FC2ブログ

2023-06

【保育】保育者の個 - 2020.07.26 Sun

しばしば感じるのが「子供の尊重」の理解の難しさです。
叩いたり、怒鳴ったりすることは子供の尊重になっていないというところまでは多くの人がムリなく理解できます。
問題はその後です。



大人が子供に対して下手に出ること、子供の許容しがたい姿を我慢して許容すること、子供をヨイショすること、子供のご機嫌を取ること、子供にごまかしで理解させようとすること、その子を特別扱いすること。
こうしたことが「子供の尊重」なのだと理解する人が少なからずいます。

こうした状態は子供と大人の位置が非対称的になっており、かえって過保護・過干渉、依存の助長などの弊害を生み出します。
しかし、この理解におちいってしまう保育者はあまりに多く、僕の長年の課題となっていました。
このほど少し気づいた所があります。
この解釈や実践になってしまう保育者の傾向として、自己主張が苦手だったり、自己抑圧的にものごとをとらえやすかったり、ものごとをネガティブにとらえる人が多いことです。

対して、この子供の尊重概念を適切に実践している人は、自分の考えを明確に持っていたり、自己表現や自己主張がそれなりに屈託なくできたりする人が多い傾向があります。
(「我が強い人」という意味ではありません。我が強いだけの人は子供と信頼関係を築くことは難しくなる傾向を感じます)

また、この傾向は子供との間に信頼関係を的確に築ける人の特徴ともかぶります。信頼関係が築くのが上手い人という意味ではなく、より正確には、「子供が安心して信頼できる人」の特徴です。


一口にざっくりといってしまいますと、保育者自身の「個」を持っている人ほど、無理のない関係性で子供の尊重が実践しやすい、理解しやすいです。
さらに子供の方も、その関係性にムリなく適応しているようです。

ですが、現実には自己抑圧的な人が多く、自己表現や適切な自己主張ができる人は少ないのが、保育者に限らず日本で教育を受けた人の特徴と言えるかも知れません。
(「自己抑圧的であるがゆえに我が強くならざるを得ない」という人はいます)

現実に保育施設の会議では、ほとんどの人が議題の時は黙っていて、一部の我の強い人だけがしゃべりものごとが決まっていくといったことが多く聴かれます。黙っていた人はあとでグチとして不満をもらすなどということもあります。
もし、こうした状況が常態化していたら、針の両極端に触れているだけで適切なところにたどり着きにくいですね。


さて、こうして見えてくると、子供との適切な関係性を作るために保育者育成として取り組まなければならないことがわかってきます。

保育者自身の個の尊重です。
尊重というとまたここで解釈のブレがでてくるので、個を引き出すこと、自己主張をできる人材を育てることと言い換えます。

しばしば研修などの導入として、ゲームやレクリエーションを取り入れているものもありますね。
この点においてそうした取り組みは、大きな意味があるのだろうと思います。

また、年齢や経験年数にこだわらず自由に会話ができる職場の雰囲気(最近では「同僚性」といった言葉もありますね)などを作ることが、実は保育の安定に直結している可能性があります。

僕はさまざまな保育現場を見る上で、保育者それぞれが屈託なく過ごしている施設が安定した保育をできているのを感じています。
これはたまたまのこの資質というだけでなく、取り組み次第で構築していけるものだと思います。
関連記事

● COMMENT ●


トラックバック

http://hoikushipapa.jp/tb.php/1398-138fcd4e
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

子育てのイライラはどこから? «  | BLOG TOP |  » ◆「小さい人」という呼び方について

ごあいさつ

ただいまコメント欄での子育て相談は休止中です。 お悩みのコメント下さっても回答を差し上げることができません。 申し訳ありませんが、過去記事、すでにある返信コメントなどを参考になさってください。 多くの相談への返信がすでにあります。関連するカテゴリーから探す、検索を使って探すなど利用してみてください。 多忙になってしまい、コメントへの返信ができなくなってしまいましたが、お寄せいただいたコメントにはすべて目を通し更新の励みになっております。ありがとうございます。

最新刊

よければレヴューも書いてね!

前作!

最新記事

最新コメント

プロフィール

保育士おとーちゃん

Author:保育士おとーちゃん
当ブログはあくまで個人ブログであり、記事の内容および相談・コメントの返信等は効果を保障するものではありません。
ご利用に当たっては自己責任でお願いします。

楽しく無理のない子育てを広めたいと2009年ブログ開設。多くの方の応援があって著作の出版や講演活動をするようになりました。 現在は、子育て講演や保育士セミナーの他、『たまひよ』や『AERA with Baby 』等の子育て雑誌の監修やコラム執筆。『ジョブデポ保育士』の監修や育児相談などをいたしております。

講演等のご依頼

講演・ワークショップ等のご依頼はFacebookのメッセージ または『保育士おとーちゃんホームページ』 http://hoikushioto-chan.jimdo.com/ よりどうぞ。

カテゴリ

はじめにお読みください (2)
【まとめ】記事 (2)
子育てノウハウ? (81)
子育て日記 (13)
保育園・幼稚園・学校について (120)
日本の子育て文化 (209)
おもちゃ (27)
叱らなくていい子育て (10)
排泄の自立 (11)
『魔の2歳児』 (5)
子育てまめ知識特集 (4)
あそび (41)
おすすめグッズ (10)
おすすめ絵本 (23)
食事について (15)
過保護と過干渉 (47)
満たされた子供 (7)
早期教育 (20)
我が家の子育て日記 (96)
心の育て方 (107)
相談 (86)
子供の人権と保育の質 (90)
その他 (70)
未分類 (24)
講座・ワークショップ (142)
父親の子育て参加について (3)
雑誌・メディア (48)
子育てに苦しむ人へ (27)
保育研修 (3)
note有料記事 (4)
保育について (16)
性教育について (6)
子育てオンラインサロン (1)

保育ひろば

保育ひろば

楽天

FC2カウンター

全記事表示リンク

全ての記事を表示する

おしらせ♪

当ブログはリンクフリーです。トラックバック・リンクはご自由にどうぞ。 しかし、本文・コメント・その他を含めて著作権は私にありますので、引用・転載する場合は連絡をお願いします。また引用元の記載も併せてお願いします。 なお写真の転載はお断りいたします。

ランキングに参加しています

検索フォーム

月別アーカイブ

リンク

このブログをリンクに追加する

QRコード

QRコード

アクセス解析