよくしらない」
このスタンスの保育者は少なくないのではと思います。
悪意はないのだけど、学ぶ機会やそもそもの適切な学びがないことに原因があるでしょう。
こうした状態だと、一生懸命保育しているつもりでも、日々当たり前にやっていることが、人権を損なう関わりであることに指摘されるまで気づけないことになります。
相手が小さい子だからといって、むやみやたらと抱えたり、腕を引っ張ったり、過干渉に指示をしたり、嫌がっていることを無理やりさせたり、過剰な過保護になったり・・・・・・。
人権への理解が足りないままだと、本来すべきでないことまで、その保育士からは「正しい」と認識されたまま、日々繰り返されてしまいます。
子供の人権を損なうような関わりをすれば、子供からの信頼関係は低下し続け、その結果逆にその保育者からは支配の関わりや子供の人権を損なう関わりがより正当化されてしまいます。
ここに保育の悪循環、保育の迷走が起こります。
例えば、過保護、過干渉になってしまう関わりにも、根っこには人権の無理解があります。
子供にはそれがたとえどんなに小さい子、0歳であったとしても、意見を表明する権利、自己決定する権利があります。
ここを保育者が実践的に踏まえていれば、過剰な子供の内面や行動への介入はおのずとセーブされます。
しかし、ここを人権として理解しておらず、「手をかけることがよい保育」といったレベルの保育理解であれば、過保護・過干渉が正当化されていってしまいます。
◆7月のオンライン研修テーマ「子供の人権と保育」
人権は全てにつながっています。食事の介助、おむつがえ、着脱といった日々の生活面。行事や集団への参加といった社会面、遊び面。
保育において、人権の理解抜きにできることなどひとつとしてないといっても過言ではないでしょう。
僕は理屈っぽい人間なので、理念の話は大好きです。しかし、研修ではあえて実践に重きを置いてこれをお伝えしていきます。
(言葉のかけ方や呼びかけ方、生活面への導入の段階でどうすればいいか。またそうした人権を理解尊重した関わりがなにを生みだし、子供達はどういった姿を見せていくのか、などなど)
というわけで、まだ詳細は未定ですが7月のオンライン保育講座は子供の人権に関するものを予定しています。
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