【子育て・保育】ムリのない関わりへ vol.2 - 2021.01.21 Thu
スーパーのレジに並んでいる親子がいました。
3歳くらいの子とお母さんらしき大人。
子供が、レジ付近に陳列してある商品を触ろうとします。
「ダメ」
「やめて」
「いい加減にしなさい」
言葉と口調がだんだん強くなっていきます。
こうした関わりが一般的でしょう
子育ての基本が、否定を積み重ねることで、子供がそれで思い通りにならなければ、その否定の度合いを強めていくしかなくなってしまいます。
結果、子育ては怒る、叱るになります。
しばしば一般に、「怒るではなく叱りなさい」と言いますが、感情的に否定するか、やや理性的に否定するかの違いで、結局それはどちらも否定ですので、根本的にはさして変わらないことです。
この部分を、前に書いた事実を提示する方法に置き換えてみましょう。
例えば、
「それはお店のものです、触らないで下さい」
「買わないものを触るのは私が困ります」
「私は疲れているので、そうされるとイライラしてしまいます」
このときのニュアンスにおけるポイントなのですが、子供に思い通りの行動を取らせるために、「説得」しているわけではありません。
子供がすぐその通りにうごかなくてもいいのです。
事実をそのまま伝え、子供に考え、行動する余地を作っています。
それはあたかも、カードに描かれているものを提示しているようなニュアンスです。
さて、そうした対応をしてもすぐに子供がその通りの行動をするとは限らないかも知れません。もし、「やめて」等否定に類することをいうのであってもそれからでも遅くはないでしょう。
そうしたアプローチをしていると、毎回ではないかも知れませんが、ときどきそうした親の提示した事実を踏まえて子供がなんとなくでも、それに寄り添った行動を示すときがあったら、そこに肯定を送っていきます。
例えば、
・子供がそれを触ってみたけど手を引っ込めた
・商品ではなく自分のカバンのキーホルダーに気持ちを切り替えた
など。
こういうとき、「ああ、わかってくれたのね」「伝わってよかった」といった言葉をかけてもいいですし、そうしたニュアンスを込めてうなずいたり、微笑んだりすることでもいいかもしれません。
特に大仰にほめる必要はないでしょう。ほめは多用すると大人からの関わりのあちこちが作為的になってしまいますし、大人も気を張っていなければならないので疲れてしまいます。
小さな肯定を、必要だけだしていく感じで、「うん、そうだね」と目線で伝えながらうなずいていくくらいの関わりを試していくといいかもしれません。
さて、こうした積み重ねをしていくと、子供の姿を否定ではなく肯定で伸ばしていくことができます。
また、そこに過干渉、支配、コントロールの負荷が少なく済みますので、子供もそうした関わりからのゴネや反発を出す必要も少なくて済みます。
さまざまな個性や場面があると思いますので、一概にそのとおりに行くわけではないと思いますが、ムリせずにできる範囲でいいのでこうしたエッセンスをいれることで子育ての安定化がはかりやすいかと思います。
この関わりのポイントは、子供を「~~させる対象」ととらえていないことです。
「私がそうさせなければ」というスタンス(しつけや過干渉のスタンス)ではなく、「あなたは私のことを理解して必要なことをしてくれるでしょう」という大人から子供への信頼の上に自主性を尊重している点です。(この背景には前に書いた受容・肯定・信頼関係があります)
また、「あなたはすぐにできなくてもいずれそれを理解してくれるでしょう」という成長への信頼、逆に言えば今すぐ結果を出さずともよい「おおらかさ」を持っています。
このあたりの、大人の姿勢や気持ちのあり方が、子供の姿の安定にもつながっています。
書こうと思えば、まだまだいろいろあるのですが、とりあえずこんなところにしておきましょう。
ながながとおつき合い下さいましてありがとうございました。
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● COMMENT ●
ありがとうございました
6歳半の長女が2歳前後の頃からブログを読ませて頂いており、ツイッターも拝見しています。
ですが、毎日チェックする余裕はなく、どんどん情報が埋もれていってしまうため、今回、ブログでまとめて頂いて本当に助かりました。(最近、3歳の次女に手を焼いておりまして…)ブログで今まで読んできたことのエッセンスが詰まっていて、本当にありがたかったです。経験が増え、少し余裕も出てきて、色んな子育て論に浮気をすることもあるのですが、やっぱりおとーちゃんの話が一番実践しやすく、子供の姿も変わるなぁと実感しています。
長くなってしまいましたが、これからも応援しています。ありがとうございました。
助けられています
色々な育児方法、育児論が蔓延る現代。そして社会(周囲)の、子を持つ親に対する目…こう在るべきだという考えが、人によって真逆であったりし、いったい何が正解なのか、真剣に子育てと向き合えば向き合うほど今は迷走してしまう時代なんですかね。私は、子育てを頑張りすぎていたようです。でも、頑張らないと、息子がどうにかなってしまうと思っていました。そして2歳を目前にして、だんだんと限界を感じるようになっていました。そんな中でおとーちゃんの言葉に出会えたことは、本当に幸運だったと思います。おとーちゃんの子育て論はストンと腑に落ちるものが多く、自分が抱えてきた余計なプレッシャーは少しずつ無くなっていきました。甘やかすでもなく抑圧するでもなく「受容する」とは、一体どういうことなのか…私の中にすでにある「こう在るべき」等の固定概念が邪魔をしたりし、最初はなかなか理解出来ない部分も多かったです。でもやっと少しずつ、わかってきたのかなと思います。信頼関係という言葉は、私には、あまりにも耳慣れしてしまった言葉です。でも、親子の間での、その言葉の本来の意味するところを理解出来ていなかったと思います。息子をまずは受容しよう、信頼しようと思っても、最初は強迫観念に駆られるかのようにやっていましたが、それだとその緊迫感が子供に伝わるのか、あまりいい結果にならなかったり、私も、出来ないと、自己嫌悪からの自己否定になって苦しくなってしまったり…。でもその度におとーちゃんの色々な記事をたくさん読みました。また、おとーちゃんの記事からではないですが、アンガーマネジメントも同時にやりました。おとーちゃんの書いていること、全部を実行することはできていないけれど(またしなければと思う必要もない、と今は考えています)、色々と試行錯誤する中で、今は「どんなにいいと思う方法でも考え方でも、私に出来る範囲で、無理せずやる」事、「とにかく肩の力を抜いて楽しむ」事を大切にしています。そしてだんだんと、私も子どもも共に以前より安定してきているのを感じます。親になってまだ2歳の私ですが、子育てで1番大切なことがこの段階で教えてもらえたこと、実体験を持って少しずつ理解出来ている(と思います!)事…本当に本当に良かった…と心底思っています。
ありがとうございます。
これからも、参考にさせていただきます。
久しぶりのブログ更新嬉しいです。
まだまだ、自分の「〜すべき思考」や、親からの刷り込みみたいなものが邪魔をして、分からなくなってしまうこともありますが、常におとーちゃんの考えに触れながら子育てしていけたらと思っています。なので、今回の記事や最近のTwitterの内容のような具体的なお話(夕飯の時の白鳥の湖の話やスーパーて商品を触ってしまう時の声かけの仕方)はとても参考になりました。これからも更新を楽しみにしてます。
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